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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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65.無料のレストラン


-アスモデウス視点-


「で、だ。俺が今言ったのは、一応言わなければならない事なんで言った。けど、俺が一番言いたいのは一つ。俺の妹が今年入学してきた。本来まだ入学できる歳じゃないが、特例だ。良いかお前ら、レンゲ=フォン=ユグドラシルに手を出したら、俺が絶対にゆるさねぇからな!そん時は、俺にまず勝ってからにしろ、分かったか!」


 うぇぇい……会長、君何言っちゃってるの……。

 まぁ、あのまま放っておいたら、特別公爵家と知らない平民にちょっかい掛けられまくってただろうけど。

 それぐらい、あの子は綺麗で可愛い。

 流石、ユグドラシルの化身だ。

 そりゃ、実力が知れ渡れば、そんな馬鹿も減るだろうけど、その機会が訪れるであろう闘技大会は少し先だ。

 しかし、変装も何もしないで、そのまま学園に入学してくるなんて、予想外すぎた。

 朝も、会長がいきなり、蓮華を迎えに行く!絶対あいつ迷子になってるから!なんて言うから、皆慌てたのだ。

 生徒会長が一生徒を出迎えるなんて、前代未聞なのだ。

 それにこの会長は、編入してからの奇行が凄まじく、誰も彼についていけていない。

 だからこそ、前生徒会長の目に留まって、更には物凄く気に入られて、生徒会長になってしまったのだけど。

 その実力の高さ、知識の深さから、誰も反対なんて出なかったけれどね。

 ま、唯一私が会長を諌める事ができるので、副会長になんてされてしまったのだけれど、私も正体隠してるから、全力を出せない。

 後、壇上からリンとタカヒロを見つけた時は、小躍りしそうになるのを我慢するのに必死だった。

 上手く『メタモル』の魔法を使っているから、見た目的な意味では本当に普通だ。

 タカヒロはともかく、リンはすっごい美人なのでもったいない。

 蓮華とかいう子に勝るとも劣らないのに。

 それに、あの子……ノルンも髪の毛と目の色の違いはあれど、見た目はほとんど一緒だ。

 今はもちろん『メタモル』で容姿を変えている。

 だけどあの子は鋭いから、もう蓮華という存在を射程に入れているだろう。

 近いうちにちょっかい掛けるだろうなって思っている。

 また止めに行くのが大変だ……。

 会長がマイクから離れ、私がマイクの前に行く。

 はぁ、フォローしとかないと。


「えー、私は生徒会・副会長のアリシアです。会長の補佐という立場に居ますが、私では正直会長を止められません」


 その言葉に同じ壇上に立っている生徒会メンバーから少し笑われる。

 貴方達も止められないものね、だから私を笑う権利はないのよ?


「会長に勝つ事が出来れば、会長に任命される確率は物凄く高いでしょう。ただ、強いだけでは、会長になれない事も理解してください。会長がシスコンなのは意外でしたが、それ以外では本当に優秀な方ですので」


「おいアリシア!誰がシスコンだ!!」


「そうでないなら、この場であんな宣言はしないと思われますが?」


「ぐっ……!!」


 会長に会話で勝てたのは初めてではないだろうか。

 この会話で緊張が多少解れたのか、クスクスと笑い声が聞こえ始める。


「静粛に。貴方達新入生も、生徒会に入れる可能性は十二分にあります。生徒会は内申点も他よりかなり大きいので、入れば望みの進路に就ける可能性が高まります。目指してみるのも良いと思いますよ。それでは、副会長・アリシアからは以上です」


 かなりぶっちゃけた事を話せるのも、会長のおかげだ。

 会長自身が滅茶苦茶な事を最初に言っている為、私の発言はさほど問題に思われないのだ。

 拍手が鳴り響く中、後ろに下がる。

 会長に小言を言われたが、そしらぬ振りをする。

 はぁ、早くリンとタカヒロに会いに行きたい。

 ノルンがどう思ったかも、気になるし。

 ともあれ、今後の学園生活を考えると、凄くワクワクしているのも事実だった。



-アスモデウス視点・了-



「よぉ、お待たせ蓮華!」


 なんてにこやかに言ってくるアーネストに、私がする事は一つ。


「でぇぇぇいっ!!」


 スパコーン!!


 そう、ソウルで頭を叩き付けた。


「いっでぇぇぇ!?おま、それは酷いだろ!?」


「酷いのはお前だ!公開処刑か!?」


「あっははははは!蓮華さん、アーくん、最高!私笑いすぎて涙が出てきたよ!」


 なんてアリス姉さんが本当に涙をぬぐいながら言ってくる。

 別にコントをやってるつもりはないんだよ!


「アーネストォォォ……!」


「い、いやごめんって!でもさ、俺にも言い分がだな!あるんだよ!聞いてくれよ蓮華!」


 それを聞いて、とりあえずソウルを下げる。


「聞いてみて、納得いかなかったら、袋叩きにするからなアーネスト」


 その言葉に身震いするアーネストが少し面白くて、溜飲は下がったけど。


「え、ええとだな。この学園ってさ、貴族も平民も、関係なく学べる場所なんだよ」


 うん、パンフレットにもそう書いてあった。


「でさ、やっぱな、平民と貴族じゃ、扱いが普通は違うもんなんだ。ほら、公爵家に、それ以下の位の貴族の者からは話しかけられないとか、さ」


 そういえば、貴族のマナーとか色々あったな。

 でも、ここではそういうの無しだったような。

 それを承知でここに入学してるわけだし、それで問題を起こすのは貴族の方が悪くなるんじゃないのか?


「ああ、蓮華が今思った事は予想できるけど、その通りなんだ。だから問題でな……」


 何がだろうか。

 身分関係なく話せるなら、良い事じゃないのか。

 と思っていたら、アリス姉さんが成程ね、と言っている。


「つまり、だな。普通なら話しかけられない蓮華に、こぞって話しかけてくる輩が大勢いるわけだ。それも、家柄を狙った奴だけじゃなく、お前は綺麗で可愛いからな。将来の嫁にしたいって奴も一杯いるはずだ」


 よ、嫁!?

 い、いや、私は体は女でも心は男だよ。

 考えて体がブルッとした。


「そういう事だよ。だから、蓮華に取り入りたいなら、まず俺に勝てって言ったのは、防波堤のつもりだったんだよ。蓮華に先に言ったら、絶対駄目って言われるだろうから、勝手にやったのは悪かったよ」


 そうか、アーネストは私の為に、憎まれ役を買って出てくれたのか。

 これじゃ、怒るに怒れないな。


「はぁ、お前が私の為に色々してくれてるのは分かったよ。その、ありがとなアーネスト」


 少し照れながらそう言った私に、アーネストもとても良い笑顔で、おうと言ってくれた。


「ねぇアーくん、私お腹すいたんだけど、この学園も食べる所ってあるよね?」


「ん?もちろんあるぜ。昼食にはまだ少し早いけど、先に行くか?」


「行きたい行きたい!」


「オーケー、蓮華も良いか?」


 特に異論はないし、アリス姉さんが行きたいなら、それで良かったので。


「うん、私も少しお腹すいたし。でも私、お金ってカードしか持ってないよ?」


「ああ、学園の食事は無料だぜ蓮華。数か所あるから、日で変えるのもありかもな」


 なんと、無料なのか。

 それは凄いな……この学園がいかに重要視されているかが分かった瞬間だ。

 ご飯無料でそう考えるのはあれかもしれないけど。


「そんじゃ行こうぜ蓮華、アリス。案内は俺に任せな。まぁ、多少目立っちまうけど、最初だけだよ多分」


 なんてアーネストが苦笑して言うけど、最初だけだと良いなぁ……。




-ノルン視点-



 あのアーネストという会長の強さは、肌で感じた。

 魔力を一切感じないので、凄まじい悪寒を感じた。

 どんな者でも、僅かながら魔力は存在する。

 当たり前だ、体を維持する為に少なからず、全生物に魔力は存在するのだから。

 それが、一切感じられなかった。

 これにはリンスレットも驚いている気配を感じた。

 それから、隠れもしていない、蓮華という少女。

 私とそっくりで目を疑った。

 あの男とは違い、こちらは凄まじい魔力に包まれているのが分かった。

 楽しみだ、そう思った。

 だって、あいつは強い。

 私はずっと、リンスレットと大罪の悪魔達、それにタカヒロくらいしか関わりを持てなかった。

 私の存在は、秘匿されてきたからだ。

 そして外の世界へ喜び勇んできてみれば、他の者達はほとんどがもやしみたいなものだった。

 私の周りの者達が凄すぎたのか、薙ぎ払えば狩れてしまうような、へなちょこばかりでがっかりしたのだ。

 そんな想いのまま、学園に来た。

 少し歩いていると、ざわざわと騒ぎが大きくなってきたから、そちらを向けば、私そっくりな人と、凄まじい魔力を内に秘めた少女を見つけた。

 思わず凝視してしまった。

 私そっくりな人もそうだが、その人にくっついて離れない少女。

 あれはヤバイ。

 滅茶苦茶強いのが肌で感じられた。

 同時に、凄くワクワクしてきた。

 あの人達と、これから競い合えるのか、と。

 それからの、あの会長のセリフには度肝を抜かれた。

 あんな事を大勢の前で言える度胸に、私は少し気に入ってしまった。

 まぁ、内容はあれなんだけど、妹を守る為に言ったのは理解できた。

 私は今もリンスレットとタカヒロが会話しているのを横で聞き流している。

 アスモデウス、じゃなかった、アリシアを待っているのだ。

 私の身内以外で初めて出会う強者達に、そしてもう一人の器へと心の中で感謝を送る。

 ようやく私は、唯一に成れるんだから。



-ノルン視点・了-



「凄い、広すぎないかこの食堂……というか、レストランだよねこれ!?」


 あまりの規模に、そう言ってしまった私に、笑うアーネスト。


「はは、俺も最初来た時はそう思ったよ!入り口のとこに欲しい食事を選ぶ機械があるだろ?それで食券と番号札が出てくるから、食券は渡して、番号札は持っておくんだ。で、食事を渡される時に、番号札と交換ってわけさ」


 成程、そうなってるのか。

 しかし、これだけの種類があると、なにがなにやら分からない。

 だって、名前とボタンしか無いんだ。


「ま、どれが良いか分からなかったり、拘りが無ければ本日のお勧めを押すのも手だな。後一つだけ注意でな、大量に頼む場合、残すのは厳禁だ。次が頼めなくなるからな」


 そういう所もしっかりしてるんだな。

 まぁ、私はそんなに食べないので、どれか一品くらいだろうけど。

 見た所、セット物が多いみたいだし、それを選べばお腹は膨れそうだ。


「ふーむ……」


 と、どれにするか悩んでいたら、なんか大勢に見られてる事に気付く。


「……なぁアーネスト、私が選ぶのを、なんか見られてる気がするんだけど」


「ああ、俺もそうだけど、蓮華が選んだのを食べようと思ってるんじゃないか?」


 なんだそれは。

 というかお前もかい。


「なんでだよ」


 呆れてそう言ったのだが。


「そりゃ、蓮華と同じのが食べたいからだよ」


 って真顔で言われた。

 どんな思考回路してるんだよ……。

 考えたら深みに嵌る気がしたので、適当に選ぶ事にした。


「それじゃ、このオムライスとサラダセットっていうのにするよ。なんか一番無難だから」


 と言ったら。


「そんじゃ俺も」


「蓮華さんがそれ頼むなら、私もそれにしよっと」


 と、二人ともそのボタンを押す。

 食券と番号札が同時に出てきたので、受け取って渡しに行く為にその場を離れる。

 すると、先程までは全く誰も近づく気配が無かったのに、後ろでは凄まじい人数が食券器に集まっているのが見えた。


「えぇぇ……」


 思わず零れた声に、二人が苦笑する。


「なっ?お前、多分今一番声を掛けたい人だぜ?アリスもだろうけどな」


「私は他は興味ないやー。蓮華さんとアーくんが居たら、それで良いよー」


 なんか微妙な気になりながら、二人と食事をする。

 この学園の事を色々聞きながら、私達が住む事になる寮の話もね。

 食事を終えたら案内してくれる事になったので、食べ終えた私達は外へ出る事に。

 偶々見た食券器の、私が選んだボタンが赤く変わっていた。

 アーネストに聞いたら、在庫切れ、いわゆる売り切れという印らしい。

 滅多にあの印はでないんだけどなーって笑いながら言ってたけど、私としては今後が怖くなったよ。

 それから、アーネストに先導してもらいながら、寮に向かった。

 途中、ずっと後をつけてくる人達や、遠巻きに見る人達が一向に減らなくて、うんざりしてたのは隠しきれてない気がする。



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