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655.蓮華side43

 数日間ユグオンで遊び続けた私は、今日もこちらの世界に戻ってきてグッと伸びをする。


「ん~! 長時間ユグオンやってると、やっぱり体がちょっと硬くなるなぁ」


 数時間でこれなんだから、一日中やってる人は結構キツイんじゃないだろうか。

 私の場合、すぐに癒えるのであれなんだけど。


 ユグオンの世界ではユーカとアリス姉さん、ノルンにトネリコ、それにアスモとタカヒロさんに加えてアテナまで集まった。

 ゼロも勿論誘ったんだけど、あまりユグオンに乗り気ではなくて、皆で楽しんできてって笑顔で言われちゃったよ。


 アリス姉さんとアテナは同じクランメンバーというかクラン創立者のクランマスターと副マスターだという事で、私達全員同じクランに入る事に。

 いや、色々とボーナスがあるから仕方ないよね。

 最先端を行くクランの為、設備もこれ以上のクランは無いみたいだし。


 意外にもクランマスターはアリス姉さんだった。そのままつい言ったら『なんで意外なんだよぉ!?』と怒られてしまった。

 いや、うん、そういうとこだよアリス姉さん。

 まぁアテナもぐうたらな姿しか見ていないけれど、これでも最高位の神様だもんね。

 ……本当だろうか? 少し疑わしくなってきたんだけど。

 でもその強さは身に染みてるからなぁ……。


 アリス姉さんとアテナは、私達にパワーレベリング……言い換えれば寄生という何もしなくてもレベルが上がってくような行為はしなかった。

 攻略組のクランなのに、私達に対してはそれを強要しない。

 不満出ないの? って聞いたら、私達というか、私の存在を多くの人が知ってるので、何の問題もないらしい。

 それどころか、より一層このクランへの入団希望が増えているそうだ。

 大体が門前払いみたいだけど。


 私とユーカ、それとノルンにトネリコ、アスモ、タカヒロさんの六人は始めたばかりな事もあって、レベルがかなり低い。

 それでも数日掛けてダンジョンを走破してレベルを上げていった。

 いつもの自分とは違う体に戸惑いながら、普段なら絶対に負けないような相手に負けて、悔しがったり笑ったりして、とても楽しかった。


 そんな数日を思い出しながら、部屋を出る。

 まだアーネストの居る場所に行くのは速いし、今日も午後はユグオンかなと思っていたのだけど。


「レンちゃん、ちょっと天界行ってくるね」

「へ?」


 母さんの言葉で一気にそんな考えが飛んでいった。


「ユグオンで遊んでいる間に、私も完全復活しましたからね。そろそろゼウスの所へ行こうかと思いまして」


 そんなにすぐに回復するものなのね、流石神様。ってそうじゃなくて。


「もしかしなくても、母さん達神様連合VS天界とかになるの?」

「あはは! レンちゃん、そんなわけないじゃない~!」


 そうだよね、流石にそんな大事には……


「リンも来るし、モルガンも誘ったら珍しく行くって返事来たし、アテナも加わるって言うし、天界のウルズやラケシスもこちらに協力するって返事が来たからね!」


 思った以上に大事になりそうだった!


「い、いやいや、何その最強の布陣。母さん達だけでもオーバーキルだよね!?」

「ふふ、私もそう言ったのですけど。皆非常に協力的で。これも蓮華の人徳かもですね」


 なんでそこで私が出るの!?


「フッ……ユグドラシルの影響も確かにあるでしょうが……大きくは蓮華、貴女のお陰だと私も思いますよ」

「兄さん……」


 ポンポンと優しい表情で頭を撫でる兄さん。

 それを見て最初は皆驚いた表情をしていたけれど、最近は微笑ましい表情で皆見てくるようになった。


「リンスレットもそうですが……あのモルガンは、少なくとも蓮華の事を気に入ってなければ動きはしなかったはずです。アテナは色々と複雑ですが、蓮華の事も気に掛けているからでしょう。そしてウルズもまた、蓮華の事を気に入っていますからね」


 兄さんにそう言われ、顔が熱くなるのを感じる。


「私達でカタをつけてくるから、蓮華さんはゆっくりしていて良いからね!」

「……正直、私も行きたいけど……でもそれをしたら、皆の想いを踏みにじっちゃう事になるよね?」

「「「「「……」」」」」


 皆は何も言わず、ただ微笑んでいるままだ。

 だけど、それだけで私は納得する。

 皆、私の為に行動を起こそうとしてくれているのだから。


「……分かったよ。私は、ここで待ってる。だから、気を付けてね皆」


 そう言ったら、皆笑顔で応えてくれた。


「まっかせなさいレンちゃん! 私達はこれでも神界で特別な神位を冠した神様なんだよ!」

「ふふ、私達が協力して事に当たるなんて、昔でもなかったですね。それが、蓮華の為に協力し合える。とても喜ばしい事ですね」

「確かにそうかも! そもそもロキやモルガンが協力なんて、昔は考えられなかったもんね!」

「私はともかく、モルガンは興味の無い事にはどこまでも無頓着ですからね」

「いやいや、お前もそうだぞロキ……」

「間に合いましたねアテナ様」


 兄さんの言葉に応えながら、アテナとクロノスさんが入って来た。


「これだけの神々が協力するんだ。例えパ……ゴホン、ゼウスが相手でも負けは無いだろう。ただ、オリンポス十二神の強さは油断できないがな」

「クス。その筆頭戦士がこちらの味方ではないですか。頼りにしていますよアテナ」

「その信頼には応えようユグドラシル、いやユーカだったな!」

「ええ。クロノスも、頼みますね」

「はっ。このクロノス、アテナ様とユグ……ユーカ様、そして蓮華様の為に力を貸しましょう」


 もはやメンバーに圧倒されてしまう。

 この神々達に勝てる相手なんて居るんだろうか?

 私には想像できない。


「それでは、行きましょうか」


 皆が無言で頷く。

 私はそれを見て


「気を付けて。絶対に無事に帰ってきてね」


 そう言う事しか出来なかったけど……皆、私を見て頷いてくれた。

 その一瞬の後に、皆の姿が消えた。


「皆、無事で……っ!?」


 突然、首の後ろから衝撃を受ける。


「すまない蓮華」


 意識を失う前に見たその姿は……


「ス、ルト……」


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