表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

706/713

706.アーネストside70

『いやぁ、実に見応えのある試合でしたね! 連夜選手の《マキシマムブレイド》は避けれなかったら勝者は違ったかもしれませんね!』

『そうですね。難点として溜めが長い、基本縦切りで知っていれば避けやすいといった所だと思います』

『なるほどぉ。よく言う当たらなければどうという事はない! ですね!』

『そうですね』

【他人より3倍速い人が言うよね】

【マキ姉はホントさぁw】

【連夜さん強いけど、それ故に必殺技バレてるからなぁ】

【剣を前に構えて力溜め始めたら合図w】

【て、敵が動かなければ必殺できるから!】

『さてさて! 次の試合ですね! おっと、次の試合はエキストラ枠の方ですね! エキストラ枠と言えばアーネスト様、ではなく、アーネスト選手が一躍時の人となりましたが、そのエキストラ枠で堂々の第二位! 蘇芳(すおう) 理央(りお)選手です!』

『蘇芳選手は我々と似たような名前ですね』

『確かに! マイシスター麗華ちゃんから聞いた情報によると、蘇芳選手も異世……』

「お姉ちゃんっ!!」

『うひっ!? れ、麗華ちゃん!?』

「それ以上喋ったら、後で分かってるよね?」

『ハイッ! で、ではでは、話を戻しますね! 対するは大阪島の第一位、野茂(のも)瀬二(せに)選手です! ここ最近では聞いた事のない名前ですので、初出場ですね! どちらも実力が未知数、これは楽しみなカードだっ!』

【マキ姉www】

【マキ姉はホント】

【麗華様に怒られてて吹いた】

【誰も選手達に言及してないの笑う】


 リオと相対する野茂って奴、かなりの高身長だな。

 優に二メートルは超えてる。

 そしてボディビルダーのようなガッチリとした筋肉に、オーラを全身に纏わせている。

 習い始めたばかりの剛史よりも練度が明らかに高いぞ。


「それでは、試合開始!」

「いくでござるっ!」

「《其疾如風》其の()きこと風の(ごと)く!!」

「なっ!? 我より速いでござるかっ!」

「ぬぅっ!? 避けるかっ!」

「これで、反撃でござるっ!」

「《不動如山》動かざること山の如しぃ!!」

「なっ!? か、硬いでござるっ……!」

『す、すごいっ! 野茂選手はあの見た目で蘇芳選手よりも速く攻撃するなんて!』

『それを避けた蘇芳選手も見事ですね。そして蘇芳選手の攻撃を、あの肉体で弾きました。野茂選手の肉体を、何かが包んでいるように見ますが……あれを突破できなければ、蘇芳選手に勝ち目はないでしょう』

【相変わらず山田さんの実況はわかりやすい】

【ま、マキ姉は盛り上げ役だから(目をそらしながら)】

【にしても、あのごっつい筋肉であの速さは凄いな】

【100%中の100%ー! って言いながら突撃してきそう】


 やるじゃねぇかあいつ!

 リオよりも速く接近して攻撃し、避けられて反撃を避けれないと判断したらすぐに肉体をオーラで超硬化して弾きやがった!

 リオは避けた体制のままで攻撃したから、威力は下がってるとはいえ……そもそもリオの刃を弾く程のオーラを扱うたぁな!


「やるでござるなっ! ならば我も手加減抜きでいくでござるよっ!」

「《動如雷霆》動くこと雷霆(らいてい)の如し……」

「!!」

「《其疾如風》其の()きこと風の(ごと)く、《風林火山》!!」

「がっ……!!」

『おおっとぉぉっ! 目にも止まらない、いえ! 映らない速度で動いた野茂選手! 蘇芳選手をぶっ飛ばしたぁぁぁっ!」

『野茂選手が何らかのスキルを行使しているのは明らかですが、恐らく《其疾如風》と《動如雷霆》は速度を、《不動如山》は強度を、そして《風林火山》は攻撃力を爆発的に上昇するのではないでしょうか。事実、《其疾如風》のみだと動きが見えたのに対し、《動如雷霆》を組み合わせた時は私にも見えませんでした』

『山田さんのスキルを使っても、ですか……とんでもないです野茂選手!!』


 嘘だろ、あのリオが避けられねぇ速度を出すとはな。

 しかもあの正拳突き、とんでもねぇ練度のオーラが込められていた。

 下手したらリオは立ち上がれねぇかもしれねぇな。

 まさかこの神島にこんな強者が居るとは思わなかったぜ。


「ぐっ……やるで、ござるな。我はまだ、やれるでござるよ!」

「良い闘志だ。しかし、蛮勇と知るが良い。《其疾如風》其の()きこと風の(ごと)く、《風林火山》!!」

「うぐぁっ……!!」


 再度吹き飛ばされるリオ。

 しかしまた立ち上がる。立ち上がっては、《風林火山》を食らって吹き飛ばされる。

 それを何度繰り返しただろうか、気が付けば観客が静まり返っていた。


「……何故、そこまでして立ち上がる」

「愚問で、ござるなぁ……」

「名誉か? それとも有名になりたいからか?」

「ふ、ふふっ……そんなものに、興味は、ごほっ、ないで、ござるよ」

「ならば、何故だ? お前はもう、気力だけで立っている。そもそも、わしの《風林火山》を一度でも受ければ、並みの者では立つ事もかなわぬと自負しておる」

「我の……私の、目標は、ずっと、ずっと遠くに居るでござる。その方々に追いつく為には、立ち止まっている暇など、ないでござる! 私は、負けないでござるっ!」

『……』

【……】


 司会も、コメント欄も、静かだった。

 ただリオの気迫に言葉を失う。

 恐らく、自惚れでなければ……リオの目標は俺や蓮華の事だろう。

 リオは俺と戦うのを楽しみだと言っていた。

 俺は軽く聞いていたが……リオは心からそう言ってくれていたんだろう。


「そうか。お主こそ真の武士(もののふ)よ。ならば、わしも今一度撃とう、最高の一撃を!」

「私は、負けないっ! 勝って、アーネスト殿と戦うんだっ! 蘇芳流・裏奥義!《雷葬一閃》」

「《其疾如風》其の()きこと風の(ごと)く《動如雷霆》動くこと雷霆(らいてい)の如し……《風林火山》!!」


 リオの雷のように速い一撃を、野茂の正拳突きが刃を弾き、リオのみぞおちへと届く。


「がはっ……!!」


 耐えきれずにリオは舞台後方へと飛ばされる。


「あー、ねすと、殿……申し訳、ないでござる……約束、はたせ……」


 そう言って気絶したリオの元へと俺は飛ぶ。


「し、勝者、野茂選手!」


 審判が判定を下すのを後ろに聞き流しながら、俺はリオを抱きかかえた。


「お主がその者の目標だな」

「……」

「順当に行けば、わしの相手はお主だろう。だから今のうちに伝えておこう。わしの野茂瀬二という名は偽名でな。四聖天メシア殿の仲間と言えば伝わるか?」

「!?」

「フ……まぁ、今は戦いを楽しもうではないか。また後でだな」


 そう言って、反対側へと去って行った。

 配下ではなく、仲間、か。

 厄介な事にならなきゃ良いが……それとは関係なく、リオの仇だからな。

 首を洗ってまってやがれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ