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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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82.闘技大会予選Aブロック

 光に包まれた感覚がなくなり、大きな歓声が聞こえる。

 どうやら、闘技場に無事転送されたようだ。

 見回すと、凄い数の生徒達と、親御さんだろうか?身なりの良い人達も居る。

 観客席は段になっており、一番高い所は貴賓席なのだろう、煌びやかな服装をした人達がこちらを見ている。

 闘技場と観客席の間には水が張ってある。

 これに触れると、指定の場所に転送される。

 いわゆる、場外というやつだね。

 当然闘技場と観客席には強力な結界が張ってあり、こちらからの攻撃は通らないようになっているらしい。

 どこまで耐えられるか知らないけどね……資料読んだだけだから。


「さて、会場にお越しの皆様、お待たせ致しました。これより、ヴィクトリアス学園主催、闘技大会予選を開始させて頂きますわ」


 ワァァァァァァッ!!


 カレンの言葉の後、割れんばかりの歓声が聞こえる。

 ほとんどは生徒達なはずだけど、この学園どれだけの人が居るんだ……。


「それでは、僭越ながらこの私、カレン=ジェミニが試合のルールを説明させて頂きます。ご清聴願いますわ」


 その言葉と同時に、全員が静まりかえり、カレンを見る。

 凄いな、と思った。

 やっぱり、国を守る存在というのは、カリスマがあるんだろう。


「予選では、この闘技場に最後まで立っていた一名のみ、本選へ進む事ができますわ。武器の使用、道具の使用、魔法・魔術の使用、全てOKです。持てる全ての力を駆使し、勝利してください」


 本当になんでもありなんだな……。

 というか、それ死人が出てもおかしくないんじゃないか。

 まぁ、そうならないように審判は腕利きしかなれないんだろうし、何か仕掛けはあるんだろうけど。


「説明はこんな所です。選手の皆さんは、自分の好きな場所へ移動してください。私の合図で、試合開始となりますわ」


 そう聞いて、皆が思い思いの位置へ移動を開始する。

 私は今、闘技場のほぼ中心に居る。

 まぁ、別にここで良いや。


「クス、蓮華お姉様は移動されないのですね」


 なんて小声で言ってくるカレンに、苦笑して返す。


「だって、一番良い位置だと思うんだよね、ここ」


 そう言ったら、笑って言ってくる。


「それは、蓮華お姉様だけですわ」


 そんな事ないと思うんだけどなぁ……。

 とりあえず、開始の合図と同時にすぐ放てるように魔力を全身に張り巡らせようとする。

 それと同時に、カレンから合図が出た。


「それでは、試合開始!」


 観客達の歓声が聞こえる。


「おい!まずは蓮華さんを倒すぞ!」


「ええ!蓮華お姉様を倒さないと、個々ではきっと勝てないもの!」


 おー、そうくると思ってたよ。

 全員が私の方を向いて構えている。

 だけど、それを予測してたから、中心なんだ。

 全身に張り巡らせた魔力を解放する。


 ゴォォォォォッ!!


 魔力の渦が、私の全身を覆い、溢れた魔力は竜巻のように巻き上がる。


「「「なっ!?」」」


 全員が驚いているのが分かる。

 そうだろうね。

 ここまでの魔力は、実技訓練では見せてないからね。


「悪いけど、今回は負けられないから、一気に行くよ!『トルネードストーム』!!」


 凄まじい風の嵐が、私を中心に広がっていく。


「うわぁぁぁっ!!」


「な、なにこれ!?『マジックシールド』が効かな……きゃぁぁぁっ!!」


 全員どんどん吹き飛ばされ、場外に落ちていく。

 転移されるから、今頃転移先は選手達がポンポン落ちてるんじゃないだろうか。

 魔力の発動を止める。

 闘技場に残されたのは、私とカレンのみ。

 全員、水を打ったように静かになっている。

 だけど、カレンだけは笑みを崩さずに言ってくれた。


「予選Aブロック通過者、レンゲ=フォン=ユグドラシル!」


 その宣言と同時に、また凄まじい歓声に包まれる。


「「「蓮華様素敵ー!!」」」


「「「すっげぇぇぇ!!」」」


 等々、聞こえてくる。

 ちょっと恥ずかしいけど、こういう舞台に立つと興奮するものだね。

 それから、光に包まれ、地下に戻された。


「お、やっぱ蓮華だったな」


「当たり前でしょアーくん。蓮華さんが負ける要素なんて全然ないもん。でも、早すぎじゃない?」


 なんて言ってる二人の元へ行く。


「魔法で一発で終わっちゃったからね」


 なんて軽く言ったら、溜息をつかれた。


「はぁ、お前もしかして竜巻とか出したな?」


「えっ、そうだけど不味かった?」


「いや不味くはねーけど、もちっと戦ってやれよ……」


 なんて言われたけど、そんな事言われても。


「あはは、蓮華さんらしいね。次はノルン、だよね」


 アリス姉さんのその言葉に、中央を見る。

 先程の係りの人が、次はBブロックの人達を呼んでいる。

 集まった人達の中で、私を見ている人がいた。

 そして、微笑んで口を開いた。

 声に出してはいない、だけど、私には聞こえた。


「待っててね」


 と。

 それから、光に包まれ、全員見えなくなった。

 間違いない、彼女がノルンだ。

 アーネストにアリス姉さんも気付いたようだ。


「あれは、厄介だな。強いぞ、蓮華」


 アーネストは一目で見抜いたのだろう。

 彼女の内に秘めた強さを。


「うん……でも、負けるつもりはないよ」


 そう言って私は目を瞑る。

 ノルンは確実にここに戻ってくるだろう。

 勝利、それを手に入れてから。

 ここではノルンの戦いを見る事はできない。

 それだけが残念だった。




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