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713/713

713.蓮華side71

「ここが『ワイドランド』の中か……なんていうか、サスちゃんやアデルの世界とはかなり違うね」


 生を感じないというか、すでに終わりを迎えた世界、というか。


「アタクシ達の世界は『零位』ですもの。まだいくらだって拡張が可能な、無限の世界なのですわ」

「う、うん。対してここは、下位の世界。文明が滅びたり、重なった世界、デス」


 成程……感じた事と似たような世界だって事か。

 周りを見渡しても、紫色でなんというか、禍々しい。


「さて、アーネストより先にコアの守護者を見つけないとね」


 そう言ったと同時に、


「「「「「ギギギギ……!!」」」」」


 背中に翼のある、飛行型の魔物が多く出現する。

 今まで居なかった場所に、だ。


「さて、やるよ皆」


 私はソウルを手に出現させ、構える。


「ふふ、ここは私達にお任せですわ蓮華お姉様」

「です! この程度の雑魚に、蓮華お姉様の手を煩わせる必要、ないです!」

「意見が合いますわね。蓮華様は高みの見物をなさってくださいまし。ここはアタクシ達で……」

「滅殺、デス!」


 そう言って、張り切った四人が集まった魔物達を瞬殺してしまう。

 うん、強いな皆。

 これなら本当に私の出番は無さそうだ。


 それから、私達は奥へと進んでいく。

 途中、空飛ぶクジラのような大きな魔物も出現したが、この四人の前では雑魚同然だった。


「うーん、見当たらないな。もしかしてこっちはハズレだったかな……?」


 雑魚の魔物達はドンドン出現するのだが、一向に守護者が見当たらない。

 広い世界なので仕方ないのだが、魔力感知は最大限に広げている。

 この世界のマナが異質で、効果は小さくなっているけどね。


「ウハハハハハ! お前達程度が調子に乗るなデス!」

「「「「「ギャァァァァァッ!!」」」」」


 うん、サスちゃんが絶好調だな。

 楽しそうに見えるのなんでだろう。

 そんな事を考えていると、スマホが震える。

 もしかして、アーネストが先に見つけたか!

 そう思ってスマホを起動する。

 そこには、信じられない言葉があった。


『わりぃ、しくじった。あとは、頼む蓮華』


「なっ!? アーネスト!?」

「ど、どうされたんですの蓮華様!?」

「蓮華様!?」

「「蓮華お姉様!?」」


 私の慌てように、戦いを終えた皆が近づいてきた。

 そのまま、メッセージを見せる。


「「「「!?」」」」

「あのアーネストを倒す程の実力者が、この『ワイドランド』にいるって事なのか……それよりも、アーネストは無事なのか……!?」

「落ち着いてくださいまし、蓮華様。アーネスト様には、ロキ様がご一緒でしたわよね。ならば、いかな敵であろうと、命を奪う事は出来ていないと愚考致します」


 そうだ、その通りだ。

 あの兄さんが一緒に居るんだ、大丈夫に決まってる。

 心を落ち着けた私は、行動に移す事にする。


「座標は送られてきてる。行くよ皆」

「「「「はいっ!」」」」


 そうして、今の場所の反対側、アーネストから添付されていた場所へと移動した。

 そこには……以前、一度会った黒い甲冑に身を包んだ……四聖天の一人、アクエリアスと……


「……」


 黒い仮面を被ってはいるが……私が間違えるわけがない、その存在を。


「アーネストッ!」

「……それは、誰の事だ? 俺は……四聖天アクエリアスが盟友、白騎士とでも呼んでもらおうか」

「なっ……!?」

「アクエリアス、貴女が今回の侵略担当でしたのね」

「うえぇぇ、よりにもよって一番直接戦闘力の高い奴デス蓮華様……」


 二人が言っている事よりも、私はアーネストの変わりように頭がいっぱいだった。

 どうして……どうしてお前が、そっち側に立ってるんだアーネスト!!


「すみません、しくじりました蓮華……」

「兄さん!?」

「あの仮面は、別人格を植え付ける呪いの仮面です。白騎士とはその仮面の人格の名なのでしょう」

「!!」


 そういう、事か。あの仮面が、アーネストを操ってるって事か!


「……なら、あの仮面を壊せば、アーネストは……戻るって認識で良いの、兄さん」

「それは……」


 言い淀む兄さんに、アーネストの姿をした白騎士が剣を向ける。


「お前にとって、この体は大事なのだろう? ならば、手を出さぬ事だ。間違って殺してしまうかもしれんぞ?」

「……」


 そうか……兄さんは、アーネストだからこそ、手が……。そうだ、あんなに溺愛してくれている兄さんが、アーネストに手を出せるはずがない。でも、私は違うぞ……!


「ほう。貴様は、この体がどうなっても良いのか?」

「良くないに決まってるだろ。でも、その体はアーネストの物だ。返してもらうぞ……!」

「……良かろう、少しだけ相手をしてやろう。盟友よ、魔神将達の相手は任せて良いか?」

「フ……良いだろう。遊んでやるぞサイサリス、アーデルハイト。残りの二人もまとめてかかってくるが良い」

「「「「!!」」」」


 兄さんが動けば、この白騎士は躊躇わずに自殺しようとする。

 故に、兄さんは動けない。

 ブリランテさんはすでに大怪我を負っている、あれじゃ戦えないだろう。

 私が、アーネストを救うしかない!

モブの方にかかりきりで、更新をお待たせしてすみません。

ふたゆめは私の代表作なので、書くのを止めるなんて事はありませんので、安心してくださいね。

更新の時間は空いてしまうかもしれませんが(2ヶ月近く書かなかったのは久しぶりで、蓮華達のお話を書くのはやはり楽しいです)


お読み頂きありがとうございます。更新間隔は空くと思いますが、お待ち頂けると幸いです。

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