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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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78.闘技大会に向けて

 女子寮の裏手、少し離れた位置にある草原に、小規模の結界をアリス姉さんが張ってくれて、闘技大会のノルンとの戦いに備えて、特訓をしている。


「甘い!蓮華さん!」


 ガギィィィ!!


「くっ!!」


 ズザァァッ!!


 後ろに後退させられる!その少女の見た目のどこにこんな力があるんだ!とか考えていたら、頭上に魔方陣が現れた。

 マズイ!と思った時には、すでに遅かった。


 ドドドドドドッ!!


「あだだだだだっ!!」


 頭から氷の塊が霰の様に降り注ぐ。

 セルシウスの魔法か!


「蓮華さん、上を向いてて注意力が散漫になってるよー?」


 すぐ横でアリス姉さんの声が聞こると同時に、剣で横薙ぎされ、吹き飛ばされる。


「ぐぅっ!!」


 なんとか着地をするが、その上から気配を感じる。


「『氷陣猛襲撃』!!」


 ドガガガッ!!


 空中からの拳の連撃をソウルでガードする。

 氷の魔力を纏ったその連撃は、普通の武器だと凍って砕けてしまうだろう。

 セルシウスの攻撃を凌いでいる間に、アリス姉さんが肉薄する。


「そりゃー!」


 ともすれば気がぬける可愛い掛け声で、剣を突いてくる。

 一番避け難い突きをしてくるあたり、アリス姉さんは本当に容赦が無いと思うけど、これも全て私の為。


「そこだぁっ!!」


 ギィン!!


 アリス姉さんの突きに、合わせる。

 この体の目は、本当に良い。

 それに、学園に来るまで、毎日アリス姉さんと模擬戦をしていたお陰で、大分視えるようになった。

 だからこそ、合わせられた。

 アリス姉さんは驚いた顔を一瞬だけ見せてくれた。

 だけど、その後が容赦なさ過ぎて笑うしかない。

 なんせ、剣筋の九方向から一瞬で攻撃がきた。

 言ってしまえば全方向だ。

 唐竹(上から下)袈裟切り(左肩から右脇腹)逆袈裟(右肩から左脇腹)右薙ぎ(右から左の水平の剣筋)左薙ぎ(左から右の水平の剣筋)左切り上げ(右脇腹から左肩)右切り上げ(左脇腹から右肩)逆風(股下から上)刺突(みぞおち)の九方向。

 どっかの漫画であった気がする、こんな技。

 特に技名を言う事も無く、アリス姉さんは普通に攻撃してきたんだけど、こんなもん防げるかー!!


 ドサァ!


 地面に倒れこむ私。


「ほらほら蓮華さん、寝転がってる時間は無いよ?」


 無情にもアリス姉さんに起こされた。


「蓮華さん、ノルンはね……蓮華さんより13年分、先を行ってるんだよ」


 どういう事だろう。

 セルシウスも黙って聞いている。


「蓮華さんがその器に魂を込められたのは、今から2年と少し前なんだよね?」


「うん、そうだね。今でこの体は15歳だよ」


「でもね蓮華さん、ノルンは最初から、その器に宿った生命なんだよ。だから蓮華さんより13年、その体に馴染んでる」


「ノルンは、成長しての今って事なんだね?」


「そう。もちろん、子供の頃は力の扱い方とか、教えて貰ってないかもしれない。それでも数年は、蓮華さんの先を行ってるはずだよ」


 そうか、だからアリス姉さんは、こんなにも厳しく特訓をしてくれてるのか……。


「それに、闘技大会では、蓮華さんの有利な部分の大精霊の力を借りられない。もちろん魔力を使う点での加護はあるけど、それでも魔力を扱えるレベルが……多分ノルンの方が上。それは、マーガリンが蓮華さんの体に制限を掛けているから」


 ノルンが私より扱う魔力量が多い事は、以前の戦いの時に感じていた。

 それに、私の体に制限が掛かっている事も、最近は分かってきた。

 魔力を必要以上に出そうとすると、自然とそれ以上出せなくなる不思議な感覚があったのを感じたからだ。

 多分、それが制限なんだろう。


「マーガリンは、学園から帰ってきたら、その制限を少しづつ解除していくつもりだったんだと思う。でも誤解しないでね、マーガリンがその制御を施したのは……」


 アリス姉さんが言いきる前に、言う。


「分かってるよアリス姉さん。母さんは、私が暴走しないように、私が体を壊さないように、守ろうとしてくれたんでしょ?」


「蓮華さん……」


「優しい母さんだからね、分かるよ」


 微笑んで言うと、アリス姉さんも微笑んでくれた。


「蓮華さん、特訓は期日ぎりぎりまでするよ。傷も体力も回復できるからね。だけど、念の為に、当日は全大精霊を召喚しておいてほしいの」


「え、全大精霊を?」


「何が起こるか分からないから、保険だよ。蓮華さんの魔力量なら、全員召喚していても、ノルンとの戦いでは影響はそんなにないでしょ?」


「えっと、多分……。なんせ、全員召喚とかしたことないから……」


「あら、なら今召喚すれば良いじゃない?」


「え」


 セルシウスが事も無げに言うので、素で言っちゃったよ。


「あ、それ良いね!蓮華さん、お願い!」


 アリス姉さんまで……。

 何の用もなく呼んで、怒らないかな。

 うん、怒られたらすぐ返せば良いよね。

 というわけで、全員召喚したんだけど、私の心配は杞憂だった。

 大精霊の皆、久しぶりに話せて嬉しいって言ってくれた。

 それから、寮に戻るまで特訓はお休みにして、皆と久しぶりに話し合った。

 『サリギアの儀』についても大精霊の皆には伝えておいた。

 闘技大会当日の事も。

 その日は人型で紛れて見守っていてくれると、皆快く承諾してくれたよ。

 闘技大会まで後2日。

 魔界の世界樹が関わっているのは、魔王・リンスレットさんの話から確実だと思う。

 ノルン、君が何を抱えているのか、話してもらうよ。

 もし、私の力が君の助けになるのなら、私を奪うなんて方法じゃなくても、何かあるはずなんだ。

 何ができるかは分からない。

 だから、今は自分の力を高める。

 それが、今の私にできる最善だと思うから。



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