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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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70.授業初日・午後、上級生の授業風景

 昼食を終えて外に出た。

 そこには、腕を組んで仁王立ちした、副会長こと、アリシアさんが居た。


「会長、どこへ行かれるつもりですか?」


 凄い迫力に一歩下がる私。

 アーネストが前に出た。


「アリシア、今日の午後の予定は分かってる。だから俺はここに居るんだぜ?」


 アリシアさんが額に手を当てている。


「はぁ、本日の私達生徒会メンバーの仕事は、新入生が上級生の皆の邪魔をしないか、もしくは上級生から無理強いされていないかを見回る、ですよね?」


「ああ。だから、蓮華と周るつもりなんだよ」


 ドヤァと言わんばかりのアーネストなんだけど、それは理由になっているんだろうか。


「会長、まさか妹さんを生徒会に?」


「あー、まぁそれは蓮華が望むなら拒まないけどな。無理強いするつもりはねぇよ」


 そのアーネストの言葉にホッとする私。

 生徒会って忙しそうなイメージしかないから、入りたくないのが本音だ。


「なら、先程の理由は筋が通らないのでは?」


「ちげぇよ。俺が蓮華と周るのは、蓮華が一番問題を起こす確率が高いからだよ」


 なんですと?


「おいアーネスト、それは聞き捨てならないんだけど」


「事実だろ。お前のその厄介ごとに巻き込まれやすい体質は異常なんだよ」


「あ、それなんとなく分かるよアーくん」


「うぐっ」


 アリス姉さんにまで言われて言葉に詰まる。

 そこに、思わぬところからフォローが入った。

 私への、じゃないけど。


「あの、俺達アーネスト先輩が案内してくれるってさっき聞いてて。アーネスト先輩は俺達も案内しようとしてくれてたんすよ!」


「そ、そうなんです!蓮華さんだけじゃなくて、私達の事も気遣っててくれて!」


「はい。ですので、生徒会の業務を遂行していると私も思います。」


 三人の、アーネストへの助け舟だ。

 これには流石に何も言えなくなったのか、アリシアさんがアーネストを見て言う。


「まったく、相も変わらず、たらしこむのがお早いですね会長。分かりました、それでは他は私達でカバーしますが、処理が追いつかない時は頼みますよ?」


「ああ、そん時は任せとけよアリシア」


 そう笑って言うアーネストに、アリシアさんは微笑んでから、行ってしまった。

 アーネストが三人に振り向いて言う。


「さんきゅな!助かったぜ」


 そう言われて、微笑む三人。

 うん、良い感じだね。

 でもさっきアリシアさんが言った、たらしこむってなんだろう?

 あ、もしかして言い寄られてたってやつだろうか。

 まぁ、それはどうでも良いか。


「アーネスト、午後は他の上級生の授業を見学したり、参加したりできるんだよな?」


「おう、そうだぜ。なんか行きたいリクエストとかあれば、そっち優先して案内するぜ?」


 うーん、私はこれといってないから、他の三人に聞いてみるか。


「ミアさんは、何か行きたいとこある?」


「ふぇ!?い、いえ!その、蓮華さんが行きたい所が良いです!」


「俺も蓮華さんが行きたいところで良いですよ」


「はい、私もです」


 と、聞いても私のって返ってきてしまった。

 困ったな、私は特に何もないんだよなぁ。

 と思っていたら、意外な所から意見が上がった。


「それじゃ蓮華さん、剣術見に行かない?どの程度か知っておいて損は無いでしょ?」


 と、ウインクしてくるアリス姉さんがとても可愛らしかった。


「うん、確かに。皆もそれで良い?」


「「「はい!」」」


 凄いな、息ぴったりだよ。


「はは!分かった。えーと、剣術は確かあっちだな」


 そうして移動を開始する。

 この学園は凄まじく広い土地の中にいくつもの校舎がある。

 それぞれ学ぶ事が校舎事に別れていて、中には薬草学や錬金術とかも学べるそうだ。

 他にも、魔術師科や魔法科、魔法戦士科といった、戦闘に直接関わる所も多い。

 最初にどれを集中的に取るのかを決めておかないと、授業に置いて行かれると聞いている。

 一応日ごとの授業内容が魔術ボールと呼ばれる媒体で保存されていて、それを使って最初から勉強する事も可能なんだそうだけど。

 でも、それらが使えるのは座学だけだ。

 実戦での訓練はそうはいかない。

 この学園は結界に守られている為、外で雨が降っていても、この学園内に降り注ぐ事は無い。

 だから、雨を気にせず外で訓練ができる。

 ただ、一部ジャングルみたいな場所があり、そこでは例外的に雨が降るようにされているらしい。

 モンスターハンターを目指す者が、なるべく本当の実戦に近い状態で戦う為なんだそうな。

 ちなみに全部アーネストから聞いた話だ。


「着いたぜ、ここだ」


 アーネストの言葉を聞いて、考え事をしていた頭を切り替える。

 広い、元の世界の学校の運動場より広い気がする。

 そこで、上級生達が素振りしている。

 皆真剣に掛け声と同時に剣を振っている。

 皆と反対側に一人、立って声を掛けている人がいる。

 あの人が先生だろうか。


「よし、そのまま続けておくように!」


「「「「はいっ!!」」」」


 そう言ったかと思うと、こちらに来る。

 元の世界で言う、ジャージ姿なんだけど、これがまた似合っている。


「やぁ生徒会長。そちらが噂の妹様かい?」


 なんてにこやかに言ってくるんだけど、噂って……。


「ああ、そうだよ。っていうか、なんでアンタが指導してんだ」


「先生に頼まれてしまってね。いやー、俺はアーネストを探していただけだったんだがね」


「あー……蓮華、紹介するよ。こいつは草薙明。前生徒会長で、転生者だ」


 なん、だと。


「はじめまして、レンゲさん。アーネストが紹介してくれたけど、改めまして。草薙明、明と呼び捨ててくれると嬉しいな」


「初めまして。レンゲ=フォン=ユグドラシルです、明先輩」


 私に続いて、四人も挨拶をする。

 周りを見渡して、彼は続けた。


「レンゲさんもアーネストと同じで、身分に拘らない方なんだね。うん、嬉しいな」


 そう、微笑んでくれた。

 しかし、名前が日本人みたいだなぁ。


「今日は上級生の授業を見学が主な趣旨だけど、参加もできるんだよ。どうだいレンゲさん、俺と一手し合ってくれないかい?」


 その言葉に、今まで素振りを続けていた上級生の皆が、素振りを止めてこちらを驚いた顔で見てくる。


「おい明」


「アーネスト、お前の実力は知ってるし認めてる。だからこそ、お前がそこまで入れ込むレンゲさんと、戦ってみたいんだよ。ダメかな?」


 その言葉に、アーネストは溜息をついて答える。


「はぁ、お前この学園のナンバーズの一位って自覚あんのか?」


「ああ、もちろんさ。誰にでもってわけじゃない。アーネスト、君が入れ込んでいる者だから、だよ」


 ナンバーズってなんだろう?生徒会とは、また違うのだろうか。

 違ったとして、それにアーネストが入っているのかは分からないけど、№1って事は一番強いって事だよね。

 気合の入った目で明先輩を見つめる。


「どうやら、受けてくれるようだね」


 嬉しそうに明先輩が答える。

 アーネストがやれやれといった具合に言ってくる。


「蓮華、大精霊はなしで頼む」


 そう言われて、思い出した。

 そういえば、どうして今まで大精霊の力を借りなかったのか。

 ノルンとの戦いの時だって、大精霊の皆の力を借りていれば、また違ったはずだ。

 急な事で頭が回っていなかったなぁ、気を付けよう。


「了解、私の魔力とソウルだけで行くよアーネスト」


「ああ。でも油断するなよ蓮華。あいつは、明は……俺と引き分ける程の剣の腕前だぞ」


 その言葉に驚く。

 アーネストがどれだけ成長したかは分からないけど、絶対に私と居た時より強くなっているはずだ。

 そのアーネストと互角、油断できないな。


「アーネストに何か吹き込まれたかな?顔つきが変わったねレンゲさん。良いよ、その覇気……素晴らしい」


 そう言って構える明先輩。

 奇しくも、私と同じ刀だ。


「おいお前ら、蓮華と明から離れろ!間違いなく戦場になるぞ!」


 アーネストが皆に声を掛ける。

 明先輩の体を魔力が包むのが見える。

 金色の光を纏うその姿は、まるで戦闘民族のアレみたいだけれど……凄まじい練度の魔力である事が分かる。

 これは、一瞬でも気を抜いたらソウルを弾かれて負ける。

 皆の避難を待つ間、お互いに睨みあう。

 その時間が長くも、短くも感じたが、聞こえる声でその時間も終わりを迎える。


「良いぞ蓮華、明!」


 アーネストの声を聞いた瞬間、弾かれたように前へ飛ぶ私と明先輩。

 この戦いが、予想外の事態になる事を、この時の私は予想すらしてなかった。



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