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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第六章 天上界編

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673.蓮華side51

 翌日早朝。

 興奮して眠れないと言った事もなく、自然と目が覚めた。

 体は軽いしマナの循環も良い。

 万全と言えるだろう。


 パジャマから兄さんに貰った服へと着替える。

 もう馴染んでしまったけれど、この服を着ると昔スーツに着替えた時のような、背筋が伸びる気持ちがする。

 いや昔って、実際はそう昔ではないのだけど、時の世界で過ごした時間のせいだねきっと。


 部屋の外に出ると、アーネストが背を壁に預けながら待っていた。


「よう、おはよう蓮華。よく眠れたか?」

「おはようアーネスト。ああ、ぐっすりだよ。お前は?」

「へへ、熟睡したぜ。今はワクワクしてるぜ」


 そうニコっと笑うアーネストに、緊張は見られない。

 お互い万全の調子で挑む事が出来そうだ。


 母さんとモルガンさんの気配は外に感じる。

 すでに待っててくれているのだろう。

 私達は静かに外へと向かう。


「おはよう二人共。うん、その調子なら万全そうね」

「緊張も見られませんね。良い事です」

「「……」」


 私達は息を呑んだ。

 二人のまとう魔力が、昨日までと違う。

 普段抑圧しているのであろう神聖力が解放されていて、魔力と融合している。

 その凄まじい強さの魔力で、気圧されそうになる。


「さぁ、早速始めましょうかアーちゃん、レンちゃん。いえ……アーネスト、蓮華」

「「!!」」


 母さんの目つきが変わる。

 身に纏っていた魔力が、荒れ狂う暴風のような力となり、それが殺意へと変貌する。


「「おおおおおぉぉぉっ!!」」


 それとほぼ同時に、私達は力を解放する。

 私はユグドラシルの枷を外し、押し留めていた魔力を解放した。

 黒色の髪はユグドラシルの色である緑色に変わり、全身を緑色のマナが覆う。

 一方アーネストは、全身を金色のオーラが覆っている。

 その力は私と寸分の違いも感じられない。


「行くぞっ! 蓮華っ!」

「ああっ! アーネストっ!」


 同時に地面を蹴り飛ばし、飛び掛かる。


「『グランドクエイカー』」

「「っ!!」」


 母さんの魔法が発動し、地面が割れる。

 それくらいなら避けられる!


「潰れなさい」

「「ぐぅっ!?」」


 そこに、モルガンさんからの魔法が全身にぶつけられる。

 これは重力かっ……!


「しゃらくせぇっ!」


 アーネストはその重力から一足先に解放され、母さんに向かって行った。


「おおっ!」


 私も気合で重力をはじき返し、モルガンさんへと突っ込む。


「だらぁぁっ!!」

「二刀流、『二剛一剣』」

「なっ!? 母さん、槍じゃねぇのか!?」

「ふふ、私は全部の武器を扱えるの、忘れちゃったかな? 二刀流はハマってた時期が長いから、得意武器の一つなんだよ、ね!」

「ぐっ!?」


 母さんの剣を受けきれず、後ろへと下がるアーネスト。

 そこへモルガンさんの魔法が飛ぶのが見えた。


「させるかっ! 『アイギスシールド』! 『ケラウノス』!」


 魔法の盾を召喚し、アーネストに向けられた魔法を防ぐ。

 同時に、モルガンさんへの攻撃も忘れない。

 雷系最高位魔法の一つ、『ケラウノス』だけど……モルガンさんには当然のように効かない。


「ふむ、魔力量は大したものですね蓮華。流石はユグドラシルの肉体を継承しているだけはありますが……まだ、制御が甘いですね。『アブソリュート・ゼロ』」


 モルガンさんから放たれる氷系最高位魔法の一つ。

 直撃すればただでは済まない。


「相殺するっ! 燃えろっ『フレアエクスプロード』!」


 辺り一面を凍らせようとする力を、炎の最高位魔法で蒸発させる。

 氷と炎、どちらも強い方が相手に特効足りえる力。

 氷が強ければ炎は消え、炎が強ければ氷は蒸発する。


 結果は、氷も炎も消えた。


「ほぅ……この私と互角ですか。やりますね蓮華。では、次々行きますよ」


 そうして信じられない速度で最高位魔法を連射してくるモルガン。

 私も負けじと魔法を使うが、速度が追いつけないっ……!


「『アイスボルガノン』『ライトニングジャッジメント』『フィアフルフレア』『ボルケインメテオスォーム』」

「ちょまっ!?」


 魔法の連射が早すぎる上に、一つ一つの威力がシャレにならないくらい強い!

 本来魔法は、詠唱を加えて貯めを作る事で、威力を高みにまで上げる事が出来る。

 詠唱破棄は、威力を高めない代わりに早く使えるというだけだ。

 だというのに、モルガンさんの魔法はフルチャージをチャージせずに使ってるかのように威力が高い。


「まだまだ行きますよ」

「のぁー!?」


 そうか、これが皆から見た私だったのかもしれない、なんて思った。


「ごはぁっ!?」

「あいたっ!? アーネスト!?」

「くっ……蓮華か」


 背中に何かぶつかったと思ったらアーネストが飛ばされてきたようだ。


「って蓮華! 上! 上だっ!」

「!! 『イージスフィールド』!」


 モルガンさんの魔法が上から降って来たのを、『イージスフィールド』による結界でなんとか防御する。

 しかし……


 ピシッ……ピキキッ……



「おい蓮華……」

「みなまで言うな、分かってる」

「だよな」

「ああ。せーので、いくぞ」

「「せーの!」」


 パキキキキキィーン


 良い音がして、結界が割れた。

 それと同時に私達は前へと駆ける。

 すでに二刀を構える母さんと、錫杖を地面に突き刺し、気だるげに立っているモルガンさん。


「「おおぉぉぉっ!!」」


 私達は挑戦者だ。

 この世界最強の存在に、並び立てる力があるかどうか、持てる力の全てを掛けて……!



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