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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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93.残された者達

 世界樹の麓の近く。

 地下に造られたその場所は、長期間生活をしても問題の無い場所になっている。

 そこで、今は二人、いや三人だけが残っていた。

 マーガリンにアリスティア、そして意識を戻さない蓮華だ。


「レンちゃん……」


 ずっと蓮華の手を握り、蓮華に付き添っているマーガリン。


「マーガリン、私、行くよ」


「……アリス?」


「蓮華さんはきっと、こんな時……他の人達を助けようとすると思うんだ。ロキにミレニアが、世界樹には敵を近づけさせないと思う。だけど、他の国は違う。きっと、悪魔達の侵攻を防ぎきれない国だって出てくる」


 その言葉を、黙って聞くマーガリン。

 アリスティアは続ける。


「私達なら、各国へすぐに救援に行ける。ううん、私達にしかできないの」


「……」


「マーガリン、蓮華さんが心配なのは皆一緒。だけど、考えてみて?蓮華さんが目を覚ました時……自分のせいで、たくさんの人が傷ついたなんて知ったら、優しい蓮華さんがどう思うかなんて、分かるでしょ!?」


「っ!!」


 途中までは静かに語っていたアリスティアだったが、語尾を強める。

 蓮華の事を想い、感情が高ぶった為だ。


「私は……」


「マーガリン、今私達のする事は何?ここでこうして、蓮華さんが目を覚ますのを、ただじっと待っておく事?アーくんや皆が、蓮華さんの為に力を尽くそうとしてる。……人類の始祖が、元精霊王が、そんなで良いの!?」


「!!……そうね、アリス、ありがとう。レンちゃん、私も行くね。皆を助けに。レンちゃんを助けるのは、アーちゃんに任せる。だから、私達は、レンちゃんの大事な物を、守りに行くよ」


「マーガリン……!」


 嬉しそうに微笑むアリスティア。

 先程までの弱気だったマーガリンは、もう居ない。


「行くわよアリス。全ての王国へ。久しぶりに、暴れてやるわ」


「ふふ、そうこなくっちゃ!」


 こうして、地上最高戦力の二人も戦線へ向かう。

 ただ、蓮華の大切な物を守る。

 その為に。



「あーねすとちゃん、すとっぷだよ~」


 世界樹はもう目の前、という所で、ドライアドがそう言ってきた。


「どうしたんだ?」


「これね~、多分消してもまた吹き出してくるたいぷだから~、身を守る方向でいくしかないかな~」


「つまり?」


「あーねすとちゃんの中に、せるしうすちゃん以外は入る事になるね~」


「ええと、そんな事できるんだな。ああ、俺は構わねぇよ」


「うふふ~、それじゃ入るね~。せるしうすちゃん、よろしくね~」


「ええ、分かったわ。私にも加護をよろしくねドライアド」


「もちろん~。あーねすとちゃんとせるしうすちゃんだけなら、余裕だよ~」


 そう言って、次々と俺の中に入ってくる大精霊達。

 いやまぁ、入ってくると言っても、なんか変な感じはしないけど。


「セルシウスはアストラル体、なんだったか?」


「ええ。だから、私は貴方の中には入れない。貴方の中に皆居るけれど、基本出てこられないと思った方が良いわ」


「オーケー、了解だ。大精霊の皆のお蔭で中に入れるんだ。それだけでも助かってる。行こうぜセルシウス!」


「ええ」


 二人世界樹の中へ進む。

 紫色の霧で視界が悪い。

 草木は枯れ、酷い事になっている。


「くそっ……」


 思わず零れる。

 蓮華、無事でいてくれ!


「ここね」


 セルシウスが立ち止まる。

 そこは、世界樹の木そのもの。

 さて、ここからどうやって入るのか。


「なぁ、なんか入口があんのか?」


「いえ、そのまま進めばいいわ。入れるから」


「マジかよ……うし、男は度胸だ!行くぜ!」


 そう言って駆ける。

 木にぶつかると思ったが、何も無く中に入れて拍子抜けした。


「なんだこれ、木の中に螺旋階段とか、どうなってんだこれ……」


 中に入った途端、上に続く階段がある。

 どこまでも続くかのように見えるその階段。

 一番上が霧がかかっていて見えない。

 外と同じように、紫色の毒々しい雰囲気だ。


 ガチャガチャガチャ……


 鎧の擦れるような、変な音が聞こえる。


「魔物!?」


「マジかよ、世界樹の中にそんなもんが居るのか!?」


 双剣を抜く。


「ダメよアーネスト。貴方はこんな所で時間を掛けては」


「でもよ、倒さないと進めそうにないぜ?」


「ええ、だから私と一緒に階段まで走りなさい。後は、任せるわ」


「お前……」


「レンゲをお願い。ここは私が抑えるわ。上には絶対に行かせない。だから……レンゲを……任せるからね」


 本当はセルシウスも蓮華の元に行きたいはずだ。

 だけど、その気持ちを抑えて、俺に託してくれたんだ。

 ここで応えなきゃ、男じゃねぇよな。


「分かった。任せろ、セルシウス!」


「それじゃ、行くわよアーネスト!」


「おうっ!」


 階段まで駆ける。

 魔物を斬り伏せ、弾き飛ばしながら、ただ前へ!

 階段に辿り着き、俺はそのまま駆け上がる。

 セルシウスは立ち止まり、魔物の方へ向き直る。


「任せたからね、アーネスト!レンゲを絶対に、助けるのよ!」


「ああ!任せとけ!」


 走る。

 ただひたすらに、上へ。


「はぁっ!はぁっ!」


 どれくらいの時間走っただろうか。

 息がきれそうになる、凄まじく長い階段だ。

 けれど、ようやく天井が見えてきた。

 感じる、イグドラシルの力を。

 間違いない、この先に、居る……!


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