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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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81.闘技大会開幕

 闘技大会当日。

 ほぼ全生徒達が集まっているんじゃないかと思うくらい、会場に生徒達が溢れている。

 ローマのコロッセオを連想させる創りに圧巻される。

 まぁ、あんな血生臭い雰囲気ではないけど。

 選手達は地下に待機し、出場する選手は地下にある舞台中央に立ち、試合時間になったら観客達が集まる闘技場に転送される仕組みなんだそうだ。

 予選は多くの選手達が同時に闘技場に集まる形の、いわゆるバトルロワイヤルだ。

 A、B、C、Dの4つの組に別れ、それぞれ生き残った4名による一対一のバトルが午後から行われる。

 カレンとアニスは審判をするようで、最初から闘技場に居るそうだ。

 それで、気になってた組分けだけど……。


「アーネスト、これ絶対イカサマしたろ……」


 参加者のブロック分けの一覧を見ながら言う。

 ジトーっとアーネストを見たら、普通に返してきたから困る。


「当たり前だろ、予選でお前とノルンが同じ組になったらどうすんだよ」


 そう言われては何も言い返せない。

 私がそれを望んだから、アーネストは行動してくれたのだから。

 礼を言おうとしたんだけど。


「それに、俺もどうせ戦うなら、決勝が良いからな!」


 そう力説するアーネストにお礼を言う気は失せた。

 ちなみに、私はAブロックの組で、アーネストはCブロックの組だった。

 確かに、順当にお互いが勝ち進めば、決勝で戦う事になる形だ。

 というか、ノルンは変装しているはずだけど、分かったのだろうか?

 疑問に思ったので、聞いてみた。


「ああ、参加申込書に、ご丁寧に名前をそのままノルンで出してきたからな。もう隠す気は無いんだろ。姿は以前見た時と違ったけどな」


 成程。

 それなら分けられるか。

 この地下のどこかに、ノルンはいる。

 今は大勢居すぎて、見つけられないけどね。


「ちなみに、ノルンはどのブロックに?」


 貼ってある一覧の名前が多すぎて、すぐに見つけられなかった。

 アーネストとアリス姉さんは一番上にあったから、すぐ分かったけど。


「できるだけ最初に会いたいだろうから、Bブロックに割り振っといたぜ。絶対勝てよな蓮華、決勝で俺と戦おうぜ!」


 そうニカッて笑うアーネストだけど……。


「でもアリス姉さんはDブロックだよね。絶対勝ち上がるだろうし、多分アーネスト勝てないよ?」


 そう、アリス姉さんは私と戦う時は手加減してくれるけど、他との戦いでは情け容赦が一切ないのだ。


「アリスの強さは分かってる。だけど、力では負けてても、勝つ方法はあるもんさ」


 その言葉に感心する。

 そうか、アーネストはアリス姉さんに勝算があるんだ。

 なまじずっと居たからか、私はアリス姉さんに勝てる気がしていなかった。

 でも、それじゃ駄目だ。

 ずっと前を見据えてるアーネストに置いて行かれてしまう。

 大切な親友が前に進むなら、私も横で笑っていたい。

 ノルンとの決着がついたら、アーネストが決勝にくるかもしれないんだ。

 なら、私も親友に恥じないように、頑張らないと。

 そう決意を新たにしていたら、アリス姉さんが来た。


「はぁー、もう人多すぎて嫌になるよー。蓮華さん、癒してー」


 と言いながら抱きついてくるアリス姉さんに苦笑する。


「お疲れ様アリス姉さん。どうだったの?」


「うん、リンスレットも観客の所に居た。その横に居た男性も多分、配下だと思う。『メタモル』を使っているのに、かなりの使い手って分かる。リンスレットは手を出さないって言ったけど、配下が動かないとは限らないからね。アーくん、注意してね」


「おう、分かってる」


 二人が頷きあう。

 ……にしても、遠巻きにチラチラと見てくる人が多い。

 まぁ、前回優勝者のアーネストがいるから仕方ないんだろうけど。

 話してる内容は漏れないようにしているけど、だからこそこちらが気になっているのかもしれない。


「にしても、お前はここでも注目されてんな蓮華。周りの視線が痛い痛い」


「は?前回優勝したお前を警戒してるだけだろ」


 って思ってるので言ったら、露骨に溜息をつかれた。


「お前な……俺を見る目と、お前を見る目が違う事くらい気付けっての」


「蓮華さんはもうちょっと、ううん自意識過剰くらいで良いと思う……」


 なんて二人に言われる。

 いやいや、例え外見が綺麗でも、中身おっさんの私は態度で幻滅されてると思う。

 令嬢のように優雅な動作なんてできないからね。

 世の女性は凄いと思う。


「「あ、これ聞いてない顔だ」」


 ……なんで分かるんだよ。


「そういえば、ユリィ君も出るんだよね?会えなかった?」


「ううん、会ったけどね。これだけ人が集まってる中で、私達の近くに行く勇気ないっスとか言われちゃって」


 oh……。

 それで、これだけ大勢居るのに私とアーネスト、それにアリス姉さんの周りはすいてたのか。

 そう考えていたら、腕に腕章をした係りの人が、階段から降りてきたのに気付いた。 

 手にマイクを持っていたのを口元に持っていく。


「それでは皆さん、闘技大会予選を開始します!まずはAブロックの方々、中央へお寄りください!それ以外の方々は、壁際へ移動お願いします!」


 そう言われたので、行く事にする。


「お、それじゃ頑張れよ蓮華!」


「蓮華さん、ちゃんと手を抜くんだよ!」


 両極端な言葉を貰って、苦笑しながら中央へ向かって歩き始める。

 途端、ざわめきが強くなる。


「うぉぉ!?蓮華さんと一緒のグループかよ!?俺オワタ……」


「やったぁ!蓮華お姉様と一緒なの!?少しでも長く居られるように頑張らないと!」


 とか色々聞こえる。

 そういうのいいから。

 ホントいいから。

 アーネストとアリス姉さんが苦笑しているのを横目に、中央へ着く。

 ざわざわと騒がしい中、Aブロック参加者と思われる生徒達が集まる。


「それでは、これで全員ですね?今から1分後、上の闘技場へと転送されます。後は審判の指示に従ってください。ご武運を!」


 その言葉を最後にざわめきは収まる。

 皆緊張した顔をしている。

 私は目を瞑る。

 ノルン、君と話をする為にも……私は負けられない。

 気合を入れて、目を開ける。

 私達の周りを光が包む。

 転送の前兆かな。

 さぁ、予選の始まりだ。



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