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572.蓮華side5

「ダンジョン?」

「うむ。元々妾の屋敷は、この国のダンジョンの封として、建てられた物だったのじゃ。そしてダンジョンに巣くう魔物共が外に出ぬようにしておったわけじゃな」


 成程……各王国に天然物って言い方はあれだけど、最初から存在するダンジョンがある事は知ってる。

 王国・フォースではミレニアの屋敷の下にあったと。


「それが、私達への依頼に繋がるのー?」

「そうじゃ。以前はこの街のギルドに依頼しておったし、派遣されて来た冒険者達もある程度はやってくれておったが、如何せん実力不足でな。あーいや、ギルドが経験不足な者を寄こしたというわけではないぞ?」


 ミレニアの言い直しにクスっとする。

 きっと私が気にすると思ったんだろう。


「ふふ、分かってるよ。ギルドの人達は実力の高い人達を選んでくれたんだろうけど、それでもって事だよね?」

「うむ、そういう事じゃ」

「あはは! ミレニアも蓮華さんには甘いんだー」

「当然じゃろうアリスティア。妾の娘同然の子じゃぞ?」


 あれー、友だって思ってたのに、子供扱いされてた件について。


「そうむくれるでない蓮華や。娘同然であり、友でもある。ま、親しみある仲に違いはあるまいて」


 そう微笑むミレニアに毒気を抜かれてしまった。

 綺麗で優しいとかズルい。


「きっと蓮華さんはブーメランな事考えてるんだろうなぁ」

「え?」

「んーん、なんでも! それよりミレニア、続き続き」

「うむ、そうじゃな」


 なんかはぐらかされてしまったけれど、ミレニアの話に耳を傾ける。


 まとめると、一年に一度はダンジョンの低階層の魔物達の処理をギルドに頼んでいた。

 けれど、最近のダンジョンには異質な魔力が混ざるようになったらしい。

 今までの冒険者達では荷が重いかもしれないので、先行して私とアリス姉さんに調査してもらいたいという事だった。

 ミレニアがやらないの? って素朴な質問をしたら、


「ダンジョンは埃臭いから嫌なのじゃ」


 というにべもない返事を頂いた。

 なら、以前母さんと一緒に大精霊の居る場所へ行ったのは? って聞くと、


「それはお主にマーガリンもおったじゃろ」


 うん、行動の理由がハッキリしていて清々しい。

 シャルロッテやロザリアに任せても良さそうなものだけどね。


「ちなみに、このダンジョンは物理攻撃が全く通らぬでな。物理攻撃主体のシャルにロザリアは苦手でのう」


 おおう、あの二人魔法関連は苦手なのね。

 シャルはともかく、ロザリアさんは凄い魔力感じたんだけどなぁ。


「無効を無効化してもダメな場所って事?」

「うむ。そもそもが、物理攻撃が届かぬ場所と思えばよいのじゃ。そこに在ってそこに無い存在には届かぬのと同じじゃからのう」


 成程、魔法ならその壁がなくなるって事かな。


「えー。なら私役に立たないよー?」

「何を言うておる。お主は存在自体が魔法みたいなものじゃろ」

「だよねー」

「それもそっか!」


 納得が早い、流石アリス姉さんである。

 つまり、一見物理攻撃みたいなアリス姉さんの攻撃は、実は魔法攻撃なわけだややこしい。


「それで、どれくらいの層を片付ければ良いの?」

「いや調査じゃぞアリスティア。勿論片付けても良いのじゃが、仕事は残してやらねばな」


 そっか、それを仕事にしてる人達も居るんだから、稼ぎを奪うのは駄目だね。


「了解だよミレニア。それじゃ私とアリス姉さんは、異質な魔力の調査。必要なら殲滅する、で良いかな?」

「うむ、それでよいのじゃ。では行くかの」

「うん、行こう……ってぇぇ!? ミレニアも行くの!?」

「なんじゃ、妾だけ除け者にするのかえ? 妾寂しいのじゃ……」

「いやいやそうじゃなくてね!? さっきダンジョンに行くの嫌って言ってたし、依頼主は普通一緒に行かないじゃない!?」

「妾普通じゃないしー」


 ぐっ、この吸血鬼の真祖め、可愛く言ってくれる。

 まぁミレニアと一緒に行くのは楽しそうだし、私としては問題ない。


「あはは! 蓮華さんとミレニアと一緒にダンジョン探索だね! どんな魔物でもドンとこいー!」


 何もないのが一番だと思うけど、ミレニアが調査を頼むくらいだから、絶対何かありそうだもんね。


「よし! それじゃ行こうアリス姉さん、ミレニア!」

「おー!」

「おー! なのじゃ!」


 仲良くグーで手を上げる二人に笑みが零れる。

 まぁ、この二人と一緒で苦戦する敵なんてそうそう居ないだろうけど、一応気を付けて行かないとね。

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