雑巾も初めてですよね
買ってきた荷物を置き、今度は掃除道具をフィンはヒョイと持ってくれた。
「重くないですか?」
「大丈夫だよ。さぁ、掃除に行こうか。」
祈りの間にフィンと二人で掃き掃除から始めると一部屋六畳位の部屋の為凄く狭く感じた。
「エスカは教会の前はどこにいたの?」
「ずっと教会ですよ。」
「教会で育ったのか?」
「はい、生まれた時に町外れの小さな教会のある孤児院で過ごしました。でもそこが地震で壊れてしまって、ほとんど神父様の財産で補っていましたので建て直し出来ませんでした。神父様はそのまま引退しました。」
「他の子供たちは?」
「私を含め、四人だったので不憫に思われて三人は上手いこと里親が見つかりました。私はその時、ケガをした神父様や皆に回復魔法を使ったのを見た教会の方に連れられて、それから王都の教会で過ごしました。」
「それで16歳で星の乙女になったのか?」
「はい、回復魔法が結構効くみたいですよ。」
フィンは私の事を聞いて楽しいのかしら?
うーん。
「フィンはどんな生活をしていました?」
「…騎士の学校かな。」
「フィンの騎士様の格好ならきっと素敵ですね。」
フィンの金色の髪ならきっと騎士の青い服が似合うわね。
「エスカの為なら今度騎士の服を着るよ。」
「まあ、じゃあ今度見せて下さいね。」
お話してたらいつの間にか掃き掃除が終わっていた。
「次は雑巾ですね。」
「雑巾。これを絞るのか?上手いもんだな。」
フィンは雑巾が初めてだった。
「フィンはモップをかけて下さい。」
フィンの雑巾がなんだか不安になりモップがけに変更した。




