辺境の地に来ました
星の国と呼ばれるステラ王国は16歳から20歳の聖女候補を集め星の乙女と呼んだ。
王国には12ヵ所に祈りの間があり、星の乙女は、聖女になる為の修行の一環として祈りを捧げその土地で親元を離れ暮らすことと決められていた。
このステラ王国の辺境の地、カプリコーン村の祈りの間にはしばらく星の乙女は来なかったらしいが、今日から一人配属されることとなる。
それが、私エスカだった。
この1ヶ月は、星の乙女の配属場所を決めるのに王都の教会で能力の見極めの為、生活をしていたが、能力は関係ないと思う。
私だけ皆と違い孤児だったからだ。
貴族の星の乙女には一緒にされたくないとシカトされ、雑用を押し付けられていたから嫌われてたんだと思う。
正直、離れられてほっとした。
そう思う私は性格が悪いのかな。
私を送ってくれた馬車は、私を下ろし家に案内するとさっさと帰ってしまった。
教会でもないこの家は随分使われてないらしく今にも壊れそうだ。
辺境の地は遠く、朝出発したのに結局今はもう夜だ。
とりあえず家の中で今日は休もう。いくら何でも倒壊することはないよね。
星の乙女は護衛の為、騎士様が一緒に配属されるけど、ここには一人しか来ないと言ってたしあんまり乗り気じゃない感じの人だったから明日来るのかな?
エスカはドアを開けて入ろうとするとドアは開かない。
「やだ、うそ、まさかドアが傾いているの?
窓は打ち付けられているし入れない!
まさか、家の前で野宿?」
「古くなった薪はあるのに、火をおこす道具もない。お腹も空いたし、教会の余ったパンを持ってきてよかったわ。少し食べようかな。」
ホーホーとフクロウの声が聞こえる。
「さすがに真っ暗で怖いわ。」
ガササッ、ガササッ。
「な、何?まさか獣!?」
ガサササササッ!!
「キャア!?」
「おい、大丈夫か!?」
「人…?」
カンテラの灯りに照らされて、男の方が見えた。