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一緒の部屋


今日から家の中で眠ることができ、やっとフィンにゆっくり寝てもらえると思ったら、フィンはビックリすることを言い出した。


「エスカ、部屋は同じ部屋で寝ないか?」

「ど、どうしてでしょう?」


思わずどもってしまった。


「サジタリアスの行方不明の件があるし、エスカに何かあれば大変だ。」


そういう意味ですよね。


「でもベッドを別々の部屋に入れちゃいましたし。」

「一緒に運んでくれるかい?」

「わかりました。」


リビングに、寝室に小部屋が一つ。

小さな家の小部屋は本来寝る為の部屋ではなかったのだろう。

さすがに小部屋にベッドを2つ並べられないので寝室に移動させようとすると、小部屋の入り口が狭く、ベッドは通らなかった。


「ど、どうしてでしょう!?」

「部屋でベッドを組み立てたから通ったんだな。しょうがない、俺は床で寝るか。」


フィン本気?だってベッドがあるのに?


「フィンがベッドを使って下さい。私は床で十分です。馴れてますから。」

「女性を床で寝かせられないよ、ましてやエスカを床で寝かせるなんてとんでもない。」


でも、フィンはきっと貴族様ですよね?そんな方に床で寝てもらうなんてできませんよ。ましてや、フィンの疲れが取れないのでは?


「…それとも、一緒に寝る?」

「そ、そういう事を言わないで下さいっ!」


からかっているんだよねっ!


「ごめん、ごめん。エスカが可愛いからついからかってしまった。」


真っ赤になってどうしていいのか、わからなくなるとフィンが優しく頭を撫でてくれた。


「こっちの寝室に小部屋からベッドマットだけ運ぶよ。待ってて。」


結局、フィンの寝室にした部屋に小部屋からベッドマットを運んで床にしき、フィンは床のベッドマットで寝た。


「明日はもう一つベッドを買ってこの部屋をツインルームにしようか?」

「…」

「エスカ?もう寝たのか?毎朝祈りで早く起きるからかな。いつもすぐ寝るな。少しは意識して欲しいのだが。」


フィンはベッドに肘をつきエスカの寝顔を見つめた。


聖女が不在の今、おそらく数ヶ月後には聖女が決まる。

それが終われば、星の乙女も聖女同様結婚が認められる。

エスカはどうするのだろうか。

聖女選定の後、教会には返せないな。

俺の元に来てくれないだろうか。

もし、聖女になっても結婚は出来るしな。


それにしても、あのステラヒールは何だ?あんなヒール見たことがない。

エスカが聖女なんじゃないか。

もしかしたら、それより上の、双神が求める星の聖女なんじゃないか。


フィンはそっとエスカの手を握り、愛おしそうにエスカの手に口付けをした。


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