気付いた気持ち
祈りをした後も、悲しいのかよくわからないモヤモヤした心のままだった。
ずっと祈りの姿勢のまま思い出すと涙が溢れてきた。
きっとフィンは私が意地悪をされていたことを知り離れるだろう。
そもそもエレナ様の言うように、あんなボロ家に住んで本当は嫌だったかも知れない。
きっとあんな家に住むような方ではないだろうに、フィンが優しいから甘えてしまった自分が情けない。
でもあんな優しい人はいなかった。
フィンが離れたらどうしよう。
一緒にいるとときめいてしまう自分に初めて気がついた。
私はフィンのことが…。
ずっとグルグル考えているとフィンが声をかけ入ってきた。
「エスカ、どうしたんだ?随分遅いが、頬が痛むか?」
これ以上フィンの優しさに甘えてはいけないけど、私は…。
「何でもありません。今出ますね。」
涙を拭いながら外に出るがフィンにはすぐに気付かれてしまった。
「エスカ、泣いていたのか?目が赤い。」
「本当に大丈夫です。いつもの事ですから。」
「いつも?エレナはいつもエスカに辛く当たっていたのか?」
「…本当に一人で大丈夫です。」
「エスカ、俺は頼りにならないか?」
「そんな事ないです。」
「なら何でも頼ってくれ。エスカに辛い思いをさせたくない。エスカを守ると言った筈だ。」
何から話せばいいかわからず、また涙が溢れてしまいフィンは困った顔をした。
「エスカ、君に伝えたいことがあるんだ。」
「私に?」
「今は弱っている時につけ込むようだから夜に二人で話したい。」
「はい」
私の護衛を辞める話かしら?きっとエレナ様と帰るのね。
「さぁ、一緒に家に帰ろう。エレナは近付けさせないから。信じてくれ。」
フィンの力強い手に引かれて家に帰るとエレナ様はいなく、ルディだけが待っていた。




