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699.蓮華side64

 『ワイドランド』に居るヴィシュヌを倒す為の力。

 相手は創造神ですら引き分ける程の強さを秘めている。

 今は全盛期の力はないとはいえ、その強さは想像に難くない。


 ユグドラシル……いや、今はユーカとして家族となってくれたユーちゃんの力を借りて、ヴィシュヌの乗っ取りという凶悪な力を防ぐ事が出来た。

 これは本当に大きい。仲間割れをしなくて済むのだから。

 最大の懸念が無くなったのだから、後は純粋に力が必要だと考えた私は、あのミレニアの弟子であり、インペリアルナイト・マスターである二人の力を借りられないかと思った。


 二人は地上でも顔が効くし、なにより本当に強いからだ。

 というわけで、二人の居るソカリス邸にやってきたのだけど。


「え、居ない?」

「はい蓮華様。蓮華様なら行き先を告げても問題ねぇだろうから言いますけど、ミレニア公爵の家に週一で通ってらっしゃるんです」

「ミレニアの家に? あー、もしかして修練かな?」

「何をしてるかまでは……すみません蓮華様」

「いやいや、そんな事で謝らなくて良いよクロウ。ありがとう、それじゃミレニアの所に行ってくるよ」

「分かりました。お会いできて嬉しいですよ蓮華様。また時間が取れればで良いんで、ミレルにも会ってやってくださいね。あいつ、蓮華様に会えただけでもやる気が倍は変わると思うんで」

「あはは、分かったよ。中々会いに来れなくてごめんね」

「いえそんなっ! 蓮華様が忙しい身の上なのは百も承知ですから!」

「それはクロウもでしょ? それじゃ、またね!」

「はい蓮華様!」


 そうして、ソカリス家を後にしてミレニアの家に向かう。

 少し離れたくらいで、後ろから


「あー! 蓮華様来てたの!? お兄ちゃん呼んでよぉ!!」

「無茶言うな!」


 なんて声が聞こえてきて、少し笑ってしまった。

 本当に時間を作って、今度ゆっくりと遊びに行かないとね。

 そんな事を考えながらミレニアの家の前に着いた。


「あら蓮華様。どうなさいました?」


 扉の前に着いてすぐに、メイド姿の剣聖シャルロッテこと、シャルがすぐに出て来てくれた。


「カレンとアニスがこっちに来てるって聞いて」

「成程。今はミレニア様と戦っておられます。ご覧になりますか?」

「良いの?」

「蓮華様ならば大丈夫かと」

「そっか、それじゃ見たいな」

「畏まりました。ご案内致します」


 そう言って先を歩くシャルの後に続くと、金属の鍔迫り合いの音が響いてきた。


「「ハァァァァッ!!」」

「ぬぉぉっ!?」


 ドゴーン! と凄まじい音が鳴り響き、その音の先にはミレニアが倒れていた。


「ミレニア!?」

「「蓮華お姉様!?」」

「あいたたた……おお蓮華かや。よう来たのう」


 ドレスをぱっぱっと叩きながら、吹き飛ばされたのに平然と立ち上がるミレニアに苦笑する。


「「蓮華お姉様ぁぁぁっ!」」

「ぐぇっ……」


 いつも通りというか、凄まじい力強さで抱きしめてくる二人に呻き声が出た。

 この二人、アリス姉さん並み、だと!?


「ククッ……これ二人共。力の加減を間違えるなといつも言うておろう」

「あっ……申し訳ありません師匠」

「申し訳、ありません」


 そう言って離れる二人。

 うん、言わなくても分かる。

 この二人、滅茶苦茶強くなってる。


「さぁ、連れていくが良い蓮華や。仕上げておいたでな」

「!?」

「その二人はもう、妾には及ばぬとはいえ……その辺の神に負ける程軟弱ではないのじゃ。必ずお主の力になろう。それをこ奴らも望んでおる」

「「はいっ!」」

「二人共……。ミレニア、ありがとう。最高の援軍だよ」

「フ……妾が直接力を貸してやれれば良いのじゃがな。守りも大事であろう?」

「!! うん。私達が帰る場所を……」

「みなまで言うでない。我が娘と、弟子の為にならば力を貸してやるとも」

「ミレニア……」


 優しい声でそう言うミレニアに頭を下げる。

 本当に、私は助けてもらってばかりだ。

 この世界を、大好きな人達を守る為にも、私はヴィシュヌを倒してワイドランドの侵食を止める。

 そう決意を新たにして、世界間移動の『ポータル』を出現させる。


「ほぅ……他の世界、それも『零位』の世界への移動かえ。面白い事をしておるの蓮華や」

「あはは。また機会があったら、ミレニアも一緒に行こうよ」

「うむ、この件が片付いて落ち着いたらじゃな」

「うん! それじゃ二人共、ついてきて」

「「分かりました」」


 こうして、私はカレンとアニスを連れて、サスちゃんとアデルの待つワイドランドへと移動するのだった。 

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