侮辱と怒り
馬車の中では、ルディが、フィンと同じようにルディと気楽に呼んでほしい。と言われ様付けなしになった。
ルディはフィンの友達でとても仲良しみたいだった。
家につくとルディもエレナ様も呆然としていた。
「これは、また、ボロいな。」
「これでも多少直したんだ。夕べからやっと家でエスカを休ませれたし。」
フィンがルディに近寄りながら話した。
「エスカ様、少しフィンと話していいですか?」
「どうぞ、ルディ」
二人は少し離れ話し出した。
二人が離れるといきなりエレナ様は怒った表情になった。
「まさかこんなところに住んでいるなんてね。エスカにはお似合いね。私やフィン様には無理だわ。汚くて入れやしない。こんな家に帰るのにフィン様に送って頂いたの!?一人で帰れるでしょ!」
送る?さっき一緒に歩いていたからそう思ったのかしら。でもいきなりまたこんな風に言われるなんて…。でも勘違いされているだけよね。
「あの、すみませんエレナ様、フィンには送って頂いたのではなく、ここにフィンも住んでまして…」
その時、パァンと音が響いた。
「キャア!」
あまりの不意打ちの勢いに地面に倒れてしまった。
「エスカ!」
フィンが駆け寄り私の肩を掴み心配した顔が目の前にあった。
「…何でもないです…」
目に涙をため泣くのを一生懸命堪えていた。
「エレナ!エスカになんて事をするんだ!?」
フィンはいつもと違い怒っていた。
でも何故フィンが怒るのかわからなかった。
「フィン様、こんな小屋に無理矢理住むことはありませんわ!村外れの貴族の別荘がありますわ!すぐにそちらに参りましょう!こんな汚い子ですもの。汚い手を使い無理矢理住まわされたのですね。フィン様はお優しいから。」
ペラペラと話すエレナ様にフィンは益々怒った。
「エスカを侮辱するんじゃない!エスカに何をしたかわからないのか!?」
フィンの剣幕にエレナ様は無言になった。
でも、フィンの前でこれ以上自分が侮辱されるのを見られたくなかった。
「…フィン、本当に何でもありません。…お祈りの時間ですので行きますね。」
早くこの場を立ち去りたくなり、祈りの間に逃げたかった。
「…フィン、俺がエスカと行くよ。」
ルディが行こうとすると、フィンが止めた。
「ダメだ。俺がエスカと行く。悪いがルディはここで待っててくれ。」
フィンは肩をだき寄り添ってくれ、何故か抵抗出来ずそのまま祈りの間に向かった。
後ろからはエレナ様のフィンを呼ぶ声があったがフィンは決して振り向かなかった。




