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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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95.家族の元へ

「それじゃ、そろそろ出ましょ。私『ポータル』使えるから、アンタ達も一緒に連れて行ってあげるわ。って、まぁ蓮華なら使えるか」


 その言葉に視線を逸らす。


「アンタまさか……」


「はい、使えません……」


 正直に言った。


「なんでよ!?『ポータル』なんて無属性の比較的簡単な転移魔法でしょ!?設置してる場所に行くだけの!『ゲート』や『ワープ』とかと違って、明確なイメージもいらないのよ!?」


「はい、すみません……」


 小さくなる私だったんだけど……。


「ぶはっ!ははははっ!」


 アーネストに滅茶苦茶笑われたので、正拳突きをお見舞いしてやった。


「ごふっ……!?お、おま、み、ぞおち、は、酷くねぇ……?」


 なんて言ってくるけど、最初に大笑いしたのお前だからな!


「はぁ、まったく……。私のライバルがそれじゃ困るから、学園で教えてあげるわ。帰ったら決着もつけなくちゃだし」


「「決着?」」


 私とアーネストが揃って言う。


「私と蓮華との準決勝よ。あれ、途中からイグドラシルに体の制御奪われちゃって、戦えたの最初の魔法の撃ち合いだけだったのよ」


「あー……」


 やっぱり、『メタモル』解いた後からはイグドラシルに成ってたのか。


「あんなの認めないわ。私は私の力で、蓮華に勝つわよ」


 なんて言ってくるので、笑ってしまった。


「あは、あはははっ」


「なによ、何が可笑しいのよ」


「いやだって、ノルンって負けず嫌いなんだなって思って」


「五月蠅いわね、私の教育担当者のせいよ!」


 なんて赤くなって言ってくるノルンが可愛かった。


「もしかして、あの一緒に居た男か?アリスと互角にやりあってた……」


 ああ、居たね。

 あのアリス姉さんと互角に戦うとか、ヤバすぎる。


「そうよ。私は彼からずっと学んできたの。やられたら倍返しって教わってきたわ」


 半沢○樹かよ!って思ったのは、多分アーネストもだろうな。

 分かった、そいつ絶対転生者だ。

 アーネストの方を向いたら、頷いた。


「そういえばずっと聞きたかったんだけど、なんでノルンは私を狙ってたの?」


「私自身、蓮華の事を気になってたってのはあるんだけど……イグドラシルの一つになりたいって意思が、私の意思を侵食しててね。ずっと頭痛が止まなかったの。おぼろげながら、蓮華の魂を奪いたいとか、奪えばこの頭痛から解放されるとか、もう思考がぐちゃぐちゃで、特に学園に来てからそれが顕著になってしまったの」


 それで、言動が時々変だったのか。


「ごめんなさい、蓮華。私はもっと正々堂々と蓮華と戦いたかった。だけど、出会いがあんな形になってしまった。だから、謝るわ」


「ん、良いよ。イグドラシルにも言ったけど、もう許してる。だから、これからはよろしくね?」


 そう笑顔で言ったんだけど。


「勘違いしないで。私は蓮華と仲良しこよしをするつもりはないわ。ただ、礼儀を通しただけよ」


 横を向くけど、その頬が赤くなっているのが隠せていない。

 だから思わず言ってしまった。


「「ツンデレだ」」


「なんですって!?」


 思わず出た言葉がアーネストと被る。

 私達は笑ってしまった。


「はは。そいやさ、蓮華とノルンの見た目がほとんど変わらねぇよな。学園卒業したら服装も違うようになるけど、学園だと制服も一緒だし、色でしか判断つかねぇ」


「私からしたら、別に自分を見ないからなんとも思わないけどなぁ」


「私も。けど、そうね……なら、私はツインテールかポニーテールにでもしようかしら」


「おま、ツンデレキャラの王道を自分から行く、だと!?」


「アンタは何を言ってるのよ……!?」


「ぶふぅっ!」


 二人の会話に吹き出してしまった。

 いやだって、面白すぎるんだもの。


「もう、アンタ達と話してると、調子が狂うわ。ほら、さっさと出ましょ!元からそのつもりだったのに、なんでこんなに話が逸れるのよ!?」


「それは蓮華のせいだな」


「お前も乗っかったじゃないかアーネスト……」


「はぁ、もう良いから!こっち来なさい二人とも!」


 そう言われて、ノルンに抱きつく。


「そこまで引っ付かなくて良いわよ!傍に来るだけで良いのよ!」


 赤くなっているノルンが可愛い。

 あれ、私はこんな性格だったろうか。

 イグドラシルと融合しかけて、性癖が変わってしまったとか?

 私のせいにするなーって聞こえてきた気がするので、この話題はやめよう。


「あ、そうだノルン。一番下に転送できないか?」


「『ポータル』じゃなくて『ワープ』なら可能だけど、なんでよ?」


「世界樹に入った時にさ、魔物が居たんだよ。それをセルシウスが残って食い止めてくれてたんだ。きっと、下で待ってると……」


 アーネストが言い終わる前に、声が聞こえた。


「レンゲ!アーネスト!」


「「セルシウス!!」」


 セルシウスが傍に寄ってきて、私に抱きついてきた。


「レンゲ……良かった!本当に、心配させて……!」


「うん、ごめんね。ありがとうセルシウス。だけど、他の大精霊の皆は……」 


 そう、私をイグドラシルと分離させ、アストラル体を生成してくれた。

 その際に、私の魔力を全て、私に返してくれた。

 そして、私の中からその存在は消えてしまったんだ……。


「ああ、それなら大丈夫。世界樹が元に戻ったでしょう?だから、今は蓮華の作ってくれたあの家で、休んでるはずよ」


「「本当に!?」」


 アーネストと言葉が被った。


「ええ。大精霊の私が言うんだから、分かるでしょ?」


 そっか、良かった……本当に良かった。

 そう思っていたら、セルシウスがノルンを睨む。


「お前……」


「ま、待ったセルシウス!今のノルンは!」


「良いのよ蓮華。例え私の意思でなくても、私がした行いは変わらない」


 そう言って、セルシウスに近づくノルン。


「お、おいセルシウス、ノルンはさ……!」


 アーネストもなんとか穏便に済まそうと、声を掛けようとする。

 すると、セルシウスは笑う。


「ふふっ、レンゲとアーネストが庇うのに、私が怒る筋合いはないわね。でも、心配をかけたのは本当なんだから、私達大精霊はともかく、貴方達の家族にはしっかり怒られる事、覚悟しておきなさいね?」


 そうウインクをして言ってくれるセルシウスに、大人の女性の魅力を感じた私だった。

 ノルンも、頷いてた。


「それじゃ、もう下には戻らなくて良いわね?」


「おう、セルシウスとも合流できたしな」


「それじゃ、外に出るわよ。『ポータル』」


 瞬間、景色が変わる。


「ここは……」


 いつもの、世界樹近くの泉だ。


「あんまり経ってないはずなのに、懐かしい感じがするなぁ」


「はは、確かにな」


「レンゲ、アーネスト。私は先に、リンスレットに会いに戻るわ。また、後で」


 そう言って、魔法を使いノルンは転移していった。


「あいつ、思ってたより悪い奴じゃないってか、面白い奴だよな蓮華」


「うん。私は仲良くできると思う。それに……」


「「ツンデレだし」」


 お互いに顔を見合わせて笑い出す。

 そんな私達を見て、セルシウスは苦笑している。


「レンゲ、貴女はまず体に戻りなさい。そのままだと、そちらが世界に定着してしまうわよ。まぁ、あまり変わりはないでしょうけど」


「了解。アーネスト、場所教えて」


「おお、そうだったな。今は地下のベッドに寝かせてる。多分母さんとアリスが居るはずだぜ」


「そっか、心配掛けちゃったからなぁ……」


「おう、母さん泣かせたんだ。しばらく離れられないぜ多分」


「うへぇ……」


 会話をしながら、歩く。

 母さんにも、兄さんにも、アリス姉さんにも心配を掛けてしまった。

 それに、闘技大会もあんな事になってしまって、申し訳ないと思う。


「あれ、誰もいねぇな……」


 本当だ、地下室はもぬけの殻になっていた。

 でも、私の体を見つける。


「なんか死体みたいだ……」


 私のその言葉に、アーネストが言う。


「お前な。お前が言うなよ、本当に」


 その言葉に苦笑する。

 そして、体に触れると、アストラル体が吸収されていくのを感じる。

 目を開ける。

 うぅ、なんか体が重い。

 これがアストラル体から変わるって事なのか。

 さっきまで、空に浮いてる感じで、凄く軽かったのに、今は重みを感じる。


「蓮華、俺が分かるか?」


 なんてアーネストが聞いてくるので。


「分からん」


 って言ってやった。


「お前、その顔は絶対覚えてるよな?そうだよな?」


 なんて少し心配そうに聞いてくる。

 おっと、ちょっと意地悪しすぎたかもしれない。


「ごめんごめん。覚えてるよアーネスト。私の一番大切な、自慢の親友だ。忘れるわけないだろ」


 そう言ったら、アーネストが抱きついてきた。


「このやろうっ!心配させやがって……!本当に、良かった……!」


 そう言って、アーネストが泣いた。

 本当に心配かけてしまったみたいだ。

 背中をポンポンと叩いてやる。


「ありがとな」


 そう言って離れて、ベッドから立ち上がる。


「さて、それじゃ母さん達を……」


 探しに行こう、そう言おうとしたら。


「レンちゃーーーーーーん!!!!」


 と言いながら、母さんが抱きついてきた。


「おぐぅっ!?」


「レンちゃん!レンちゃん!レンちゃぁぁぁん!!」


「ぐぇぇぇっ……く、苦しい、苦しいからかぁさんっ!!」


 呻き声が出てしまうくらいにはきつく抱きしめられているので、抗議するも、効果がない。

 ちょ、ま、本当に気絶しちゃう、気絶しちゃうから!

 バンバンと割と本気で背中を叩く。


「あ、ごめんねレンちゃん!でも、でもぉ!!」


 そう言って、一旦離れたと思ったら、また抱きついてくる母さん。


「もぅマーガリンは。……お帰りなさい、蓮華さん」


 そう微笑んで言ってくるアリス姉さん。


「うん、ただいまアリス姉さん」


 母さんに抱きしめられながら、アリス姉さんにそう返す。

 アリス姉さんは微笑みながら、涙を拭っている。

 周りを見渡したら、兄さんにミレニアも居た。


「無事で安心しましたよ蓮華。それに、アーネスト。よくやりました。私の自慢の弟弟子ですよ」


 その言葉に、嬉しそうにするアーネスト。


「まったく、ひやひやさせおって。気が気でなかったわ。まぁ、無事でなによりじゃ」


 そうミレニアも笑顔で言ってくれる。

 私は、帰ってくる事ができたんだ。

 それを実感して、嬉しくなった。



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