えっ…カンナじゃなくて、またマリン
朝になっても、マリンが来なかった。
カンナは、女将さんに連れられて、来たのに…。
朝食を食べた後、カンナと一緒にマリンの両親の家に行ってみた。
すると、マリンの父親がやって来て、
「もう、君達が、マリンに会うことはない。もう、なんの関係もないからな。」
はっ…。なにを言っているんだ?…
俺が呆然としていると、カンナが、
「なにを言っているんですか?関係ならあります。パーティーメンバーです。マリンさんを出してください。」
これは、ドッキリか?俺が、
「そんな冗談、笑えませんから…。」
「冗談ではない。マリンも君達に、もう会わないと言っている。早く迷宮に行ったらどうだ。」
マジでこのおやじなに言ってんだ。マリンがそんな事、言うわけないだろう。
俺がイライラしていると、カンナが、
「分かりました。それじゃあ、最後に挨拶だけでもさせて下さい。」
そうだな。マリンがそう言うなら、嫌だけど、マジで嫌だけど、マリンの人生だ。泣く泣く諦めよう。
「もう、マリンは会わない。さっさと出ていけ!!」
マジでこいつ…言葉通じているのか?
だが、ここで怒っても、なにもならない。
「マリンに会って、直接、俺達にお別れさせてもらえないと、昨日の今日で、納得できません。」
そんな風に、マリンの両親の家の前で、言い争いをしていると、野次馬が集まってきた。それに、自警団もやって来て、
「ここで、なにやってる!」
「これはダントン様、この者達が、私の娘を出せと脅してくるんです。」
はっ…。こいつ、マジでマリンの父親か?と思い、鑑定してみると、マリンの父親だったし、状態も良好だった。
「ご主人様、一旦引きましょう。」
カンナが、悔しそうに、言ってきた。俺も本気で悔しかった。
ここで、暴れてもなんの解決にならないと思い、家に戻った。
戻った後、女将さんに相談してみた。
「これは、ダントンの…いや、ガイゼルの引き抜きだね。」
「ガイゼルって、冒険者ギルドのギルド長じゃないですか。なんでそんな事を?」
「ガイゼルのパーティーのメンバーは、ガイゼルとダントン、ガイゼルの弟のバイゼルそれと、バーンって奴で組んでいる。それでバーンは、もう貴族になれたから、冒険しなくなったんだよ。だから、有望株のマリンを、仲間にしようと思ったみたいだね。」
つい熱が入り、
「そんなの、納得できませんよ!」
女将さんに怒鳴っても、意味はなかったと思い、
「すみません。熱くなりました。」
「いいよ。一応、私達のせいでもあるんだ。私達が野良迷宮討伐なんて、言ったから、焦ったんだろう。ボルドーのライバルって、語っといて、そんな事されたらさすがに語れないからね。」
「女将さん達の責任なんて、ないですよ。ギルド長達は、そんなの知るかって感じです。でも、マリンが望んでいるなら、本気で嫌ですけど、まだ諦められます。でも、マリンに会わせても、もらえないのに、諦める事はできません。」
「多分…いや、絶対にマリンは望んでないよ。ただ、マリンの父親は、望んでいるんだろうね。ジン達といるより、ガイゼル達といた方が、いろいろ便利だからね。今日の事もあらかじめ、話してたんだろうね。そんなにタイミング良く、ダントンが来るわけないからね。」
「くそ…どうすれば、良いですか?」
「そうだね。わからないね…。ただ、ジン。絶対に向こうの挑発に乗るな。マリンは、意地でも、ガイゼル達と一緒に冒険しないだろう。それは、ジン、お前がいるからだ。ってなると、お前が邪魔になるから、どうにかして、追い出す、又は殺しにくるだろう。だから、挑発に乗って、決闘なんかするんじゃないよ。」
「分かりました。さすがにデーブルみたいには、いかないですからね。そんな事はしませんよ。」
「頼むよ。昨日言ったことは、嘘じゃないからね。決して投げやりになるなよ。」
「ありがとうございます。気をつけます。」
女将さんのおかげで、なんとか冷静になれた。
ギルド長やマリンの父親に、ムカつく気分をごまかして、スキルのおかげか、なんとかなった。
仕方なく、マリン抜きで、迷宮攻略を始めた。
マリンがいないので、十五階層から攻略をした。
カンナがレベル5になったおかげか、十七階層でも、問題なかった。
ただ、戦闘時間が増えたせいか、マリンがいない事か、後者が主な原因で、何度かミスをした。
ミスをしたと言っても、攻撃に当たったりする事はなかったが、指示をミスしたり、連携がうまくいかなかったりした。
その度に、イライラが募っていった。
そんな日々を過ごしているなか、夜に一度、カンナを荒々しく、扱ってしまった。
その事で俺が謝ると、カンナは、気にしてない。と言ってくれた。
言ってくれたが、俺は、自分がしたことに、自分自身に、イライラしたり、自己嫌悪したり、泣きたくなったりした。
この日以外は、そんな事なかったと思うが…。
そして、来るべき時が来た。
迷宮に向かう途中で、マリンがギルド長達に無理やり、迷宮に引っ張っていた。
それで、俺が、
「なにやってんだ!変態共!!」
マリンが、俺に会えた嬉しさか、今まで会えなかった悲しさか分からないが、泣いてしまった。
それを見た、冒険者ギルド長…いや、もうガイゼルでいいや。ガイゼルが、
「お前が、ジンか…ひょろそうな奴だな。」
侮蔑した感じで言ってきた。そこで、今まで溜め込んだ、イライラが爆発した。
「すみません。誰かさん達と違って、脳みそまで筋肉で、出来てませんので。」
俺に文句言われると思ってなかったのか、3人ポカーンとしていた。
バカ面の後に、
「てめえ、それは俺達に言ってんのか?」
「さぁ…ってか気づくの遅いだろ。さすが、脳みそがきん…いや筋肉に失礼か…。」
聞こえるか聞こえないくらいで言った。
「てめえ、これは、俺達、貴族に対する侮蔑だ。【侮蔑者】になったはずだ。」
「いやだな…。鑑定してみて下さい。なってないでしょ。誰もあなた達の事、言った訳じゃないんですけど、もしかして、自分でご自覚があるんですか?」
しっかり、【侮蔑者(執行猶予)】になったが、【神偽装】で、【上忍】のままのはずだ。
「くっ…じゃあ、もう用はないな。」
「はい。ただ、ガイゼル様は、師匠の…ボルドー様のライバルって聞いたんですけど、師匠の方が凄いですね。格が違う。さすが師匠だ。じゃあ、それでは、お互いに師匠を目指して、頑張りましょう。」
「ちょっと待て!俺がいつボルドーの下になったんだ!!あーっ!!!」
いい感じに人が集まってきた。
「すみません。僕は、正直者なので、嘘をつけないんです。【詐欺者】になりたくないんで…」
「そんな事はねーっ!!」
「分かりました。もしこれで、【詐欺者】になったら、【冤罪書】下さいね。…ボルドー様とガイゼル様はライバルです。」
確認をとって、ライバルって言った瞬間、【神偽装】で、【詐欺者】にした。
「ほら~、なったじゃないですか。【冤罪書】下さい。」
「てめえ…。くそっ、約束しちまったからな。フッ…仕方ね~俺はなにもしない。」
【冤罪書】を渡した後、ニヤニヤしながら、俺はと言った。
まずい、ミスった。他の奴が来るのか…
「ガイゼル様っ!私ちゃんと、やります。だから、ご主人様…ジン様には、手を出さないで下さい。」
くそっ…情けない。結局、マリンに助けられるのか…。誰かが言っていたが、弱さって罪だな…。
そう思っていたが、バイゼルが、公衆の面前で、普通の神経では、言わない事を言った。
「そうか。夜もよろしく頼むよ。うっへへへ。」
「バイゼルっ!決闘だ!!」
これが、釣りでも良かった。俺の許容範囲を大きく飛び出してしまった。
「よしっ!分かった。決闘を受けてやろう。決闘は、今すぐ、ここでだ。良いな。」
「いいぞ。だが、お前ら本当に、師匠より格下だな。あははっ。だって、今すぐって事は、師匠に介入してほしくないんだろう?自分で言ってんじゃん。僕は、ボルドー様より格下です。って、お前、冒険者より、お笑い芸人じゃ分からないか、酒場で人笑わせる仕事でもしろよ。あははっ!」
俺の発言で、野次馬達も、笑いを我慢してるが、出来ていない。
この状況で、このまま戦っても、俺が言う通りって事になるのに、早く、マリンを仲間にしたいのか、本当に師匠が怖いのか、分からないが、決闘のルールを決めていた。
結果、なんでもありの一対一、デスマッチ。降参ありになった。
勝った方が、負けたパーティーに言う事を聞かせる。
俺は、マリンを俺達のパーティーに返して、その後、俺達にちょっかいをかけないこと。向こうが、マリンが自分達の仲間になることを認める事になった。
マリンとカンナは最後まで、止めていたが、始まる前に、感謝の言葉と、必勝を2人に誓った。
さぁ…ゴングが鳴る。
※これでストック分は、終わりです。
今、書いてる分も夕方くらいには、載せれると思います。
※立ったフラグは回収しないうちに、違うトラブルが発生する。
こんな、話ですが、最後まで付き合ってくれれば、幸いです。




