表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

712/713

712.蓮華side70

 アーネストから連絡を貰った後、カレン達に話し早速行く事にした。

 準備は事前にしていたからね。


 ヤマトに着くと、異常な魔力をすぐに感じる事が出来た。

 この世界の魔力と、『ワイドランド』が迫っている事による魔力漏れがこの世界を覆っているのだろう。

 接触まで、そう時間は無いと分かる。


 いつもと違う肌感を、皆感じているのだろう。

 落ち着きのない感じを受ける。


「蓮華、それに皆、来たか」


 アーネストが私達を見つけて声を掛けてきた。

 その場には最低限の人達だけが居た。


「他の皆は?」

「ああ、ここに集まったのは、『ワイドランド』に攻め入るメンバーだけだ。後はヤマトを守る為に、守備について貰ってる」


 成程ね。

 更に聞くと、すでに兄さんから接触が近い事を聞いて、SNSを通じて配信を行い、また政府が全島へと報道をした後らしい。


「ブリランテさん、それに兄さんとアーネストに私、カレンとアニス、サスちゃんにアデルの計8人で攻めるわけだね」

「おう。で、まとまって動くのは効率がわりぃから、二手に分かれるつもりだ」

「戦力を分けるのか?」

「ああ。俺と兄貴、ブリランテ組と、お前らで分けたら丁度良いだろ? 人数差はこっちのは少ねぇけど、まぁ兄貴がいるからよ」


 うん、そう言われたら何も言えない。


「アーネスト、目的は『ワイドランド』の消滅だよな?」

「ああ。『ワイドランド』を形成している"コア"を見つけ出して、壊す。そうすりゃ維持できなくなって消滅する」

「それを守る守護者を見つけて倒せば良いんだったな。で、世界は広いから二手に分かれる、で良いんだよな?」


 一応事前に聞いていた事の確認もしておく。


「合ってるぜ。付け加えるなら、見つけたらすぐに連絡を入れる事な。こっちが見つけたら俺が蓮華にメッセージを送る。蓮華が見つけたら、俺に送ってくれ」

「了解。それじゃ、どっちが先に見つけるか競争だなアーネスト」

「……ははっ! 良いぜ、勝負すっか蓮華!」


 あれ? どことなく、不自然に感じた。

 いつもの笑みとは、少し違う感じ。

 気のせいだろうか?


「よし、そんじゃ外に出て待機しとくか。兄貴、接触したらすぐに教えてくれ」

「分かりました。とはいえ、アーネストもすぐに気付けますよ」

「ま、今でこんなに空気が変だもんな」

「うん。漂ってる空気が重い。これが侵食する側の『ワイドランド』の纏ってるモノか……」


 そうして私達は空が見える外に出た。

 今はまだ青い空。雲がところどころあって、見た目だけならいつもと変わらない。


「「「「「!!」」」」」


 それが突然、歪んだ。

 空に大きな亀裂が入り、青色から紫色へ。

 毒々しい雰囲気の空へと、急遽変貌した。


「「「「「キシャァァァァァッ!!」」」」」


 亀裂から、見るも気持ちの悪い造形をした魔物が数えきれない程出てくる。

 まるでゾンビ映画のようなソレは、兄さんが手をかざすと一瞬で消えた。


「さぁ、ここからは時間との戦いです。雑魚に構わず、行きましょう」

「ああ、兄貴!」

「うん、兄さん! 皆、行こう!」

「「「「はいっ!」」」」


 空へと飛び、亀裂へと向かう。

 近づけば近づく程に、異質な魔力を肌で感じる。

 ハッキリ言って、凄く気持ちが悪い。

 思わず鼻をつまみそうになるくらいに異臭もする。


「おい蓮華、防護フィールド張っとけ。これは直で受けると俺達でもきつい」

「!! そうだな、頭から抜けてた。ありがとうアーネスト」


 言われた通り、全身を覆うように光の加護で包むと、随分と楽になった。

 私と一緒に行くカレン達にも掛けておく。


「「ありがとうございます蓮華お姉様」」

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"……れ、蓮華様、蓮華様……」

「アタクシ達に、光魔法はその、浄化されてしまいますわぁ……」

「うわわわわっ!? ご、ごめんっ!」


 慌てて解除する。

 そういえば、この二人は『ワイドランド』側の存在だったよ!


「ふぅ……い、いえいえ、蓮華様がウチらを気遣ってくれたの、わかってます、から……」

「そうですわ。ちょっと猛毒状態になりましたけれど、問題ないですわ!」

「ぶはっ! お前らホントコントみたいな事してんな」

「わざとじゃないんだよ!」


 良かった、今のアーネストの笑みは普通だった。

 戦いを前に神経質になっているのかもしれないね。


「うっし、そんじゃこっからは別行動だ蓮華」

「ああ、アーネスト。兄さんが居るから大丈夫だろうけど、気をつけろよ?」

「ったく、信用ねぇなぁ。大丈夫だって!」

「……」


 一瞬だけだけど、兄さんが悲しそうな表情をしたような……?

 いや、今はいつも通りだし、考え過ぎか。

 なんでだろう、今日はやけに胸騒ぎがする。

 何も起こらなければ良いんだけど……。


 こうして私達は、『ワイドランド』の中へと侵入する事に成功する。

 これから、どんな事が待ち受けているかも知らずに。

お読み頂きありがとうございます。

しばらく不定期の、更新に感覚が空くかもしれませんが、書くのを辞めたりするつもりはありませんので、ブックマークはそのままに、お待ち頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ