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エスカの震え
午後からはフィンが買ってくれたベッドを配達してもらい、そのまま村人が家の修理を手伝ってくれた。
どうやら、村人達に回復魔法を使ったお礼らしい。
そのおかげで今日からは、家の中で眠ることが出来るようだ。
「今夜で野宿はおしまいですね。家の前で野宿なんて可笑しかったですね。」
「はは、でも楽しかったな。」
すると村人の一人が今朝おかしな話を聞いたと言った。
隣村で、サジタリアス村の祈りの間の星の乙女が行方不明になったと話した。
星の乙女を欲しがる人が多い為誘拐されやすい。
だから騎士が星の乙女の護衛につくことになっているのに、どうして?と怖くなった。
震えるのを悟られないように村人を送ると、フィンが私の手を握り締めた。
「フィンっ?」
「エスカ、我慢しなくていい。もう誰もいないよ。話を聞いて怖くなったんだろう。」
「…フィンがいます。」
「俺の前では我慢は要らないよ。ありのままのエスカでいいんだ。」
フィンの優しさに段々と震えが止まった。




