優しい騎士様に会いました
「すまない。驚かせて悪かった。泣くほど怖い思いをさせてしまい本当にすまない!」
「そんなっ、頭をあげて下さい。」
「君が星の乙女だね?」
「はい、あの騎士様ですか?」
なんか顔合わせの時の騎士様と違うような気がする。
「急遽、君の担当の騎士と代わって貰ったんだ。挨拶が遅れてすまない!」
「あの、よろしくお願いいたします。私はエスカといいます。」
「エスカ?姓は?」
「私は孤児なので姓はありません。」
「俺はフィンだ。よろしく頼む。」
すると、フィンはエスカの手を取った。
なんかいい人そうだわ。よかった。
って、どうして手を触るの??
「今この時より、星の乙女エスカをお守りします。」
そう言いながら、フィンは私の手に軽くキスをした。
「あの、フィン様?」
「呼び捨てで構わないよ。エスカ。それにしても、何故家に入らないんだ。」
「家のドアが開かなくて、多分傾いているんだと思います。」
「確かにボロいな。」
うぅ、すみません、多分私が孤児だからこんな家を与えられたんだと思います。
「送り届けた御者はどうしたんだ?」
「私だけ下ろして、すぐに帰りました。」
「…こんな暗闇に一人で心細かっただろう。手も冷たかったし。」
私は涙がこぼれてしまい、フィン様は優しく撫でてくれました。
「俺が一緒にいるから、ゆっくり休んでくれ。今火も熾すから、俺のマントを被っててくれ。」
フィン様のマントを羽織り、火を熾しているのを見てたら、朝からずっと馬車に揺られた疲れが一気に襲い、そのまま眠ってしまっていた。