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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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80.生徒会室にて



-アーネスト視点-



「アリシア、これマリアン先生からの依頼分な。キリア、生徒達へ配る原文できたから、コピーして配布を頼む。グラール、前に俺の意見を聞きたいっての、とりあえず俺の考え纏めといたから読んどいてくれ。それから……」


 はぁ、忙しい。

 ったく、蓮華の傍にいてやりたいけど、これも仕事だ。

 前の世界でもそうだったけど、任された仕事を中途半端に投げ出す事はしたくない。

 だから、俺がやるべき事は全て終わらせてから、俺のやりたい事をやるようにしている。

 そうする事で、昔も信頼を得てきた。

 けど、もはやもう性格だこれは。

 ようやく俺が見なくちゃならない書類を片づけ終えて、伸びをする。

 すると、アリシアがお茶を入れてくれた。


「お疲れ様です、会長。これクレアさんの実家からの贈り物だそうです。お裾分け頂いちゃいました」


「お、さんきゅアリシア。貰うよ」


 程よい温度に、体に染み渡る感じがする。

 明日はいよいよ闘技大会だ。

 蓮華から魔王と会ったって話を聞いた時は驚いたけど、一応敵ではなさそうで安心した。

 けど、厄介さは増したと言える。

 俺はアリシアが敵の一味だと思っている。

 理由はいくつかあるが、蓮華を見る目が他の奴と違う。

 それに、蓮華をいつも見張っているというか、観察しているのが分かるからだ。

 あの目は、蓮華を慕って見ている目ではないし、それに俺の視線に気付けば、自然と目を逸らす。

 怪しい事この上ない。

 まぁ、それでもアリシアは優秀だ。

 ぶっちゃけアリシアが生徒会長でも構わないと俺は思っているんだけど、本人が頑なに拒否するから仕方ない。


「会長、明日の警備、この配置で宜しいのですか?」


 考え事をしていたら、アリシアが思案顔で聞いてきた。


「ああ、もし何かあった時に、避難がすぐできるだろ」


「……会長は、何かあると予想しているんですね?だって、これはそう思っていないと、しない配置です」


「起こらなければ良いんだけどな。ま、例え起こらないにしても、有事の際に動きやすい配置にしておくのは必要だろ」


 それに、この配置は囮でもある。

 本命の守りは、大精霊達だ。

 敵を騙すにはまず味方からって言葉もあるように、アリシアがもし敵の一味なら、こちらの手を全て明かすわけにはいかない。

 それに、生徒会と各委員会にも協力してもらうとはいえ、生徒達の力では限界がある。

 皆が明くらいの力があるのなら別だが、考えても仕方ない。

 あとは、今回は教師陣の中で、インペリアルナイトの二人の協力も得られたのが大きい。

 あの二人は来たばかりだというのに、生徒達の支持が高い。

 流石は国の誉れって事なんだろう。

 まぁ、流石に蓮華に心酔しているのには笑ってしまったけど、悪い気はしなかった。

 むしろ、嬉しかったほどだ。

 蓮華と俺は、元は同じだが、もう完全に別個の存在になったと思う。

 考え方の根本は同じかもしれないけど、あいつはもう俺じゃない。

 最初から分かってはいたけど、しばらく別れてからそれを実感した。

 あいつはどんどん凄くなっていく。

 大精霊達は皆、蓮華の事が大好きなのがすぐに分かった。

 母さんや兄貴と同じ、優しい目をして蓮華を見ていたからだ。

 俺は自分の事のように嬉しかった。

 良い奴らに囲まれた蓮華に、良かったなって声を掛けたら、あいつは花が咲いたような笑顔で、うん、そうだねって言うんだ。

 ホント、もう女の子にしか見えないっての。


「会長、今日の午後は如何されますか?皆明日の準備で出払っていますし、少し休憩されますか?」


「ああ、午後はアリシアに他は任せる。俺は少し用があってな、出るよ」


 その言葉に、アリシアは困ったような顔をして言ってくる。


「はぁ、私に会長の代わりは務まらないんですから、そう何度も任せないでくださいよ?それと、用って妹さんの所へ行くんですか?」


「違ぇよ!なんでも蓮華のとこに行くのが用と思うなっての!」


「だって、妹さんが来てから、会長はほとんど妹さんの所へ行ってしまわれるじゃないですか」


 こいつの思わせぶりな言い方に、何人もの男が勘違いしてるのを知っている。

 けど、残念ながら俺はアリシアに興味はなかったりする。

 綺麗だとは思うけど、なんか棘が見えすぎて怖い。

 まぁ言わないけどさ。


「そりゃ大事な妹だからな。それに、蓮華の所には用なんてなくても行くからな!」


 そう笑顔で言ったら、溜息をつかれた。


「ふぅ。本当会長には魅了(チャーム)が効かないんだから」


 なんかボソッと言ったのは分かったんだけど、聞こえなかった。


「なんか言ったか?」


「いえ、別になんでも。会長、明日の打ち合わせが夕方からあるのですから、あまり遅くならないでくださいよ?服装も乱れたままじゃダメですからね?」


「分かってるよ、おかんかお前は!」


「おかん?」


「母親かって意味だよ!」


 って言ったら、心底嫌そうな顔をされた。


「えぇぇぇ……私、会長みたいな破天荒な子いらないです。もっと落ち着いた可愛げのある子が良いです」


「例えに本気で嫌がるんじゃねぇよ!ってか何気にお前の趣味を聞かせてきたなおい!?」


 俺とアリシアの言い合いに、周りの生徒会のメンバーが笑いだす。

 いつもの光景だ、半数以上出払っている事を除けば。


「ったく、それじゃ俺は行くけど、分からない事があったらアリシアに聞いてくれ。アリシアでも対処できない件は、まとめて報告書にでもして机の上に置いといてくれ、後で見る」


「「「はいっ!」」」


 元気の良い返事を聞いてから、外へ出る。

 大精霊達と、明日の事で打ち合わせをする為だ。

 蓮華、お前はノルンと一対一で話し合いたいと言った。

 なら、俺は、俺達は、その望みを叶えてやる。

 この世界に一緒に来た、もう一人の俺。

 この世界を一緒に歩もうと、親友になったもう一人の俺。

 お前は俺にとって、一番大切な親友だ。

 だから、何があっても、必ず守ってみせる。

 そう、俺は心に決めていた。


 なのに、あんな事になるとは思っていなかった。

 俺は何故、兄貴や母さんに相談しなかったのかと……。

 後で本当に後悔する事になるのだが、この時の俺はなんとかなる、と楽観視していたのだ。



-アーネスト視点・了-



ブックマーク、感想、評価、ありがとうございます。

増えていく毎に、読んでくれているんだと嬉しくなります。

誤字報告も、ありがとうございます。気を付けて見直してはいるのですが、気付かないままの場合があるので、本当に助かります。

章の終わりや始まり以外では、あまり後書きは書かないようにしているのですが、伝えたいと思いましたので書かせて頂きました。

ようやくプロローグに追いつきそうです。

これからも、ご愛読して頂けたら嬉しいです。

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