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コドクと人生のオワリ

 仁が意識を取り戻したのは、約1ヶ月後だった。


 その間、2人の治療は終わっていた。仁の怪我はほぼ完治していた。


 慎二は手術をいくつかして、結果的に、慎二は一命をとりとめ意識も戻っていた。しかし、まだ何回も手術をしなければいけなく、全て成功しても2年~5年のリハビリが必要で、障害が残る可能性があるらしい。


 周りにいたクラスメートも、若干トラウマになっていたが、今は普通に生活していた。


 この事はニュースにはならなかった。ネットで少し、噂程度に囁かれる程度だった。


 それは、奏海や学校の人達のおかげだった。まず、慎二の親や所属事務所は、刑事事件で訴えるつもりだったが、学校側や目撃していた生徒の話をまとめると、


いじめていた生徒()に相手にされなくて、その生徒の友達を暴行するように指示して、しかも自分も暴行したが隠蔽して、それをわざわざ仁に話して、それに怒った仁に口撃され、それに逆上して、ボコボコにしていたら、返り討ちにあって死にかけた。」になる。そんなバカなと信じなかったが、決定的な証拠があった。


 仁は小学生の頃の辛い経験を、隠していたので、奏海が仁を心配して、通学カバンにレコーダーを仕掛けていた(隠していた)ため、それが証拠になった。


 週末にレコーダーを確認して、一人で怒っていた。

 そして、悪口をパソコンに保存していた。慎二も悪口を言っている事を知っていたので、テレビで慎二がでるたびチャンネルを変えていた。


 慎二は、本当に他のメンバーと比べると、人気がなかったが、仁がテレビで見なかったのは、これが大きな原因だった。

 仁による慎二への口撃を聞いた時、慎二の両親と事務所の人に、嫌な緊張感があった。


 閑話休題。


 訴えたら間違いなく仁は捕まるが、裁判が必要になり、それらの情報が世間にバレる。その方がまずいと思い示談になった。


 仁は怖くなった。

 最後に見た慎二の状態の事や、なにが起きたかわからず混乱していたし、捕まって奏海を一人にする事を恐れていた。


 そこに奏海がやってきて、泣きだし仁が目を覚ましたことを喜んだ。

 そこで今までの経緯を聞いた。慎二が生きていること、捕まる事はないという事に、安堵してその日は眠った。


 次の日、仁が目を覚まして病室の周りをみると、小説仲間の2人と絵莉と絵莉の友達からのお見舞いがあった。

 2人からはラノベを、絵莉達からは花を贈られていた。2人はわかるけど絵莉達はなんでだろうと思っていた。


 本当は絵莉個人で贈りたかったが、事務所に見舞い事態を反対され折衷案で連名で贈られた。個人で渡すのは恥ずかしいので、ちょうどよかったと絵莉は考えたていた。


 閑話休題。


 贈られたラノベを見て楽しんでいると、ふと慎二の事を思いだし慎二の病室に向かった。


 慎二の病室外から慎二の状態をみてショックを受け、自分の病室に帰った。


 入院している間いろんな事を考えた。

 自分になにが起きたかわからず、それで人を殺しかけた事を再認識して恐怖して、いろんな事を考えた。


 その後、体の検査が終わり退院した。


 退院したが学校には行かなかった。奏海には行ったふりをして奏海が出勤したら家に戻っていた。レコーダーはカバンからはずし、学校にはカウンセリングという事にしてサボっていた。


 そんなある日の昼過ぎ、仁が家にいると、奏海が知らないおばさんと一緒に帰ってきたので隠れた。


 家のなかに入って、社交辞令をお互い言いながら話をしていた。すると、

「━━示談金は○○○円になりました。手術が無事成功して本当に助かりました。」


「そうですね。この度はいろいろありがとうございました。」


「いえいえ、遠藤先生にもよろしく伝えといて下さい。それでは失礼します。」と言っておばさんは帰っていった。

 しばらくすると奏海は仕事に戻っていった。


 その会話を聞いて仁はショックを受けていた。示談金の額の大きさに…。そして陸を殺した女の事を思い出した。


 『あんたがいるから━━━幸せになれないのよ。』


(女のいう通りだ。俺がいるからみんな幸せになれない。あの2人(小説仲間)も俺のせいで大怪我をした。バカ(慎二)も死にかけた。母さん(奏海)も嫌いなバカに大金を払わないといけない。そしてなにより父さん()は俺を庇って死んだ。俺は、疫病神だ。)


 そう思ってしまった。そして、自分は人と関わるべきではないと結論付けた。


 その日帰ってきた奏海に、いろいろ文句を言った。


 奏海は、まさか仁から言われると思ってなかったので、ビックリして悲しんだが、反抗期かなとも思った。

 それに仁は少し、マザコンが強いんじゃないか。と心配していたので、息子の成長の嬉しさや、文句を言われた悲しさでよくわからない涙を流した。


 それ()に仁は狼狽えて、自分のベッドに潜りこんだ。


 奏海はほっといた方がいいだろうと考えて、なにも言わなかった。


 次の日小説仲間2人が家にきた。さすがにサボり過ぎという事と、夏休みの予定を聞くためにやってきた。


 そこで仁は玄関も開けず部屋の中から、もう俺に関わるな。や2人の悪口を言った。


 2人は本心ではないと気付いてはいたが、今はそっとしておこうと思い黙って帰っていった。


 仁はこれで一人になったと思い、死にたいと思った。

 小学生の頃は死にかたがわからなかったが、今はいくつかわかる。わかるが、どれも周りに多大な迷惑がかかる事ばかりだ。

 今まで迷惑かけていたので、あまり迷惑がかからない方法を探した。自殺サイトも年齢制限でロックされて見れないので困った。


 誰か(作者)も困った。そんなものはないのかもしれない。


 閑話休題。


 仁はどうにかして、あまり迷惑をかけない自殺をはかった。


 仁が意識のない頃、仁は夢をみた。奏海の夢だった。

 それは奏海が泣き崩れているところや、病院で涙を浮かべながら世話をしているところなどの夢だった。それで夢を見ていると誰かが、このままで良いのか。女性を泣かすとはなにごとだーっと怒られた。

 それに対し、仁は、自分は人に迷惑をかける。そのせいで皆、不幸にする。と言った瞬間にその誰かに殴り飛ばされ、意識を失った。


 そして、仁は目を覚ました。

 体にいろんな管が着いていた。奏海が手を繋いで眠っていた。


 やつれた奏海の顔見ていると、奏海が目を覚ました。


「えっ…。嘘…。」っと呟いた。


「母さん。ただい…っつ」


 奏海が仁をビンタし、泣きながら抱きついた。抱きつきながら

「なんて馬鹿な事をしたの!!うっ……。」


「母さんゴメン…。でも俺がいるとみんな不幸になるから…。」


 奏海は離れて、目を見つめながらまたビンタした。

「なんでそんな風に思ったの!?あなたがいない方が不幸よ。そんな事考えたくもないわ!!」


 仁は泣き「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝り続けた。


 それから、いろいろな話をした。

「お願い、私より先に死んだらダメよ!!約束しなさい。」


「でも事故とかびょ……」


 また、ビンタした。


「返事は…。」


「ハイ!母さんより先に死にません!!」


「約束よ」


 仁は、初めて奏海に恐怖を抱いた。


 仁が目を覚ましたときは、クリスマスだった。あれから約1年半経っていた。


 それからさらに6年程経った。人に関わる事を極力避けて暮らしていた。高認をとり、遠藤先生に紹介された工場で、働いていた。半年前から奏海は入院していた。


 仁は仕事が終わり、奏海の奏海が入院している病院に来て、奏海としゃべっていた。


「仁、今度はここのゼリーを食べたいな」


 そこは、他県の店のゼリーだった。宅配不可で、直接お店に行かないといけないお店だった。


「わかった…。明日休みだから買ってくるよ……。」

 これで休み潰れるなと思いながら嫌そうに言った。


「嫌ならいいのよ…。」

 奏海言ったが返事は、行きますか、行かさせて頂きますしか許させてもらえなかった。目がそう言っていた。


「い…いや、俺も食べたいと思ってたんだ。明日買いに行ってくるよ。」


 その後いくつかやりとりがあり、仁は家に帰り眠った。


 奏海は、自分以外に関心をもたない仁を心配していた。

 その為、仁に良い出会いがあることを願って、宅配ができない物を仁にお願いしていた。


 閑話休題。


 次の日、始発で目的の場所へ行った。その後ゼリーを買い、郵送する為郵便局に行った。電車が混まない時間まで待っていると、いきなり背中に痛みを感じた。振り向くと知らない男がいた。


「お前のせいで(グサッ)俺がこんな目に合ったんだ。(グサッ)お前のせいで(グサッ)日下部家が、大事な人達が潰れたんだ。(グサッ)お前のせいで(グサッ)、お前のせいで━━━━━」


 仁は、(日下部って事はもしかして禅くん…。でも、なんで)と思っていた。

 太って昔の面影のない、日下部 禅が立って、仁の体を何度もナイフで刺していた。


 (母さんゴメン………。)

 そう思いながら、仁は息をひきとった。

 読んでくださってありがとうございます。

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