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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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59.大精霊達が集う家の建築計画-後編-

「蓮華様、アリスティア様、ようこそいらっしゃいました。どうぞ、中へ」


 扉の前に立っただけなのに、すぐに扉が開いて、シャルロッテが中へ招いてくれた。

 アリス姉さんの事も当然に知っているようで、微笑んでいた。


「ミレニア様、蓮華様とアリスティア様をお連れ致しました」


「うむ、下がってよいぞ」


「はい、畏まりました」


 と言って出て行ってしまうシャルロッテを見ていたら、目の前にミレニアが来ていた。


「よく来たのう蓮華や。自分の家と思って、寛いで構わぬでな。お主は別に訪問を知らせずともよい。勝手に入ってきて構わぬ」


 なんて言ってきた。

 その言葉に驚く私とアリス姉さん。


「えぇ!?ミレニアがそこまで蓮華さんを気に入ってるの!?それでもって、なんで蓮華さんも驚いてるの!?」


 アリス姉さんの態度が面白くて笑ってしまった。

 だって私もびっくりしたわけで。


「私もそんな事言われると思ってなかったんだよ、アリス姉さん」


 そしてその言葉にくいつくミレニア。


「あ、アリス姉さん、じゃと!?」


 あれ、そこに驚くのミレニア。


「あぁ、うん。最初はアリスちゃんって呼んでたんだけど……」


「アリス、ちゃん!?」


 なんか、痙攣を起こしたみたいに震えながら、笑いを堪えてるように見えるミレニアに続ける。


「来年は学園に入学するのは伝えたと思うけど、アリス姉さんも一緒に入る事になって……」


 言いきる前に、ミレニアが吹き出した。


「クハッ!もうダメじゃ!許せ蓮華!それ以上妾を笑わせようとするでないっ!あははははっ!!」


 なんて笑いまくるミレニア。


「なんだよぅ。蓮華さんだけなんだからー!他の人になんかそう呼ばせないわよー!」


 と、アリス姉さんが頬を膨らませてるけど、そんな姿も可愛いと思ってしまう私は変だろうか。


「ふぅ、ふぅ。まったく、蓮華は毎回話題に事欠かぬな。にしても、アリス……お主が家族呼びを許すとはのぅ」


「そりゃ、許すわよ。私の為に、自分の命を掛けてくれるような人なのよ」


「それだけではあるまい?」


「う……その、蓮華さんの精神と繋がって、蓮華さんの性格を知ったからね。この人なら、良いなぁって思ったの」


「フ、そうじゃろうな。妾も蓮華の事は気に入っておる。お主達を救ってくれた事からも、な」


 なんて二人で話しているのだが、なんか褒めちぎってくれるので、会話に割り込みにくい。

 うぅ、結果としてそうなっただけで、私は深く考えての行動なんてしてないのに……。


「どうせ今も、私はそんなつもりでーとか、考えてるよきっと」


「ククッ、そうじゃろうな」


 なんで分かるんだよ!?

 というか、こっちみて笑うんじゃないよ!

 美女と美少女に見られながらクスクスされるとか、きっついんだからね!?

 穴があったら入りたいとはこの事か……!

 とかくだらない事を考えていたのだが、ミレニアがこっちに向き直った。


「のう蓮華や。お主、ユグドラシル領に大精霊達が住む家と、自分達の避暑地を作るつもりじゃと話していたな?」


「うん、そうだよ。今日もその素材の進歩を確認にきたんだ」


「お主は上の事ばかり考えておるようじゃが、どうじゃ。地下も作らんか?」


 ち、か?……その点には考えが及ばなかった!


「もちろん、地下の存在を知るのは、お主達だけにせよ。そうじゃな、マーガリン、ロキ、アリスにお主、そしてアーネストとやらのみに、な」


「それは良いんだけど、なんで?」


 どうせなら、皆に知らせた方が探検とか面白いんじゃないだろうか。


「それは……そうじゃな、もし地上で何か起こった時の、避難場所と思えばよい。役に立つ時があるやもしれぬし、立たねばそれに越したことはないじゃろう?」


 確かに。

 地下に遊び場所を、と考えたけど、そういう場所もあっても良いかもしれない。


「分かったよミレニア。兄さんに言ってみる」


「うむ、そうするがよい。食料等を保管できるようにもして、長期間保存できるものは置いておくとよいじゃろうな」


「分かった」


 なんでそんな事を言ってくるのかは分からないけど、ミレニアがどうでも良いような事を言ってくるとは思えなかったからね。

 アリス姉さんが真剣な表情をしていたけど、何か思う所があったんだろうか。

 私の視線に気付いたら、すぐに笑顔になったけど。


「さて、来てもらって悪いが、妾は所用で少しの間空ける事になる。お主らなら出入り自由じゃから、好きにせい」


 そう言って、消えるミレニア。

 うん、好きにせいと言われても、ミレニアに会うのが目的だったからね。

 そのミレニアが居なくなるなら、ここに居てもしょうがない。


「帰ろっか、アリス姉さん」


「そだね、もうそろそろ暗くなるし」


 その言葉に。

 そっか、ミレニアは吸血鬼だから、夜こそ行動時間だよねと気が付いた。

 朝でも昼でも自由に行動する人だから、全然気にしてなかった。

 そして、シャルロッテに帰る事を伝えてから、私達は家に帰った。

 認識阻害魔法を掛けていたままだった事を忘れていたので、助かったのだけど……。

 解いていないのだから、ミレニアにもシャルロッテにも、効いていなかった事になる。

 ホント、凄い人達だよね。


「ただいま母さん、兄さん」


「ただいまー」


「おかえりレンちゃん!アリス!」


「おかえり蓮華」


 いつも通りの挨拶。

 でも兄さん、なんで兄さんはいつもアリス姉さんを含めないんだろうか。

 アリス姉さんもまったく気にしていないみたいだけど、私は気になる。


「兄さん、帰ってきたのは私だけじゃなくて、アリス姉さんもだよ?」


「う……いや、その、お、おかえりアリス」


 その言葉に吹き出すアリス姉さん。

 何故。


「ぷっ!あはははは!!ろ、ロキが私に、おかえりって、あはははは!!」


「くっ……蓮華に言われなければ、していませんよ」


「そこがもっと面白いの!あはははは!!」


 本当に楽しそうに笑うアリス姉さん。

 何故。


「えっと、なんでそんなに笑うのか分からないけど、兄さんがちゃんと言ってくれたんだから、それに笑うのはダメだよアリス姉さん」


 とちゃんと叱っておく。


「うっ……ご、ごめんなさい蓮華さん」


 その言葉に今度は兄さんが吹き出す。


「ぶはっ……!あ、アリスが素直に!ククッ……!」


「むー!」


「二人とも」


「「ごめんなさい」」


 その一連の流れを見ていた母さんが今度は笑いだす。


「あははっ!ホント、レンちゃんは最高ね。二人とも手を洗ってきて。夕飯にしましょう?」


「「はーい」」


 と言って洗面所へ。

 なんだかんだで、皆仲良いと思う。

 そして夕食の時間。

 母さんと兄さんにミレニアの話を伝える。

 二人とも、成程と言った態度をとった後、承諾してくれた。

 そして、その話の後で、私が密かにしたいと思っていた事を伝える事にした。


「その、皆。私、やりたい事があって……。その、花を、植えたいんだ」


「「「花?」」」


 そう、私は元の世界に居た頃、花を植えていた。

 綺麗な色とりどりの花。

 花言葉が好きで植えた花もあった。

 いわゆるガーデニングというやつだ。

 最初は室外でたくさん育てていたけれど、学生の頃に、キモイと言われてからは、室内で人に隠れて育てていた。

 私は、花を眺める時間が好きだった。

 朝起きて、一番にするのは花の水やりだった。

 でも、この世界にきてから、全然それができなくて。

 周りに凄く綺麗な花や、大きな木々がたくさん育っているから、土は凄く良いはず。

 というか世界樹の近くなんだし、何もしなくても育ちそうではある。

 だけど、私は自分が好きな花を植えて、育てたいんだ。


「うん、花。周りにたくさんあるし、あれなんだけど……できたら、お花畑を作りたいんだ」


 でも、言って少し後悔した。

 大好きな人達だけど……こんな事を言ったら、また気持ち悪いとか言われないだろうかと不安になる。

 いや、今は男ではないから、そうは言われないか。

 でも、その行為で、可愛いと言われるのは、嫌だった。

 だけど、そんな事は杞憂だった。


「そんなの、言ってくれればすぐに手伝ってあげたのに!レンちゃん、したい事があったなら、早く言ってよー!」


「まったくです。私は蓮華のしたい事なら、なんだって手伝いますよ。ただ、流石に花の事について、私は詳しくありませんから、教えてくださいね蓮華」


「蓮華さん、素敵な事だね!私も手伝っても良いかな!?」


 なんて、私が元男だと知っているのに、そんな事を言う私を、少しも嫌な風に思わずに、言ってくれた。

 私は、本当に幸せ者だ。

 こんな素敵な人達に今、囲まれてる。

 それが本当に嬉しくて、涙が出た。


「れ、レンちゃん!?どうしたの!?」


「蓮華!?」


「れ、蓮華さん!?」


 三人が声を掛けてくれる。


「ありがとう。明日、苗を買いに行くから、付き合ってくれる?」


 と言ったら。


「「「もちろん」」」


 皆笑顔で言ってくれた。

 アーネスト、お前も居たらなぁ。

 なんて考えていた私だった。



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