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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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92.鎧袖一触

 空。

 二人の神、いや一人は神ではない、吸血鬼の真祖だ。

 その二人が空で海の向こうに見える悪魔達の大群と、魔界の空から侵食する世界樹の根を見ている。


「やれやれ、面倒な事ですね」


 溜息を零しながら言うのは、古の神、ロキ。


「ククッ。昔のお主なら、世界樹を壊しておったろうに。変われば変わるものよな」


 そう心底可笑しそうに言うのは、吸血鬼の真祖であるミレニア。


「私はねミレニア。蓮華とアーネストの居ないこの世界に、もはや興味はないのですよ。それ程までに、二人の事を気に入っているのです」


 その言葉を、目を瞑って聞くミレニア。

 その表情は、どこか嬉しそうに見える。


「もしイグドラシルが、蓮華の心を穢したならば……アーネストの心を押し潰したならば……この私自らが、消してやりましょう」


「それが、ユグドラシルの意思だとしてもか?」


 そのミレニアの問いに、ロキは涼しげな顔で答える。


「あの姉馬鹿の妹と違って、ユグドラシルは聡い。だからこそ、記憶を残さなかった。長い年月は、精神を穢す。今のイグドラシルのように」


「……そう、じゃな」


「今のイグドラシルは、蓮華の事がユグドラシルに見えている。それをアーネストならば解けるでしょう。私達は、それを待てば良い」


「それが、大罪の悪魔達を相手取る戦いとなってもか?」


 その言葉に、鼻を鳴らすロキ。


「フッ。言ったでしょうミレニア。私は蓮華とアーネスト以外の存在など、興味が無い。二人の邪魔をする者は誰であっても……例え神々であろうとも、潰して見せましょう」


「クハッ!蓮華にアーネストが羨ましいな。お主にそこまで想われるとはのぅ。良かろう、妾も蓮華の事は気に入っておる。手を貸すさ、友の為にな」


 そう言って魔力を身に纏うミレニアに、ロキは微笑んだ。


「ありがとうミレニア。蓮華とアーネストに力を貸してくれる事、感謝しますよ」


 ロキからの純粋な礼に、ミレニアは慌てる。


「お、お主、そんな事を言う奴じゃったか!?」


「失礼な。私も感謝くらいしますとも」


「いーや!お主が礼を言った所など、初め……む、無粋な輩が近づいてきたようじゃな」


「ククッ……そうですね。では、久方ぶりに、力を解放致しましょうか」


「うむ、背中は任せて良いな?妾は前のみを殲滅するでな」


「ええ、任せてください。ミレニアの力は信頼していますからね、私も後ろは気にしませんよ」


「嬉しい事を言うてくれる。では、ゆくとするかのぅ」


 こうして、古の最高位の神と吸血鬼の真祖が悪魔達の大群を相手取る。

 その戦いはまさに鎧袖一触。

 多くの悪魔達が一瞬で塵となり、地獄のような戦場と化す。

 世界樹に近寄る悪魔達は、一定の距離より近づけず、撤退を余儀なくされた。

 後にこの戦いを見ていた者達から、神魔の蹂躙と称され、語り継がれたのは余談。




「すっげぇ……兄貴もミレニアも、凄すぎるだろあれは……」


 空を見上げると、兄貴とミレニアの凄まじい戦いが見えた。

 兄貴が手を翳すだけで、魔法が吹き荒れ、悪魔達が一瞬で塵と消える。

 ミレニアも同じで、あれは弓だろうか?構えて放つその矢は、波のように押し寄せる悪魔達を貫く。

 一矢で凄まじい数の悪魔達を巻き込むその矢を乱れ撃ちだ。

 悪魔達が凄い叫び声をあげながら消滅してる。


「いやー、上には上がいるのは知ってたけど、あれは勝てねーだろ……」


 そう零しても仕方がないくらい、あの二人の力は常軌を逸している。


「アーネスト、余所見をしている暇はありませんよ。あの方達がしているのは、時間稼ぎなのですから」


 そう言ってくるウンディーネに頷く。

 今俺達は世界樹に向かっている。


「なぁ、力を貸してくれとは言ったけど、実際どうすれば良いんだ?俺には魔力がねぇから、お前達の魔力を借りられれば、と思って言いはしたけどさ」


 と走りながら問いかける。

 セルシウスが答えてくれた。


「私達は、レンゲと契約を交わしてる。だから、中に入る事に抵抗を受けないわ。レンゲの付属物として、ね。けれど、それだけでは中で消滅するでしょう。周りのマナに吸収されてしまってね。だから、アーネストとも契約を結ぶわ。そうすれば魔力が拮抗して、私達はしばらくは消えないし、アーネストも消える事は無いわ」


 その言葉に衝撃を受けた。

 つまり、大精霊達は……文字通り、命を掛けてくれている事になるからだ。

 どこか俺は、軽く考えてしまっていたのかもしれない、大精霊達の想いを。

 だから、心からの礼を、言う事にした。


「……ありがとう、皆。蓮華の為に、力を貸そうとしてくれて。俺の為じゃない事は分かってるけどさ、やっぱ嬉しいんだよな。あいつの為に、本気で力を貸してくれる奴らが、こんなに居てさ」


 俺がそう言ったら、大精霊達は微笑んで言ってくれた。


「まったく、貴方はレンによく似ていますね」


「そうね。レンゲと魂が同じって聞いてるけど、納得だわ」


「ふはは!安心せい!わしらが力を貸すのだ、ドラマで知った豪華客船、なんだったかいのう?あれに乗ったくらいの気持ちでおれい!」


「イフリートのアホー!!それ沈没したでしょー!?」


「なんじゃと!?それは本当かサラ!?」


「全部見てから言いなよー!!」


 大精霊達の会話に、心が温かくなるのを感じる。

 皆、蓮華が心配なのに、俺の事も気遣ってくれているのが分かる。


「アーネストの旦那、心配なのは分かりやすが、焦っても仕方ねぇ。俺達も自身の魔力を使いやす。蓮華様から頂いたこの魔力は、決して使わずに留めておきまさぁ」


 一見ドワーフに見えるが、大精霊のノームだと聞いた。

 本当に色んな姿をしている。

 イフリートなんて、前の世界で読んだ漫画に出てくるなんとか不敗って爺さんそっくりだぞ、どうなってやがる。

 あいつ、本当に色んな奴と知り合って、仲良くなっていってたんだな、としみじみと思う。


「あーねすとちゃん、世界樹を蝕んでる周囲の毒は、私に任せてね~」


 そう言ってくるのは、葉っぱで身を包んだ大精霊、ドライアド。

 正直目のやり場に困るんだが、今は気にしていられない。


「分かった、頼む」


 その言葉に微笑むドライアド。

 大丈夫なのか?なんて疑ったりしない。

 蓮華の知り合った仲間だ。

 俺が信じないでどうする。

 

「もう少しで世界樹に到達するな。皆、急ぐぞ!!」


 俺の言葉に大精霊の皆が返事をしてくれる。

 待っててくれ蓮華、俺達がすぐに助けに行くからな!



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