SCENE-000R
最終改訂2022年11月16日
西暦2083年6月1日、日本時間午後0時。
私は今、太平洋上空・高度1万メートルをマッハ2で巡航しています。
目指すは、GAIA第三遊弋艦隊旗艦・ネプチューン級洋上要塞艦『ネレイド』。
そこが、私と私の相棒の新たな根城となるのです。
申し遅れましたが、私の名は『レラ』。
八〇式試作前衛戦闘機NVX-0『レラシゥ』に搭載された、機上戦術支援システムの管制AIです。
そして、今、私のコクピットで時差調整のための仮眠をとっているのが、紫宮北斗。
私の専属テストパイロットで、邀撃自衛隊での階級は二尉。
本日付けで出向するGAIAでは、技術士官である特務中尉という階級が用意されているそうです。
そのGAIA第三遊弋艦隊は環太平洋の防衛の要であり、ここ一年あまりは四日に一度の割合で会敵しているとのこと。
いささか不謹慎ですが、私たちが実戦経験を積むには最適の場所でしょう。
そこで私は、他ならぬ私自身の意志により、これから経験する全ての事象を私の言葉で記録することにしました。
やがて産まれてくるであろう、我が〝妹〟たちのために。
そして、私自身の存在理由を再確認するために。
あるいはまた、いつか私が必要とされなくなる時代が来たときに、産まれてきて良かったと思えるように──。
短くて、ごめんなさい。
とりあえず、ぼんやりとでも本作の空気感が伝わればなー、と思って見切り発車しました。
どうか、よろしく。