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695.アーネストside66

 宴もたけなわってわけじゃないが、雑談で盛り上がって来た所で麗華が言った。


「そういえば師匠、一応午前中に出場者の中でわりかし仲の良い人にはあの件話しておいたわ」

「そうか。反応はどうだった?」

「半分は信じてくれたけれど、半分は半信半疑って感じだったわね。いくら私の言う事でもって。私も実際にあの化け物を見てなければ信じられなかったかもしれないし、仕方ないと思うけれど」


 まぁ想定通りだな。いきなり、今出現しているモンスター達は、他の世界からの侵略者達だって言われても信じられないだろう。


「ま、そうだろうな」

「けど師匠。半分は信じてくれたとも言えるわ。だからどうかな。大会の前に、私のSNSで『ワイドランド』の事を話すっていうのは」

「「「「「!!」」」」」

「私はさっきも言ったけれど、SNSでインフルエンサーとして知られてる。その私が言う事は、無視できないと自負してるわ」

「成程……先に下地を作っておくのは良いかもしれねぇな。その方が、大会の時に俺が言う言葉に説得力が増すかもしれねぇ」

「決まりね。なら、今日の午後を使って配信する事にするわ」

「頼むわ。なんか協力できる事はあるか?」

「そうね……師匠は大会の時に皆の前で話すわけだから、この配信で出る必要はないし……ロキさんを借りても良い?」

「え、兄貴を?」

「ええ。ロキさんの現実離れした美しさは、それだけで説得力が上がると思うのよね」

「えぇ……いや、兄貴がすげぇイケメンなのは認めるけどよ」

「だって、私が言うだけだと、どこでその情報を知ったのかってなるでしょう? そこで、この世界の人間じゃないロキさんの登場って事よ師匠」

「おお、そう言われたら確かに……。ってわけなんだけどよ、良いか兄貴?」

「それがアーネストの力になれるのでしたら、構いませんよ」

「兄貴……」


 相変わらず、俺や蓮華の為なら助力を惜しまない兄貴に感謝してもし足りない。

 本来、兄貴はこんな事に力を貸す必要は無いのに。


「すまねぇ兄貴」

「おや、そこはありがとうの方が嬉しいですね、アーネスト」

「!! へへ、そうだよな。ありがとう兄貴!」

「ええ。その笑顔が見れるのならば、私はいくらでも力になりましょうアーネスト」


 そう優しく笑う兄貴に、男の俺でも照れてしまうわけで……


「「「「「キ"ャ"ァ"ァ"ァ"ッ"!!」」」」」

「うっわ……危ない、心臓が破裂するかと思ったわ……師匠で見慣れてなかったらやばかったわ……」

「ホント……あの笑顔は反則だよぉ……。お兄ちゃん、ちょっと顔見せて落ち着くから」

「未来、実の兄に対してめっちゃ酷くないかそれ!」


 麗華やミライが心臓に手を当てて呼吸を整えているし、周りで見ていたのか、女性陣が悲鳴を上げたのが聞こえた。

 俺も母さんが男性に成ったようだって蓮華に言われるくらい美形になったみてぇだけど、兄貴には及ばないと俺自身思うしな。


「兄貴は外で生き辛そうだよな」

「私はアーネストと蓮華が傍に居てくれれば、他に何も望みませんからねぇ」

「……」


 兄貴に何を言っても俺が照れるだけになるので、もう何も言うまい。


「あはは! 照れてるアーネストも可愛いよ!」

「小学生くらいの子に可愛いって言われてもな……」

「もー! 中身は大人なんだからねー!」


 そう言ってミライはぷんぷんと怒るが、それを含めてもやはり可愛らしいが勝ってしまう。

 しかし、王将にめっちゃ迷惑掛けてる気がするな。

 もうここには来れねぇな……まぁ今日しかこねぇだろうし、勘弁してもらおう。


「あっ、定員さーん」

「はーい!」

「餃子おかわりでーす!」

「「まだ食うの!?」」


 麗華が追加の注文をするのに、剛史とシュウヤの声がハモる。

 俺も思ったが、口には出さなかった。

 こういう時に口を出すと、睨まれるからだ。


「何か文句でも?」

「「ありません……」」


 ほらな。

 それから食事を終えた俺達は、ホテルに戻る事にした。

 王将から出る時も、かなりの視線を向けられたが……慣れるしかねぇんだろうな、これ。

 幸いというか、兄貴が居てくれるおかげで視線は減っているんだが。

 あとは、麗華への視線も割と多かった。

 本人が言うように、やはり有名なんだろうな。


「そんじゃ俺は部屋に戻るぜ。明日まで皆ゆっくり体休めとけよ。剛史とシュウヤに清田、それにミライは適当に遊んでても良いけどよ」

「「「「雑ぅ!」」」」

「まぁ出ないんだから、気は楽でしょ。なんなら、私のSNSで配信に出ても良いわよ」

「いや、それは遠慮するわ……」

「俺も。つーか俺と未来はこの世界で有名になっても意味ねぇしさ……」

「だね。あと大勢の人に見られてるって思うと、恥ずかしいし……」

「俺は麗華さんのファンだったので、直接見るだけで嬉しいです」

「そう、残念ね。慣れると楽しいのだけど。それじゃロキさん、付き合って貰えますか?」

「良いでしょう。貴女の部屋に行けば良いのですか?」

「はい。ロキさんなら安心ですし」

「あー、でもどんな風にすっか気になるな。俺も見に行っても良いか麗華?」

「ふふ、師匠なら喜んで」

「あ! それなら私も見たいかも!」

「俺も俺も!」


 俺の言葉を皮切りに、他の皆も見たいと続いた。

 麗華は苦笑しながら、


「結局このまま皆で私の部屋に行く事になるわね」


 と言うのだった。

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