711.蓮華side69
目が覚めて、部屋に設置されたテレビをつけた。
昨日の会議で決められた内容の一部が報道され、各島で厳戒態勢を取る発令が出された。
魔物が攻めてくる事は確定である事。それに対応する為各島で強者達の配置を話し合ったり、物資の補充、補強を行う事。
完全に安全な場所は存在しないが、しばらくの間は大勢で集まって生活するように訴え、その支援を各島が行う事も。
全島大会から、ヤマトは目まぐるしく情勢が変わっている。
ふとこの世界のSNSを覗いてみたら、全島大会の話で盛り上がっている。
その中でもアーネストの話題が多く、動画も出回っていた。
こういうのをエゴサって言うんだっけ? まぁ本人ではないんだけど。
スマホをしまい、部屋の外へ。
今日でこの部屋を出る。
「「おはようございます、蓮華お姉様」」
「うん、おはよう二人とも」
直後にカレンとアニスが居たので、ビックリしたのを表に出さなかった自分を褒めたい。
二人と一緒にエレベーターで下に降りる。
すでにアーネスト達は集まってなにやら話しているようだ。
私達はあくまでもアーネストの友人的な立場なので、邪魔しないように少し離れた位置で椅子に座っておく事にした。
「よっ、おはよう蓮華。カレンとアニスも」
「ああ、おはようアーネスト」
「「おはようございます」」
「そっちの話は良いのか?」
「ん? ああ、後は俺の仕事じゃねぇからな。お役御免だぜ」
成程。後の役目は、戦うだけという事だね。
「具体的な日程は分からないんだよな?」
「ああ。けど、兄貴が言うにはなんか波があるらしくてさ。ここ数日中に境界が交わる時があるから、その時でしょうって言ってたぜ」
「そっか、兄さんが言うなら間違いなさそうだね。私達は一旦秘密基地に戻るから、その時が来たら連絡してくれるかアーネスト」
「おう、分かったぜ……って、秘密基地ってなんだよ!?」
「秘密基地は秘密基地だよ」
「もしかして俺は行けねぇとか?」
「男子禁制なんだ」
「どんな秘密基地だよ!? ってそうか、女子ばっかって事か?」
黙って頷く。狼達も居るけど。
「そりゃー居心地が悪そうだな……」
「お前なら大丈夫かもしれないけどな。全員知ってるし」
「ああいや、やっぱ遠慮しとくわ。それに、残った日で少しでも鍛えてやらないといけないしな」
ああ、大会にも出ていたけれど、ヤマトの人達と、未来で仲間だった人達の事かな。
「そっか。それじゃ私達はこれで行くよ。またなアーネスト」
「おう! 次会う時は決戦だな。頼むぜ蓮華」
「ああ。こっちも遊んでおくわけじゃないからさ」
ニコッと笑うアーネストに、私も笑顔で返し、その場を後にする。
秘密基地という言い方をしたけれど、実際は『ワイドランド』なんだよね。
サスちゃんの保有する大陸。
流石にサスちゃんの承諾なしに勝手に呼べないから、また次の機会に。
そうしてサスちゃんの『ワイドランド』に戻り、拠点へと戻ってきた。
一足先に戻っていたサスちゃんとアデルは、将棋をしているようだ。
「お帰りなさいませ、王手」
「お帰りデス。ちょ、ちょっとその手は待たない?」
「10回目です。もう待ちませんわ」
「うぐぅ……」
サスちゃんが某たい焼き娘みたいなうめき声をあげている。
時間はあるし、少し遊ぶのも良いかもしれないね。
そもそも、数日で強くなれるようなものでもないし。
「カレン、アニス。私達も少し遊ぼうか」
「賛成ですわ!」
「です!」
二人も特に異存はないようだったので、今日はそのまま皆で遊びつくした。
魔力トレーニングを間に挟みながら、適度に運動、適度に遊ぶを繰り返していると、スマホが振動する。
通知には予想通りの名前と、件名があった。
お読み頂きありがとうございます。
代表作であるふたゆめですが、いつもの途中で新しいお話を書きたくなる病(?)が出て、新しい物語を書き始めた為、少しの間更新を不定期とさせて頂きます。
続きを楽しみにしてくださっている方々には、申し訳ないです。
転生したらモブだったので、主人公グループをヨイショしてたらいつの間にか主人公グループに入ってた件
https://ncode.syosetu.com/n5357kv/
作品一覧からも見つけられますが、良ければこちらもお楽しみいただけたらと思います。