表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/714

77.魔王・リンスレットとの会遇

 カレンとアニスは、理事長と話があるとかで、校舎へ向かって行った。

 アーネストも生徒会の仕事があるという事で、明先輩と共に戻って行った。

 明先輩はセルシウスと別れるのを名残惜しそうにしていたけど、アーネストにドナド……引っ張られていった。

 私とアリス姉さん、セルシウスの3人になったので、部屋に帰る事にしたのだが……。


「蓮華さん、小規模だけど結界が張られてる。これ、別空間になるタイプの奴だよ」


 アリス姉さんの言葉に、警戒を強める。

 セルシウスは臨戦態勢を整えているのが見えた。


 コッコッコッ


 足音が響く。

 その姿は、同期の学生のようだが……違う。

 明らかに、違う。

 その風貌、仕草、どれを取っても、只者ではないのが分かる。

 アリス姉さんが、驚きながら言う。


「貴女、まさか……魔王・リンスレット!?」


「フ……流石アリスティア、『メタモル』を使っているのだが、ここまで近づけば分かるか」


 そう言って、姿が変わる。

 長い銀髪の整ったプロポーションに、キリッとした表情。

 美人すぎて一瞬言葉を失ってしまった。

 この人が、魔王。

 魔界を総べる、王様か……。

 凄い、圧倒的な魔力を抑え込んでいるのが分かる。

 もしここで戦えば、私達に勝ち目はない。

 体が震える、だけど……アリス姉さんとセルシウスは、守って見せる……!


「そう睨まないでくれ、蓮華。私は殺り合う為に会いにきたわけじゃない。この結界は、私が他の者に見られない為に張った物だ」


 そう、敵意がないように両手をひらひらさせる彼女に、ソウルに掛けていた手を離す。


「ありがとう、蓮華。私はさ、お前を観察しにこの学園へ来た」


「「「!?」」」


「お前が世界樹の器として、相応しい人格なのかどうか……自分の目で見定める為にな」


 その言葉に、ゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。


「合格だ。お前なら……世界樹が歪む事もあるまい。だから、私はお前達を見守る事に決めた。何があろうと、手は出さない」


 それは、どういう意味なのだろう。


「蓮華、お前はノルンとすでに会っただろう。ノルンは、お前の器、いや……正確には、その器に入ったお前を狙っている」


 衝撃だった。

 ノルンに狙われているのは知っていた。

 この器は邪魔だと、言っていた。

 でも、正確には器ではなく、私自身を狙っていたのか。

 そういえば、魂を貰い受けるって言っていた。

 あれは、そういう意味なのだろうか。


「……世界樹は、地上にだけあるのではないのだ」


「え?」


「世界樹は、魔界の空にもある。そしてその世界樹は、地上の世界樹と表裏一体なのだ」


「魔界にも、世界樹が!?」


「魔界の空は常に闇で包まれている。星が見えず、正体不明の竜巻のような霧と煙でできている逆さまの大樹が、空から地面にある首都に突き刺すような形をして存在している。その正体こそ、世界樹の影、分身そのものであり、いずれは『サリギアの儀』により、地上の世界への侵略を果たす事になる」


「「「なっ!?」」」


「蓮華、お前がノルンに取り込まれた場合、儀式は完成し、地上は魔界に侵略される事になるだろう」


「どう、して……そんな事を!」


「……。だが、最初に戻るが、私はそんな事を進めるつもりはないのだ」


「え?」


「だから、手は出さない、私はな。だが、ノルンは別だ。あいつは世界樹の化身、私の配下というわけではない。あいつの行動の責任は、あいつが取る事になる。恐らく、闘技大会にはノルンも出るだろう。お前を仕留める為にな」


「どうして、それを私に?」


 私の質問に、背中を向けた彼女は答えてくれた。


「ノルンを、救えるのはきっと、お前だけだから……」


 そう言った彼女の表情は見えなかったが、声はとても悲しそうに聞こえた。

 そして、結界が解けたかと思うと、彼女の姿は消えていた。


「……蓮華さん、この事、アーくんと明くんに話そう。それに、マーガリンやロキ、ミレニアにも協力を仰いだ方が良いよ」


 その言葉に、彼女の最後の声を思い出す。

 きっと、母さんや兄さん、ミレニアに助けて貰ったら、ノルンを本当の意味で救えない、そんな気がする。

 だから……。


「ごめんアリス姉さん。ノルンとは、一対一で決着をつけたい。母さんや兄さん、ミレニアに心配かけたくないんだ。大丈夫、私は絶対負けないから」


 私の本気を信じてくれたのか、アリス姉さんはため息をついてから、言ってくれた。


「はぁ、ホントにもう……分かったよ、蓮華さんを信じる。だけど絶対、負けちゃ駄目だよ?闘技大会まであと三日だし、それまで特訓だからね蓮華さん!」


「しょうがないわね、私も付き合ってあげるから、やれるだけの事をやりましょレンゲ」


 二人の言葉に笑顔で返す。

 ありがとう、私の我儘に付き合ってくれて。




-魔王・リンスレット視点-




 少し、話しすぎたかもしれない。

 もう一人の世界樹の器、レンゲ=フォン=ユグドラシル。

 ノルンとは違い、黒い長髪にエメラルドグリーンの澄んだ瞳。

 腰に下げていたのは魔剣・ソウルイーターだろう。

 彼女の纏う雰囲気は、ノルンとは大きく違った。

 ノルンが闇で人を安らかに包む存在だとすれば、蓮華は太陽の温かさで包む存在と思えた。

 地上の世界樹に魔界の世界樹、その関係性がそのまま器にも現れているように感じる。


「リンスレット、良いのか『サリギアの儀』の事まで伝えて。極秘事項だろ?」


「タカヒロ、お前はノルンに協力をするつもりか?」


「こっちの質問はスルーかよ。ああ、そのつもりだ。その結果が、地上を侵略する事になろうと、俺はノルンの味方でありたい」


 そう言うだろうと思っていた。

 こいつはノルンの事を妹のように思っている。

 あのアーネストとやらが、蓮華の事を想うように、こいつもまた、ずっと一緒に育ってきたノルンの事を想っているのだろう。


「軍の全権はルシファーに委ねている。私の立場は、国家についての方針を決める事、政治的な事や国民達の生活等、全体を見なければならない。分かっているだろう?」


 私の言葉に、口を紡ぐタカヒロ。

 お前の想いは分かるが、私は手を貸せない。


「リンスレット、俺が本気を出しても、止めないでくれよ」


「フ……分かっている。だが、例えお前でも、アリスティアは強い、気をつけろよ」


「ああ。後、アスモデウスは借りても良いのか?」


「好きにすれば良い。元よりあいつは大罪の仲間の中で、唯一領地を持っていないんだ。気にする事もないだろ」


「はは、それもそうか。リンスレット、もし俺とノルンが死ぬ事になっても、手を出すなよ?俺は一応、地上も好きだからな。火種に望んでなりたいわけじゃない」


 その言葉に、心にずしりと重みを感じる。

 だが、言わなくてはならない。


「分かっている。だが、だが……死ぬなよ、タカヒロ」


 そう言い残し、私は戻る。

 後ろでタカヒロが頭を下げているのを感じながら、ノルンの行く末を案じる。

 私ならノルンを止められる。

 だが、それをすれば、私は国家への反逆者となる。

 魔界の世界樹を殺すのと同義だからだ。

 だから、私は蓮華に期待するしかない。

 ノルンを、どうか助けてほしい。

 魔界の世界樹に縛られた、哀れなあの子を、どうか……。



-魔王・リンスレット視点・了-



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ