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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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97.鎧袖一触・古の神ロキの力



-ロキ視点-



「爆ぜろ『エクスプロージョン・ゼロ』」


 ギュゥゥゥゥ!

 ドゴオオオオオオン!!



「「「「ギャァァァァァァッ!!」」」


 今ので数千匹は死に絶えましたか。

 何度再生しようが無駄ですよ。

 私の原初の炎は、その魂すら燃やし尽くしますからね。


「な、なんなんだあの男はっ!?」


「あんなとてつもない魔力を内に秘めた者が、地上に居るなど聞いていないぞ!?」


 雑魚共の声が耳障りですね。

 後ろではミレニアが悪魔共を屠っているはず。

 私も続けるとしますか。


「どうしました?世界樹を侵食したいのでしょう?では、掛かってきなさい。死ぬ覚悟が出来た者からね」


 その言葉に、多くの悪魔が後ろに下がる。

 ふぅ、惰弱な。

 ならば、少しこちらから前に出ると……ほぅ、アレは。


「こーら、何を下がっているの?貴方達、地上を魔界に統一したいんでしょう?なら、やる事は一つよね?」


「「「アスモデウス様っ!!」」」


「はぁ、めんどくさい……『サリギアの儀』とか、厄介な物発動してくれちゃって。お蔭で、私の部隊まで使わないといけなくなった」


「「「ベルフェゴール様!!」」」


 二人の大罪の悪魔の出現に、周りの悪魔が勢いづく。

 良いですね、その調子でこちらへ来ると手間が省けますね。



「ロキ、さん……」


「え?……ぬわぁ!?ろ、ロキィ!?ちょ、アスモデウス、私帰って良い?あんなの相手にしたら、私の部隊全滅しちゃうんですけど……」


 大罪の悪魔三強の一人、"色欲"のアスモデウスに、"怠惰"のベルフェゴールですか。

 アスモデウスは少々厄介ですが、まぁ問題ありませんね。


"ロキさん、聞こえますか?"


"この声はアスモデウスですか。なんです?命乞いなら聞きませんよ?この私から蓮華を奪い、アーネストの心を潰そうとしたお前達の罪は、大罪より重い。死して償いきれぬと知れ"


"蓮華さんと、会長の事は……申し訳ありません。ですが、命乞いではありません。ベルフェゴールや私でも、貴方に勝てない事は分かっています。……私は普段、兵を持ちません。その私が今回率いている兵、それは地上を魔界に統一せんと躍起になっている過激派と呼ばれる悪魔達です"


"フ……成程。つまり、これを機に一掃したいと?"


"はい。魔王リンスレット様は、そうお考えです。そして、だからこそ……この場に私が率いてきました"


"成程。まぁ、する事は変わりません。お前達共々、消してあげましょう。大罪の悪魔の三強であるお前と、"傲慢"のルシファー、"憤怒"のサタンが揃っているならばまだしも、お前だけでは勝ち目はありませんよ"


"……はい、それで構いません。ただ、私が最初に死ねば、この悪魔達は逃げてしまうでしょう。口だけは達者でも、自分が不利と見るや、すぐにでも逃げだす者達です"


"つまり、お前を生かしつつ周りを殲滅し、最後にお前を消すという事で良いのですね?"


"はい。こちらの都合ではありますが、もし宜しければ……お願いしたいのです"


"……一つだけ、確認しますよ。会長とは、アーネストの事ですか?"


"あ……!そ、そうです"


"成程。つまりアーネストの友人というわけですか。やれやれ……それでは殺すわけにはいきませんね"


"え……?"


"お前、いや貴女を殺せば、アーネストは少なからず傷つく。それを私は良しとしないだけですよ。貴女の事などどうでも良いですが、アーネストが少しでも傷つく可能性があるのならば、それを私が行うような愚は犯しませんよ"


"よろしいの、ですか。こんな、手前勝手な事を……"


"貴女の為ではありませんよ。まぁ、貴女にも立場があるのは理解できますからね。次にアーネストと会う時に、変わらず接してやってください。それが私への恩返しと思えば良い"


"分かり、ました。ロキさん、ベルフェゴールの部隊は、殲滅して頂いても構いません。あの半分は、過激派ですから。なので、連れてきました"


"元より、貴女以外見逃すつもりはありません。いや、貴女を見逃す為に、ベルフェゴールも見逃しますか"


"ありがとう、ございます、ロキさん"


"礼は不要ですよ。それでは、余り長い間睨みあっているのも不自然でしょう。悪魔達をけしかける役は、任せましたよ"


"分かりました"


 やれやれ、面倒な事を引き受けてしまいましたね。

 ですが、アーネストの友人という事は、学園での関係者に紛れていたのでしょう。

 大罪の悪魔の中でも、三強に数えられる大悪魔。

 魔王リンスレットの懐刀が、学園に潜入していたという事は、予めこうなる事を予見していたと見るべきですね。

 仕方がありません、これも兄弟子の務めと思いましょう。


「さぁ、後ろには私達が控えているわ。何を恐れる事があるの?行きなさい、地上を魔界とする為に!!」


「「「「おおおおおおぉぉ!!アスモデウス様万歳ー!!」」」」


 成程、魅了を使ったのですか。

 これなら後は脇目も振らず向かってくるだけですね。

 身の程も弁えず、向かってくるゴミを片づけるとしますか。


「天の風琴が奏でる旋律を聞くがいい。『サンダーストーム・ボルテックス』」


 バヂバヂバヂバヂバヂ!!


「「「「ガァァァァァァッ!!」」」


 天から降り注ぐ雷の嵐に、悪魔達が燃やされていく。

 数千、数万の悪魔達が耐えきれず消滅するが、まだまだ海のように悪魔達は残っている。


「ククッ……力の差を知れ。愚物共では死ぬまで気付けないでしょうがね」


 そう言い放ち、魔法を唱え続ける。

 魔法を受け、消滅していく悪魔達。

 体が消えていく為、地上にその死体が積まれる事は無い。

 そう、このユグドラシル領に、薄汚い悪魔共の肉体の破片だろうと、落とす事などしない。

 私の友、ユグドラシルがその命を掛けて守った世界。

 一度は壊そうと思った。

 だが、マーガリンとアリスに止められた。

 それから数千年、虚ろに生きてきた。

 そんな時に出会った、私の宝物達。

 何の裏もない笑顔を向けてくれる二人。

 私とマーガリンの為に、躊躇いも無くその命を掛けてくれた二人。

 そして、この上なく私達を好んでくれている事が分かってからは。

 私は、二人の事がこの世で一番大切になっていた。

 地上を魔界にするだと?

 そんな事を許すものか。

 あの二人が大切にしている物を踏みにじる者は、誰であろうと私の敵だ。

 全て、滅するのみ。

 そうして、残す所アスモデウスとベルフェゴールのみとなった。


「さて、これでもうお前達二人だけですね。見晴らしが大変良くなりました」


「ロキ、お主も終わったか」


 ミレニアが横に並ぶ。


「ヒッ!?ろ、ロキに加えて、真祖ミレニアまで……アスモデウス、例え貴女が居ても……私達もぅ、おしまいね……」


「いいえ、ベルフェゴール。終わりではありません。ほら、世界樹を見てください」


「え?……魔界の世界樹の根が、消えてる!?ど、どうなってるの!?」


「つまり……『サリギアの儀』は失敗したんです。魂を取り込めなかったのでしょう。私達の侵攻は、失敗です。他の悪魔達を下げさせに行きなさいベルフェゴール」


「で、でも、この場から逃げるなんて、できるわけ……」


 仕方ありませんね、乗ってあげるとしましょう。


「構いませんよ。私達は降りかかる火の粉を払っただけ。ただ、それだけですから」


「良いのか、ロキ」


「ええ」


「……そうか。ならば妾も何も言うまい」


「っ!!それじゃアスモデウス、私は撤退命令を出してくるわね!」


 そうして、ベルフェゴールがここから離れるのを確認する。


「アーネストは上手くやったようですね」


 世界樹から、禍々しい毒素が消えるのを感じた。

 そして、この気配は……ユグドラシル、記憶を消したと思っていましたが、一部残しておいたのですね。

 この時の為に、というわけですか。

 まったく、貴女はどこまで聡いのか。


「ロキさん、ありがとうございました」


 そう言って、頭を下げる彼女に応える事にする。


「礼は不要と言ったはずですよ。貴女は貴女の為すべき事をしなさい」


「はい。この恩はいつか必ず。……その、会長に……アーネストさんに、私が謝っていたと、お伝え願えますか?」


 奥ゆかしい言葉ですが、それは聞けないですね。


「自分で伝えなさい。アーネストは、その方が喜ぶでしょう」


「!!……分かりました。それでは」


 そうして、彼女も飛び立って行った。


「ミレニア、恐らく蓮華とアーネストも地下に戻るでしょう。すぐに戻りますか?」


「ふむ……いや、少し他が気になるでな。見てこようと思う。お主もどうじゃ?」


「そうですね……私はどうでも良いのですが、蓮華とアーネストが語り合う時間も必要でしょうからね。良いでしょう」


「お主、本当に二人の事が最優先なのじゃな……」


「当たり前でしょう」


 そう答えると、ミレニアは笑った。

 蓮華、アーネスト、よく頑張りましたね。

 帰ったら、褒めてあげなくては。

 私なりの方法で、ですが。



-ロキ視点・了-



補足ですが、大罪の悪魔達が弱いわけではありません。

ただ、ロキやミレニアが別格すぎるだけ、という事をこの場で言わせてください。

地上で無類の強さを誇る蓮華やアーネストですが、大罪の悪魔の中で一番弱い悪魔でも(ここでは言いませんが)現時点での蓮華やアーネストよりも上です。

そんな大悪魔が七人も居て、更に魔王であるリンスレットが存在しています。

魔界ははっきり言って地上を武力で制圧する事も可能でしたが、それをしなかったのは、ひとえにユグドラシル領の存在があったから、です。

そこら辺の事も、いつかお話の中で書かないとなぁと思いつつ、ひとまず後書きで失礼致します。

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