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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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67.ノルンとの出会い

 いきなり現れた女性が尋ねてくる。


「そう、だけど。貴女は?」


「私はノルン。ノルン=メグスラシル=ディーシル。私は貴女よ、蓮華。いえ……ユグドラシル」


 瞬間、体に悪寒が走る。

 なんだ、こいつは。

 今まで出会ったどのタイプとも違う、体が……彼女を拒んでいる。


「ふふ、貴女も感覚で分かってるようね。良いわ、『メタモル』を解いてあげる。これで貴女以外、私が私とは分からない」


 ヴゥン


 姿が変わる。

 その、姿は……!


「わ、私……!?」


 い、いや、髪の色や目の色が私とは違う。

 私は黒髪だけど、彼女は緑髪だ。

 瞳の色も、私と違ってブラックダイヤモンドの色をしてる。

 だけど、それ以外はほとんど……!


「ふふ、蓮華。貴女を手に入れて、私は唯一となる。その魂、貰い受けるわ!」


 言うが早いか、ノルンが斬り掛かってくる。

 それをソウルで受け止める。


 ギィン!!


「くっ……!ノルン、ここは学園なんだぞ……!」


 言うも、押しかかる重圧が強くなる。


「ええ、知ってるわ。でも、私と貴女にそんな事は関係ない。その器は、邪魔なのよ!」


 キィィィン!

 ドゴォッ!


「ぐぅっ!!」


 踏ん張りきれず、校舎の壁に吹き飛ばされる。

 顔を上げると、すでにノルンの姿が無い。

 瞬間、右から声が聞こえたので反応する。


「はぁぁぁっ!!」


 ブゥン!!

 ゴオォォォォ!!


 前に転がり、なんとか一撃を回避する。

 凄まじい剣圧が、周りの木々を吹き飛ばしている。


「なんてパワーだ……!」


 言いながら、立ち上がる。

 訳が分からないけど、このままやられるわけにはいかない。


「良いよ蓮華、すっごく良い。貴女は他の羽虫とは違う。やっぱり、強い」


 そう言って、妖艶に笑うノルン。


「私は、なんでノルンが私を狙うのか、分からない。けれど、ノルンは私の命を狙ってるんだよね?なら、私は奪われない為に、戦うよ!」


 そう言って、魔力を込める。

 体から魔力が溢れだし、竜巻のように巻き上がる。


「ふふ、奪われない為に、ね。そんな程度の想いじゃ、私の本能には勝てないよ蓮華」


 ノルンにも凄まじい魔力の渦が湧き上がる。

 こ、れはっ……私よりも、数段上の魔力だ……!


「蓮華、今の段階ですでに、私の方が上だね。なら、このまま終わらせる!!」


 瞬間、目の前にノルンが現れる。

 速い!

 けれど、追えないわけじゃない!


 ギィン!!

 ゴオオオオオッ!!


 剣と剣が鍔迫り合い、凄まじい衝撃波が周りへ拡散する。


「「はぁぁぁぁっ!!」」


 ギィン!ギギィン!ギギギン!!


 何度も剣と剣が弾きあう。

 ノルンは私の心臓を狙っている。

 だから、私はそれを防ごうとしている。

 見た目には互角に見えるかもしれない。

 けれど、押されているのは、はっきり言って私だ。

 私は攻められていない。

 防戦一方なのだ。

 

 ギィンッ!!


 くっ!ノルンのパワーに体がよろめく。

 その隙を逃すノルンじゃない。


「とどめぇっ!!」


 これは防御できないっ!

 そう思った瞬間。


「させるかよ!!」


 ギィン!!


「きゃっ!?」


 体制を崩すノルン。

 そこへ二刀の剣撃が襲う。


「そらよぉっ!!」


 ズバァッ!!


「あぐっ!!」


 ドゴオオオオン!!


 校舎に激突するノルン。

 私を守るように立つ、その姿は……。


「あ、アーネスト……!」


「遅くなってすまねぇ蓮華。ここからは、俺も戦うぜ」


 そう言って、双剣を構えノルンの方を見据えるアーネスト。

 頼もしいその後ろ姿に安堵を覚えるが、まだ戦いは終わっていない。

 体制を立て直し、ノルンの姿を追う。


 ガラッ……!


 丁度、アーネストによって吹き飛ばされたノルンが、立ち上がった所だった。

 斬られたはずなのに、傷一つ負っていない。

 アーネストの一撃でも、魔力の防御壁を貫けなかったのか。


「チッ……流石、やるわね会長。その力、厄介だわ」


 その姿を見て、驚くアーネスト。


「お、お前……れん、げ……?」


 その言葉に笑うノルン。


「クス、違うわ会長。私の名はノルン。ノルン=メグスラシル=ディーシル。もう一人の世界樹の器よ」


 その言葉に衝撃を受ける私達。


「蓮華さん!アーくん!」


 そこへ、アリス姉さんがやってくる。


「アリス姉さん!」


「大丈夫蓮華さん!?アーくん!ごめんね、遅くなって!」


 そう言って、ノルンを見るアリス姉さんも、アーネスト同様、驚いた顔をする。


「ノルン……!?」


 どうやら、アリス姉さんは知っているようだ。


「私の事を知っているの?なんにせよ、貴女まで加わるんじゃ、このままでは勝ち目がないわね。一旦、退かせて貰うわ」


 言うと同時に、消えるノルン。

 『ワープ』の魔法か、厄介だな。

 しかも、普段は姿を変えている。

 これじゃ、こちらから探し出す事は難しいな……。


「大丈夫か蓮華、すまねぇ。肝心な時に傍に居てやれなかった」


「いや、助かったよアーネスト。私だけだったら、多分やられてた。ノルン……あいつは、強い。それに、多分また襲ってくる」


 そう、ノルンは私を邪魔だとはっきり言った。

 そう遠くないうちに、また仕掛けてくるはずだ。


「人除けの結界まで張って、私達が離れた瞬間を狙ったみたいね。迂闊だったよ……怪しい気配も、罠だったみたい」


 アリス姉さんが悔しそうに言う。

 それから私達は、砕けた校舎を魔法で元通りにしてから、今日は寮に戻ったのだった。



-ノルン視点-



「私の事を知っているの?なんにせよ、貴女まで加わるんじゃ、このままでは勝ち目がないわね。一旦、退かせて貰うわ」


 言って、『ゲート』を使いアリシアの元へ戻る。

 『ゲート』は予め設定しておいた場所へ、瞬時に移動できる魔法だ。

 『ワープ』と違い、一方通行で干渉されないので追われる心配がない。

 一時的な使い切りの魔法だからだ。


「おかえりノルン。どうだった?」


 アリシアが聞いてくるが、少し不満だったので言う。


「もう少し会長が来るのを遅く出来なかったの?それに、あの子も来るのが速いわ」


「それはごめんね。だって、あの会長は本当に妹の事になると、行動が速いんだもの」


「アリスティアも違和感に気付くのがやはり速い。これは簡単には行かないだろうな」


 リンスレットも答えてくれる。

 蓮華だけなら、私だけで倒せるのが今回で分かった。

 だけど、あの会長やアリスティアが居ては、難しいと言わざるをえない。

 だけど……それも含めて、楽しい。

 あいつら、本当に強い。


「嬉しそうだな、ノルン」


 タカヒロが声を掛けてくる。


「うん、リンスレットやアスモデウス、タカヒロ以外でこんなに強い相手初めてだから。時間はまだまだある、私はもっと強くなるよ」


 そう言ったら、タカヒロが頭に手を置いて撫でてくる。


「あんまり焦るな。俺はお前を失いたくはないんだからな」


 その言葉を嬉しく思うけど、子供扱いしてくるのは頂けない。


「もぅ、分かってるよ。後、子供扱いはヤメテ!私はこれでも、もう15歳なんだよ!」


「はいはい、まだお子様だな」


 おのれタカヒロ、今に見ていろ。

 いつか私のナイスバディで赤面させてやる。


「ハハッ……お前もタカヒロには懐いているな。私にもそんな態度で接して欲しいんだけどな」


 とリンスレットが言うけど……。


「無理だよ、リンスレットは私の超えるべき相手だからね。敵に懐いたりしない」


 そうはっきり言ってやる。

 そう、私は魔王・リンスレットを超えたい。

 その為には、ユグドラシルの力を一身に受けなければダメだ。


「そうか」


 その一言には、どんな想いが込められていたのか分からない。

 けれど、今の私に映るのは……。

 蓮華、待っていて。

 貴女を、私が“奪う”から。



-ノルン視点・了-



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