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650.アーネストside44

「「「「ベスト三十二進出おめでとうっ!」」」」

「へへ、さんきゅー!」

「あ、ありがとうございますっ」

「俺なんかがベスト三十二に残れるなんて……本当にアーネスト先輩のおかげですっ……! ありがとうございますっ……!」


 俺とシュウヤ、ミライにリオからお祝いの言葉を受けて、三者三様に嬉しそうに笑う。

 けどこっからが本番だ。

 全国戦に出れるのは上位三名の狭き門。


「剛史、全国戦の切符は各島の上位三名だったよな?」

「ああ、そうだぜ。ランキング戦は初日でベスト三十二まで決めて、翌日にベスト八まで、その翌日にベスト四、更に翌日にトップを決める決勝戦があるんだ」


 計四日で各島の上位三名が決まって、その翌日からエキストラ戦が始まるんだったな確か。


「組み合わせは今日の夜には発表されるんだよな?」

「そうですよー! 役員の人がくじを引く完全に運の組み合わせです!」

「上手い事三人がばらけてくれたら良いんだがな……」


 俺がそう言うと、三人は顔を見合わせた。

 どうしたんだ?


「なぁアーネスト。もし仮に俺達が序盤で戦う事になったらさ」

「ああ」

「本気で戦って良いよな?」

「当然だろ。むしろ手加減して勝てると思ってるのか? 剛史も彩香ちゃんも、清田だってかなり強くなった。本気で行かなかった奴が負けると思うぞ?」

「「「!!」」」


 三人が驚いた顔をする。なんだってんだ?


「いや、今回は事が事だからさ……全国に行ける確率が一番高いのはやっぱ彩香ちゃんだろ? だから……」


 剛史の言わんとする事が理解できた俺は、全てを言わせる前に口をはさむ事にした。


「俺は三人の誰でも全国に行ける実力はあるとみてるぞ?」

「「「!!」」」

「あと怪我は心配するな。死んでも蓮華呼んできて生き返らせてやるし、思いっきりやって構わねぇぞ?」

「……ぶはっ! アーネスト、お前って奴は……はははっ」

「もう、アーネストさん。色々と台無しですよ! 私達これでも結構真剣に悩んでたのに、どっかいっちゃいました!」

「アーネスト先輩はやっぱり考え方も凄いです!」

「ははっ。お前は変わんねぇなぁアーネスト。こいつら三人が悩んでたのは、そういう事じゃなくて……」

「良いんだよシュウヤ。そういうのも全部、さっきの一言で飛んでっちまったから。ああ、そうさ。俺は彩香ちゃんや清田と戦う事になっても本気でやらせてもらう!」

「ふふ、私だってです! 前回二位の実力、舐めて貰ったら困りますからねっ!」

「俺も全力でいかせてもらいます!」


 皆やる気に満ち溢れてるな。

 理想は三人と当たるのが決勝と準決勝になる事だけど、そう上手くはいかないだろうしな。

 全八闘技場のうち、二つの闘技場で剛史や彩香ちゃんに勝るとも劣らない実力を感じた奴が数名居た。

 一人は恐らく前回優勝者の霧島麗華。

 こいつはまだ実力を隠してるのが分かった。

 本気でやった場合、ここで特訓をした三人でも勝てないかもしれない。


 そしてもう一人気になる奴が居た。

 視聴者のコメントでも名前は出なかったから、名前は分からないが……黒いコートを羽織り、黒い剣を振るう男。

 こいつはもしかしたら、俺に近い力を持ってるかもしれないと感じた。

 要注意だな。


「皆さん、今日のアーカイブでも見ましょうよ! 私達参加者は見れてないんですよう!」

「アーカイブってなんだ?」

「もう兄さん……アーカイブっていうのは、簡単に言うと記録を保存しておく場所の事です。今日の出来事を見直す事が出来るんですよ」

「成程、流石ミライだ」

「私が凄いわけじゃないです……」


 シュウヤは機械関係苦手だからな……ミライは反対に得意だから、補い合ってるとも言えるか。


「アーネスト、ちょっと付き合ってくれねぇか?」

「俺はノーマルだぞ剛史」

「俺だってそうだよ!」

「はははっ。でも良いのか、明日からが本番だろ?」

「……実を言うとさ、今日も俺は隙が多かっただろ」

「そうだな」


 よく彩香ちゃんにフォローされていたのが見えたしな。


「ったく、お前は戦いに関しては遠慮がねぇよな。……明日に備えてやれる事は少ねぇけど……やれるだけの事はやりてぇんだ。例えベストスリーに入れなくてもよ……今度こそ、勝ちたいんだっ!」

「……そうか。よし、剛史。オーラの使い方の応用を教えてやる」

「オーラの、応用?」

「ああ。オーラは何も身体能力の強化だけじゃねぇ。反射神経や五感を鋭く出来るんだ。ちょっと後ろ向くぜ」

「お、おう?」

「それじゃ、右手か左手か、どっちでも良いから上げて見てくれ」

「分かった。上げたぜ」

「はは、右手か左手って言ったろ。両手上げるなよ」

「!?」

「俺は後ろ向いてるから、目で見たわけじゃないのは分かるよな? これを体で覚えれば、少なくとも今日のようなミスは無くなるだろうさ」

「!! 頼む、アーネスト! 教えてくれっ!」

「ああ。けど、これはさっきも言ったようにオーラの応用編だ。まだ基礎段階の剛史が一朝一夕で覚えられるような簡単なモンじゃない」

「分かってる。それでも、やれるだけの事はやりてぇんだっ!」

「おう、応援してるぜ剛史」


 俺の世界では事故で死んでしまった剛史。

 この世界の剛史も変わらず、真っすぐで良い奴だ。

 強くなって、幸せにこの世界で生きて欲しい。

 だからこそ、身を守る術を伝えたいと思う。

 俺がずっとそばに居られるわけじゃないし、俺の場所はここじゃない。

 剛史、彩香ちゃん、それに清田。


 この世界で知り合った、俺の友達。

 絶対に死なせねぇ。


「うー、私も……」

「彩香ちゃんは私達とアーカイブ見るよね?」

「ううミライちゃん、分かってこの乙女心!」

「花より団子だよね!」

「そうだけどそうじゃないのっ!」


 なんか彩香ちゃんとミライが姦しくやってるみたいだけど、いつもの事なのでスルーした。

明日5月14日より、活動報告にも書かせて頂きましたが、朝倉山椒の摘み時期になる為少しの間更新が止まります。

約二週間程になるかと思いますが、また落ち着き次第更新再開しますので、少しの間お待ちいただければ幸いです。

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