解説&イメージボード
ここでは本作を視覚的に補完する意匠設定を掲載しています。
物語の進展にあわせて加筆・改訂するので、ときおり覗いてみてくださいませ。
なお、本作のメカデザイン等で活用している簡易3Dモデルの作成には、Androidアプリ『Prisma3D』と『CAD assistant』を使用してます。
◆ ◆ ◆
まずは主要キャラから。
主人公の北斗は、あえてヒーロー性を持たせないよう記号的な特徴のない風貌にしました。
日本人なのに瞳が青く見えるのは、各種の紫外線や宇宙線をカットする機能性人工水晶体が埋め込まれているから。
強化操縦士の航空戦闘服は厚手のドライスーツのような質感で、細かいシワはできません。
脇腹にあるオレンジ色のパーツは、体内の強制呼吸モジュールに直結しているプラグ。
ここから調整された酸素を送りこむので、酸素マスクは要りません。
第2のヒロイン、エステル。
主人公のための〝トロフィー〟ではなく、主人公と共に生きるパートナーとして作ったキャラです。
パイロットとしての力量は北斗をしのぎ、知能指数も上。精神的にやや未熟なことをのぞけば、劇中で最も有能な女性かも。
実年齢より幼く見える理由は本編にて。
ちなみにファッションセンスが壊滅的に無い、という設定だったりします。
〝機械人〟と呼ばれる高規格アンドロイドの少女。特異な生い立ちゆえに孤独を感じがちなエステルの精神安定剤的存在です。
頭部のニンジン型ユニットは精密機動用の複合光学センサで、必要に応じて展開し、ウサ耳のようになります。
尻尾はズボンについてる飾りです。
ツインテおばさんことリズ司令。
この年代の女性を年相応に描こうとすると老けてみえがちなので、割り切って若作りにしました。
画力不足を痛感させられるキャラであります。
Lizは本来、Elizabethの愛称ですが、彼女は本名が〝リズ〟です。
立ち位置的には某冬月先生っぽい副官キャラのミシマさん。
生え抜きの軍人らしく、ひと癖ありそうな燻し銀のナイスミドル(死語)にしたかったのですが、どちらかというと蛮カラ(またも死語)かも。
ちなみにドイツ系クォーターの日本人です。
艦隊に多数配備されている軽作業用マキノイド。
内蔵された固体電池で稼働し、有線による電力供給も可能。
駆動系は高分子アクチュエータ(人工筋繊維)で構成され、ヒトの10倍以上の〝筋力〟があります。
搭載AIに固有の人格はありませんが、自然会話による意思疎通は可能。
機密保持のためメインメモリが外部(ネレイドの管制AI)におかれ、艦隊のすべての同型機が学習データセットを共有しています。
GAIAの制服のラフ設定。
軍規では休息シフト中のパイロットは制服を着用することになっていますが、ほとんどは別途支給された作業服を着てます。
休息シフト中の北斗とエステルの服装。
この作業服のデザインはお気に入りです。
強化操縦士の主な仕様。
体内埋設機器に必要な電力は搭乗機もしくは航空戦闘服の補助電源から供給されます。
◆ ◆ ◆
【NVX-0/レラシゥ】
本作のメインヒロイン、レラシゥさん。
ごらんの通り〝彼女〟の設計は良く言えば奇をてらわない、悪く言えば凡庸なシルエットとなっています。
戦闘機の造型にはひたすら機能性のみが求められる、という発想からです。
しかしながら物語の主役としては、あまたの戦闘機キャラに埋もれてしまわないキャラクター性が欲しい──
この相反する命題の狭間で見いだした僕なりの妥結点が、レラシゥなのであります。
固定武装は20ミリ五連装電磁機関砲×2。
ミサイル・ベイは4ヶ所あり、一般的な短距離空対空ミサイルなら計24発搭載可能。
カラーリングについては当初から「黒地にビビッドな差し色を」と考えていて、試作機らしいオレンジや黒に映えるコーラルピンクなど、あれこれ試した結果、やや掠れた紫に落ち着きました。
あとで「この配色、バイ●ンマンじゃん」と気付いて苦笑いしたのは余談。
レラシゥは最初に描いた前衛戦闘機──VFであり、その意味ではVFの雛型と言ってもよいでしょう。
全てのVFは、レラシゥのコンセプトを素地として何かを足したり、引いたり、こねくり回したりしながらデザインされています。
おまけの初期ラフ。
本作は、なんとなくメモ用紙に描いたこの一枚から始まりました。
物語を想起してからデザインしたのではなく、デザインから物語が生まれたのです。
【YV-6/エリエル】
レラシゥ、エステルに続く〝第三のヒロイン〟という位置づけのエリエル。
レラシゥと同じく第3世代型VFの試作機ですが、敵性技術を織りこみつつ局地戦闘機としての原点に立ち返ったレラシゥに対し、エリエルは「VFの更なる進化系」という設計思想となっています。
機上戦術支援AIの愛称は〝エリー〟。
固有獣人型AIではありませんが、多少の個性をもっています。
デザイン面ではランやチューリップのような花をイメージしていて、あたかも蕾が開くように多層構造の翼を展開する独特の可変機構がチャームポイント。
コクピットまわりと多目的マウントラッチがレラシゥと同じなのは規格化されているからで、これは基本的に全機種共通です。
エンジンも規格化されているのですが、エリエルとレラシゥにはそれぞれ独自(つまり規格外)のターボ・ラムジェットエンジンが入ってます。
固定武装の20ミリ五連装電磁機関砲×2は自由電子光波砲に換装可能で、エステルはもっぱらそちらを使ってます。
見た目がレラシゥより太ましいのため、なんとなく大きく見えますが、実際はひとまわり小柄です。
【GFCF-3/ネレイド】
GAIA第3遊弋艦隊旗艦・ネプチューン級洋上要塞艦GFCF-3〈ネレイド〉。
ご覧の通り、アングルド・デッキをもつ大型空母を鏡合わせで並べたような形状です。
波動貫通型双胴のつもりですが、全長480メートル・全幅182メートルという図体でこの形状がどれほど有効かは謎。
ちなみに主機はFRC(逆転磁場配位型)プラズマ核融合炉。
その大出力を活かした強力な電磁推進器と、艦体表面に極小の気泡をまとわせて水の抵抗を軽減するナノバブル・コーティングのおかげで、巨体のわりに足は速い──という設定。
多数の近接防御兵器を搭載してはいますが、対空・対潜防御は基本的に随伴艦隊に依存しています。
なお、劇中の挿絵で空に延びている白い線は、光学観測ドローンのケーブルです。
各種のカメラを搭載した有線式の大型ドローンを艦の直上に滞空させておくもので、劇中の軍艦の多くが同様のシステムを持っています。
【ルーフ級対空護衛艦(GSAシリーズ)】
ネレイドを護る3隻の護衛艦たち。
全長は約250メートル。
現代のイージス艦の子孫のようなもので、艤装は対空邀撃に特化。
搭載された高密度防空機構『アンサラー・システム』は、総計八十門以上の対空機関砲や自由電子光波砲、対空ミサイル等をリアルタイムで制御し、同時に3000個以上の目標物に対処可能。
ちなみにGAIAでは艦ごとのペットネームは無く、所属を表すアルファベットとシリアルナンバーによるコードで呼ばれます。
第3遊弋艦隊に配備されているのはルーフC1、ルーフC2、ルーフC3です。
【AF-1A/アギエル】
XENEMSの第1次主力強襲戦闘機。
いわゆる〝異星人のメカ〟というと、やたらと有機的だったり銀ピカでメカメカしい見た目だったりしがち(⚠個人の感想です)なので、ひねくれてシンプルな造型にしてみました。
黄色い部分は各種光学センサーの集合体で、それ以外の外装はレーダー波を捉えるスマートスキン装甲。
装甲はアルミとケイ素などを含むセラミック系の複合素材。その特異な分子構造から傾斜アルミックと呼ばれています。
機体にマーキング類は無く、基本的に無塗装。
無人機のためコクピットは無く、完全に使い捨ての兵器なのでメンテナンス・ハッチなどもありません。それどころかランディング・ギアすらなく、これらはXENEMS機に共通する特徴となっています(一部例外あり)。
なお、XENEMSの戦闘機は〝強襲戦闘機〟と呼ばれます。
【AF-2A/ベラー】
XENEMSの新型強襲戦闘機。
近接格闘戦に特化した機体で、武装は30ミリ機関砲8門のみ。
アギエル等の主力機を補完する支援機という役回りです。
複数の特殊な動翼と三次元推力偏向ノズルにより、特に低速域で非常に優れた機動性を発揮。
ただし速力はアギエルよりもやや劣ります。
形状は蛾の一種をイメージしています。
【NV-0TR/晨風改〝ファルコ〟】
レラシゥの専属無人僚機。
NV-0/晨風にレラシゥと同じターボ・ラムジェットエンジン『天狐』を積んだカスタム機。
コクピット後方の自由電子光波砲ユニットはレラシゥも装備できます。
機体名は晨風改で、〝ファルコ〟はAIの愛称。
固有人格型AIではないので雑談はしませんが、音声入出力は可能。
【NV-0/晨風】
生産性・整備性を考慮しつつレラシゥを再設計した量産機。
構造の7割はレラシゥと共通。カナード、主翼基部、水平尾翼の基部などが若干簡素化されている以外は、ほぼ同じ形状です。
性能もほぼ一緒。パイロットという脆弱なユニットが無いぶん、実質的な機動性は晨風のほうが上といえます。
【VF-3B/スーパードミニオン〝ウェンディ〟】
エリエルの専属無人僚機。
VF-3A/ドミニオンにエリエルと同じターボ・ラムジェットエンジンを積んだカスタム機。
〝ウェンディ〟は管制AIの愛称です。
【VF-3A/ドミニオン】
GAIAの現主力機である第二世代型前衛戦闘機。
性能はアギエルとほぼ同等。加速性能と最高速度はこちらが、低速域での機動性はアギエルが、わずかに優っています。
前衛戦闘機としては比較的シンプルな機体ですが、それゆえに堅牢で、整備性・生産性・拡張性も優れています。
【VF-2C/アークエンジェル】
人類初の前衛戦闘機VF-1/ストライク・エンジェルの近代改修型。
すでに旧式化し、大規模整備の時期を迎えた機体から順に退役しています。
第3遊弋艦隊にも艦隊直衛用の無人機として少数が配備されていますが、員数外の存在です。
【仮設対艦巡航ミサイル/エンジェルアロウ】
アークエンジェルを二機一組にした〝大型巡航ミサイル〟。
機首に大質量弾頭を搭載した〝特攻機〟。
【仮設高高度弾道飛行ブースター】
あり合わせの部材で組まれた急造品。
大型艦載機の発艦に使われる使い捨ての個体ロケットモーター、巡航ミサイルから拝借したエアロスパイク・ノズルと姿勢制御用化学推進器などなど、流用パーツの塊。
見るからに寄せ集めの無骨な見た目ゆえか、レラはすこぶる気に入らなかった御様子。
【川島78式自動牽引車/ATA-78】
主に艦載機を曳行する自動運搬車。通称『タートル』。
人が乗って直接操作することもでき、台車を付けてトラック代わりに使われたりも。
四輪駆動・四輪操舵。超信地旋回も可能。
大型の艦載機も牽引できるよう〝おもり〟が入っているので、見た目よりもかなり重いです。
【カテゴリーXXX/パンデモニアム】
XENEMSの巨大空中要塞。
直径600メートル。
見ての通り〝空飛ぶ円盤〟という古典的なUFOのイメージです。
円盤型にした理由は二つ。
ひとつは、主砲の反水素投射砲のための巨大な粒子加速器が必要だから。
もうひとつは、制限斥力場を効率よく利用するためです。
制限斥力場システムは、艦の下方に展開した斥力場で艦体を浮かせる仕組み。たとえるなら「巨大なバランスボールに乗っている」ようなイメージです。
当然、斥力場の中心の真上に艦の重心を置かないと、うまく乗れません。
また、風の影響等の外部モーメントを相殺してバランスを保つ必要もあります。
そのためには重心からみた重量配分が均等な円盤型が最適、というわけです。
なお、パンデモニアムには多数の艦載機を擁する空母型や、艦載機を持たず戦闘に特化した戦艦型などがありますが、見た目は一緒です。
【VF-3B-S/オーリオール】
スーパードミニオンをベースにした戦術電子偵察機。
通常2機一組で戦域上空に潜み、敵味方の様々なデータを収集します。基本的に無人運用。
武装は自由電子光波砲×2のみです。
【AP-1/XENEMS大型大気圏降下ポッド】
通称〝デモンズエッグ〟。50機ほどの強襲戦闘機を載せて大気圏に突入し、高度3万メートルあたりで搭載機をばらまきます。
大気圏内用の推進器はありませんが、エアブレーキによる多少の軌道修正は可能。
カバーについてるリボン状のものは姿勢を安定させるためのドローグで、大気圏突入後に伸ばします。
高度なステルス性を有し、大気圏に降下するまでは探知不能(突入時の摩擦熱でステルス塗装がはがれるため、降下後は通常のレーダーで探知可)。
強襲戦闘機と同じく、これも使い捨てです。
【YVS-1/シグルーン】
直径270メートルの環状質量射出機を二基、主砲として搭載した試作特務艦。
射出される超高速大質量撃砕弾頭弾グランド・ジャベリンの初速は秒速8000メートルにも達し、パンデモニアムの制限斥力場を貫くことが可能。
発生する超強磁場をさけるため、主砲使用時には全乗組員が〝発令艇〟と呼ばれる大型潜水艇に移乗し、海中で待避します。
【G1型超高速大質量撃砕弾頭弾】
通称〝グランド・ジャベリン〟。
シグルーンの環状質量射出機で投擲する、全長32メートルの超巨大ロケット弾。
固体燃料と液体酸素を利用するハイブリッド式ロケット・モーターを搭載し、投擲後20秒間は初速を維持可能。
安定翼等は無く、姿勢制御用の化学推進器を各部に内蔵しています。
【CMM-3/ホウセンカ】
爆砕弾に分類される近接防御用空対空機動爆雷。
主にミサイルの迎撃に用います。
棒状エアロスパイクによる推力偏向が可能な化学推進器を搭載し、機動性は意外と高いものの、射程距離はごく短いです。
【OSD-4/オウル】
中距離哨戒機を兼ねた光学観測用中型ドローン。
基本的に低空域(高度3000メートル以下)で運用。鈍足ながら航続距離は長く、成層圏プラットフォームからのメーザー送電で永続的に飛び続けることも可能。
推進器は二重反転型電動ダクテッド・ファン。
【MSTS(多目的成層圏プラットフォーム)】
高度3万メートルに滞空する超大型飛行船。
世界中に計1024隻が配置され、通信、気象観測、対地探査などを担っています。
稼働開始後、耐用年数が尽きるまで所定の空域に浮かび続け、着陸することはありません。
劇中世界には人工衛星が存在せず(打ち上げてもXENEMSに破壊されてしまうため)、成層圏プラットフォームがその代わりを担っています。
【AF-3/カロン】
XENEMSの新型強襲戦闘機。
可変翼を持ち、全ての速度域でドミニオンを凌ぐ運動性を発揮します。
火力や兵装搭載量もアギエル以上ですが、どの角度でもアギエルより被弾面積がやや広いのが弱点といえば弱点。
デザイン的にはカモメをイメージしています。
【AF-4/ディン】
XENEMSの特殊戦闘機。
単体での空戦能力をもつため便宜上〝強襲戦闘機〟の識別コードが与えられたものの、実質的には対艦ミサイルに相当する機体です。
その破壊力は大きく、単機でルーフ級護衛艦を大破せしめるほど。
水中翼を使って海面すれすれを高速飛行するのが特徴。
武装は対空レーザーガン4基のみ。
制限斥力場と対光学兵器用の高圧水膜装置を備え、非常に高い防御力をもっていますす。
【前衛戦闘機のコクピット・シェル】
VFのコクピットは基本的に全機種共通の規格。
モジュールは〝シェル〟と呼ばれ、そのまま脱出ポッドとして機能します。
シェルは複座にも対応し、単座の場合の余剰スペースは機体の予備電源に利用。
シートにハーネス等は無く、航空戦闘服のバックパックとブーツを減圧吸盤で吸着してパイロットを保定します。
キャノピーは二重になっていて、内側のインナーシェル内のみ与圧。
インナーシェル内面は全周囲モニターで、使用時はキャノピーを液晶シャッターで不透明化します。
操縦桿はボールにお椀をかぶせたような球体構造です。
右側でピッチングとローリング、左側で上下左右のドリフト(機体の向きを保持したままの並行移動)を操作。火器制御は右手に、スロットルと各種動翼の操作は左手に集約。
その他の操作は基本的に口頭、ないしは正面にある半円状のHAD(透明のタッチパネル)で行います。
【GSR-1/レプンカムイ級高速救難艦】
GAIAの各遊弋艦隊の随伴艦。
8基の大型電動ダクテッド・ファン、水中翼、水面効果翼を駆使して海面を時速200キロで滑走するトンデモ艦。ストークを6機搭載。
戦闘終了後に駆けつけ、脱出したコクピット・シェルの回収にあたります。
艦体の大部分はペイロードで、補給艦としての役割も兼ねています(艦隊には2隻配備され、随伴待機と補給物資搬送をローテーションしている)。
今のところ本編ではチラッと名前が出てくるだけの艦ですが、脳内イメージを補完すべく、そういうメカもできるだけデザインを起こすようにしてます。
【DC-3/ストーク】
円筒形のシュタイナー・プロペラが特徴的な搬送用大型ドローン、
機体中央のアームで対象物をつかんで運びます。
艦隊では海難救助や、脱出した前衛戦闘機のコクピット・シェルの回収などにも使用。
ちなみに軍用ではなく民生機です。