表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

631/713

631.蓮華side31

 ブリランテさんの力で飛ばされた先は、白い浜辺に綺麗な海が広がっていた。


「なんか見覚えがあるなここ。いや行った事はないんだけど」

「沖縄、だろ?」

「それだっ!」


 アーネストの言葉に同意する。

 旅行のパンフレットとかで見た景色にそっくりだったから。


「そういえばこの世界はアーネストの記憶を読み取って創った世界なんだっけ。だから日本にそっくりなんだな」

「まぁ色々と違いはあるけどな。それより蓮華、きょろきょろしてないで行くぜ?」

「おっと、了解。それで、どうやって探すんだ?」

「これを使うのさ」


 そう言ってアーネストが取り出したのは、風見鶏(かざみどり)の探知機だ。

 底に探したい対象の魔力が少しでもある物を入れれば、その対象が今どこに居るか教えてくれる優れもの。

 情報を入れるだけでも良いけど、精度が少し落ちる。


「風見鶏の探知機かー。それ便利だよな」

「蓮華ならなくても自分で出来るんだろ?」

「そうだけど、便利な物があるならそれを使うよね」

「基本ぐうたらだもんなお前、皆の前では見せ……いや最近は見せてたか」

「良いかアーネスト。戦争によって開発された物が、日常生活を豊かにしてるんだぞ?」

「今そんな壮大な話だったか?」


 自分が楽をする為に、楽に出来る物を皆作ってると思うんだよ。


「とりあえず行こうぜ蓮華。お前その見た目だから、すでに色んな人がこっち見てんだろ」

「あー、お前が居るから大丈夫だろ?」


 アーネストが居るのに、ナンパしてくる勇者は居ないと思う。


「それは俺の事を知ってる奴が多かったからであってだな、この世界では……」

「へーいそこの綺麗な女の子、暇なら俺達と遊ばないー?」


 ……居た。

 この手のってこっちの都合とか聞かないからなぁ。


「ごめんなさい。用事があるので」

「そ、そっかぁ。それなら仕方ないね、もし時間があったら、声かけてね。俺達ここら辺でたむろしてるから」


 あれ? 随分と簡単に引いた?


「うし、行くか蓮華」

「あ、ああ」


 アーネストが手を引いて進むので、引かれながら歩く。

 その後ろで、


「や、やべーよあの後ろに居た男」

「あ、ああ。殺されるかと思った……」

「あんな化け物が傍に居るんじゃ、無理だな……」

「だな……あー、久しぶりに見た極上の美少女だったのになぁ」

「「「「はぁ……」」」」


 なんてやり取りが聞こえたので、どうやらアーネストのお陰みたいだ。

 やるじゃないか。

 そう思ってアーネストの方を見たら、


「兄貴に頼まれてっからな」


 そう言って前を向いてしまったけど、照れ隠しなのは分かってるので、からかおうと思ったけど……私の為にしてくれてる事だし、やめておく事にした。


 歩きながら、リオという人について聞いてみた。


「あー、本名は蘇芳(すおう) 理央(りお)って言ってな」

「女の子?」

「ええっと……その、心はそうだな」

「うん?」


 心は?


「元の世界で言うなら、トランスジェンダーってやつだな。意味は知ってるだろ?」


 あー、体と性自認が一致してないって事か。


「つまり、心は女の子だけど、体は男って事?」

「そういう事だな。頼れる良い奴なのは間違いないぜ? まぁ、お前ならそういう偏見もないだろうけど」


 勿論ないけど、皆が皆そうじゃないのも分かるし、難しい問題だよね、元の世界ならだけど。


「そっか。なら体を女性にしちゃえば良いな」

「そうだな……。……できんの?」

「出来るよ?」

「……ははっ。ったく、お前はホント……サンキュー蓮華!」


 そう言って嬉しそうに笑うアーネストに、私もつられて笑う。

 自分の事じゃなく、他人の事でも自分の事のように喜べるアーネストは、本当に自慢の親友だ。


「ただ、本人に聞いてからにするよ勿論」

「おう、それは当然だな。でも、聞くまでもないというか……」


 そうして召喚されて来たリオさんと出会い事情を説明すると、


「是非お願いします蓮華様っ! 我、我はもう感激でっ……!」


 一も二も無く滅茶苦茶食い気味に言われたので、苦笑しながら了承するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ