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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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71.授業初日・午後、前生徒会長との戦い

 ガギィィィン!!


 刀と刀が交差し、後方へ吹き飛ばされる明先輩。

 力は私の方が上のようだ。

 吹き飛ばされた明先輩の元へ、足に魔力強化を施し、跳躍する。


「でやぁぁぁっ!!」


 ガギィィ!!


 私の一撃を防ぐ明先輩。

 だが、今度はそのまま後方へ飛ばされる事なく、踏みとどまった。


「参ったな、見た目と違って凄い力だ。これは、精霊の力を借りているのかい?」


「さぁ、どうでしょう。手の内を明かすほど、私は優しくないですよ?」


 そう言って、力を込める。


「くっ……!凄いな、俺の力より上のようだね。なら、戦法を変えるとしよう」


 そう言った瞬間、力を緩め、受け流された。

 それから何度か刃を合わせたけれど、全て受け流される。


「成程、アーネストが言うだけの腕があるようですね」


「ふふ、それは俺のセリフさ。力を受け流しているのに、腕に痺れが残る。よほど腕の良い方と修練していたと見受ける」


 その言葉を聞いて、鼻高々にしてるアリス姉さんが見えて、苦笑してしまう。

 間違ってはいないんだけど、私はむしろ防戦一方だったんだからね。

 まぁ、アリス姉さんの剣筋をずっと見てきたから、明先輩の剣筋を見切れてるのは間違いないけどね。


「なら、ここからは俺も『力』を使わせて貰うよ。この世界にきて、得た『力』だ。ナンバーズ№1の『力』、レンゲさん、手加減はしないよ」


 その言葉を聞いた瞬間、ゾクリと悪寒を感じた。

 ソウルを構え、明先輩を見る。

 瞬間、明先輩の姿がブレた。

 なんだ!?と思ったら、強い衝撃を受け、宙に浮いたかと思ったら、再度強い衝撃を受けた。


 ガッ!!


 その音と同時に。


 ドサァッ!


 私は崩れ落ちた。

 何が起こったのか分からなかったけれど、私は校舎の壁に叩き付けられ、地面に倒れた事を自覚した。

 ソウルを衝立にし、立ち上がる。

 少し遠い位置から、私を見ている明先輩が微笑んだ。


「どうやら、常に魔力壁を纏っているようだね。俺の雷流閃(らいりゅうせん)を受けても、ダメージは無いとか、凄い魔力だ」


 雷流閃……それがさっきの攻撃の正体か。

 正直、一瞬姿がブレたかと思ったら、すぐに衝撃がきたので、何が起こったのか分からなかった。


「やってくれますね明先輩。正直、何が起こったのか分かりませんでした。でも、次はないですよ」


 その言葉に、ニヤリと笑う。


「なら、もう一度披露しよう、レンゲさん」


 そのセリフと共に、また姿がブレる。

 どうせ私の元に来るんだよね?

 それなら、対処法はある!


「炎の嵐よ、全てを燃やせ!『フレイムトルネード』!!」


 ゴオオオオオオオッ!!


 私の周りに炎の嵐を巻き起こす。

 サラにイフリート、シルフの加護を得た私の魔法は、凄まじい威力を隠す事なく燃え上がる。

   

「ぐあぁぁぁっ!!」


 強すぎたその力は、明先輩を燃やし包み込む。

 不味い、殺してしまう!!

 そう瞬間的に思った私は炎を消し、光魔法を使う。


「『ヒーリング』!!」


 フワァァァァ……!


 眩い光が明先輩を包み込み、炎によって焼かれた肌が一瞬で綺麗になった。

 私は、人を殺す所だった。


「すみません……明先輩、私……」


「いや、凄い魔力だね。アーネストから聞いてはいたけれど、実際はもっと凄い!いやー、俺がいかに自惚れていたか、実感できたよ!ありがとう!」


 へ?いや、もっとこう、怒る所だと思うんですけど……。


「ふふ、なんでって顔をしているねレンゲさん。実はね、アーネストから話は聞いていたんだ。で、俺が勝てない事は重々承知で、戦いを挑ませて貰った。なんでか分かるかい?」


 フルフルと顔を横に振る。

 明先輩は、微笑んで言う。


「レンゲさんはね、強すぎる。レンゲさんの周りにいる方達は、恐らくこの地上……いや、世界で見ても、トップクラスの方達だ。俺は、地上の中では強い方なんだよ?転生で得たスキルもあるからね」


 その言葉に愕然とする。

 確かに、母さんや兄さん、それにアリス姉さんは、私より強い。

 だから、私なんて大した事ないと思っていた。


「その力の使い所は、しっかりと見極めないといけない。それを自覚して貰う為に、まぁ俺なら一瞬で死ぬ事も無いだろうと、戦わせてもらったんだよ。まさかあっさりと俺の防御壁を突き破るとは思ってなくて、焦ったけれどね」


 そう笑う明先輩。

 私の為に、命を掛けてくれたのか。

 でも、なんで……。


「……俺はね、アーネストに救われた。この世界にきて、有頂天になっていた俺を、アーネストが目覚めさせてくれた。俺はアーネストが親友なんだ。だから、その妹の君の力になってあげたかったんだ。それが答えじゃ、ダメかな?」


「ありがとうございます、明先輩」


 それしか言えなかった。

 せめて、心から言っている事が伝わるように、精一杯の笑顔で言えたと思う。


「ぐっ……これか、アーネストが言っていたのは。確かに、これは耐性がないとやられてしまうな……」


 あれ、なんか意味不明な事を言い出した。

 そんな会話をしていたら、皆がやってきた。


「蓮華、大丈夫か!?」


 と言って駆け寄ってくるアーネスト。

 いや、明先輩の方が重傷だったからね?

 治したけども。


「いやアーネスト、心配する方が違うだろ」


 呆れながらそう言ったのだけど。


「お前以上に心配な奴なんていねぇよ!ったく、蓮華が怪我でもしてたら、明をぶっ飛ばす所だ!」


 なんて言うアーネストに苦笑してしまう。


「おいおい、体を張った俺の事をもうちょっと労わってくれても良いじゃないかアーネスト」


「いきなりお前の奥義の雷流閃を使った時点で、お前が本気で蓮華を測ったのは分かってんだよ!」


 え?測った?


「いやー、だってレンゲさんすっごい強いじゃないか、魔力以外も。だから、腕も試したかったんだよ」


 なんて言っている。

 あ、それを私は魔力で返しちゃったから……。


「あの、明先輩。また今度、今度は魔法を使わずにお相手お願いできますか?次は、明先輩の技、魔法じゃなく破ってみせます」


 その言葉に。


「はは、はははっ!!良いね、レンゲさん。凄く良いよ。それだけの魔力を持ちながら、決して自惚れてもいない。研鑽を積む事を躊躇わない。……うん、流石アーネストが入れ込んでるだけの事はある。むしろこちらから頼みたい、よろしくお願いするよ」


 そう言って手を差し出してきたので、握る。

 お互いに笑顔になった所で。


 ヒュォォォォォ!!


 物凄い氷の魔力が、辺りを包む。


「蓮華!?」


 アーネストが私に確認をしてくる。


「私じゃないよアーネスト!」


 辺り一面が凍っていく。


「皆、校舎の中に避難しろ!校舎の中なら、魔力の防壁は外より強いから、ここよりはマシなはずだ!」


 アーネストが叫ぶその言葉に、皆校舎の中へ避難を開始する。

 明先輩が先導してくれている、流石元生徒会長。

 私は、少しづつ近づいてくる気配に、目を向ける。

 青い髪に青い瞳。

 白い衣装は、まるで元の世界で言う雪女のように見える。


「お前が、レンゲ=フォン=ユグドラシルね?」


 その女性が、私の前に来て話しかけてくる。


「……うん。貴女は?」


「私はセルシウス。ごめんなさい、私は貴女を倒さなければならないの」


 そう言って、尋常じゃない魔力が彼女を包み込む。

 ちょっと待って、セルシウスって、氷の大精霊だよね!?

 まさか大精霊と敵対する事になるなんて、思ってもみなかった。



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