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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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55.アリスティア=フォン=ユグドラシル

 それから数日。

 アリスちゃんと手合せをしていたのだが、この子本当に強い!

 はっきり言って、私はアリスちゃんに手も足も出ていない。


 ギィン!


 ソウルを弾き飛ばされる。


「蓮華さん、握りが甘いよー。そんなんじゃ、すぐにその魔剣を弾かれて、おしまいだよ?」


 うぅ、面目ない。

 というか、アリスちゃん見た目可愛いのに、強すぎだよ!


「私の見た目を言い訳にしてたらダメだからね蓮華さん。今の蓮華さんだって、私よりすんごく可愛いんだからね?」


 なんて言われては、どうしようもなかった。

 それから数日間、ずっと手合せという名の模擬戦を毎日暗くなるまで行って、夜は勉強という形をとっていた。

 その日の夕食。


「そういえば、蓮華さんは学園に行くんだったよねマーガリン」


「そうだよー」


「なら、私も行こうかなぁ。私もこの世界で登録ないし、マーガリンの娘って事で登録して良い?」


「そ、それはもちろんなんだけど、良いのアリス?」


「うん、良いよ。蓮華さんを一人学園に放り込むなんて、不安でしょ?」


 その言葉に、ガタンと椅子を倒して、立ち上がって言う母さん。


「分かってくれるアリス!?そうなのよ!こんな純粋無垢なレンちゃんを、狼の蔓延る学園に入れるなんて!」


 狼の蔓延る学園て、どんなんだ。

 それに、アーネストだって居るのに。

 まぁ、学年が違うと言えばそうなんだけど。


「おおアリス、今だけは君が女神のようだ」


 なんて兄さんも言っている。

 誰かつっこんでくれないものか。


「う、うん。まぁ流石に狼も、中に入ってきたのが神話級のドラゴンじゃ、噛みつきもしないとは思うんだけどね……」


 そのドラゴンって、もしかしなくても私の事ですか。

 アリスちゃんに手も足も出ていないドラゴンなんて可愛すぎませんか。


「あ、そだ蓮華さん。私の本名を名乗っていなかったね。私はアリスティア。これからはアリスティア=フォン=ユグドラシルかな?年齢は学園に合わせるから、学園に入る日から16歳だよ!」


 なんて笑顔で言ってきた。

 そっか、アリスは仲の良い人の愛称だったんだな。


「そっか、なら学園は二人でだね。学園ではアリスちゃんより、アリス姉さんとかの方が良い?」


 と思ったので言ったら。


「はぅっ!?な、なんなのこの胸のトキメキは!?」


 なんて胸を押さえて苦しみ?だしたアリスちゃん。

 えっと、どうしたんだろうか。


「分かりますかアリス?私が、兄さんと呼ばれた時の気持ちが」


 なんて兄さんが言っている。


「わ、分かるわ。これは、しゅごい。れ、蓮華さん、も、もう一回言って……」


 よく分からないけれど。


「アリス姉さん?」


 ズキューン!


「はぅぁっ……!」


 アリスちゃんが更に悶える。

 だ、大丈夫なんだろうか。

 心配なので傍によって背中を撫でながら声を掛ける。


「だ、大丈夫アリス姉さん?ほら、しっかり。なんなら何か飲み物を持ってくるよ、アリス姉さん」


「おぅっ……おふぅ……」


 あれ、更に痙攣しだした。


「れ、レンちゃん、もう勘弁してあげて。アリスのHPはもう0だから!」


「蓮華、耐性がまだできていない身にその仕打ちはあまりにも……」


 なんて母さんと兄さんに、悲しい表情で言われるんだけど、意味が分からない。

 すると、アリスちゃんが立ち上がる。


「蓮華さん、私、頑張って耐える!だから、これからはアリス姉さんでお願い!」


 と言われたので。


「う、うん。分かったよアリス姉さん」


「ぐふぅ……」


 ドサッ!


 アリス姉さんが倒れた。


「アリス!!」


 母さんが近寄る。


「その健闘は、称えましょうアリス」


 うんうんと、頷いている兄さん。

 えっと、どうしてこうなった。

 少し時間が経ったら、アリス姉さんが立ち上がったので、そっちを見る。


「蓮華さん、恐ろしい子」


 なんて言ってきた。

 まぁ、母さんや兄さん、アリス姉さんに比べたら子供かもしれないけどさ。


「うん、あの顔はきっと見当違いな考えしてるよね」


「そうだね」


「そうですね」


 なんなんだ、この三人の一体感は。

 起き上がるのを待っている間に、夕食を食べきったので、さっさと2階に上がる事にした。


「あ!蓮華さん!待ってよー!」


「レンちゃん、いつの間に!?」


「蓮華、おかわりもありますよ!?」


 なんて三者三様に言ってくるんだけど、まだ勉強もしないといけないし。

 というわけで、もうごちそうさまだよ、と言って2階に上がる。

 今日も模擬戦で疲れたから眠たいけど、学園に入って笑われたくないから、頑張らなくては。

 ただでさえ、私はこの世界の知識に疎いからね。

 アーネスト、大丈夫なんだろうか。

 そして翌日。


「さぁ蓮華さん!今日こそ私の攻撃を防いでもらうよ!」


 なんて言ってくるアリス姉さんに。


「むしろ、防げる威力に下げる訓練だったと思うんだけど……」


 と言う私。


「大丈夫!大体手加減は覚えたから!」


 そのセリフに疑いの目を向ける。


「ほ、ホントだってば!それじゃ、最初は本当に手加減して攻撃するから、私をやっつけないでね!?」


 本当かなぁ。

 まぁでも、そう言うなら。


「うん、了解。いつでも良いよ」 


 そして、その言葉が終わるや否や、凄まじい速度で私の前に近づいてくるアリス姉さん。

 剣を上から振り下ろすのが見えたので、ソウルで切り払う。


 ギィン!!


「お……!」


 痛くない。

 昨日までは手がジンジンしたのに、今回のは全く衝撃を感じなかった。

 アリス姉さんを見ると、ドヤァってしてたので言う。


「まだ初手だけでしょ?次は連続でね」


 と言ったら、言うよりも速く斬りこんでくる。


 ギィン!ギギィン!ギギギギン!!


 剣撃を全て防ぐ。

 うん、力をちゃんと制御してるって分かる。

 凄いな、昨日まであんなに力一杯だったのに。

 お互いに剣を下げる。

 アリス姉さんはドヤ顔しているんだけど、そんな態度も可愛く見えるのは、身内故だろうか。


「うん、これなら大丈夫そうだね。昨日からどんな変化があったの?」


「蓮華さんを妹だと思う事にしたら、なんか自然と出来るようになったよ!」


 うん、うん?

 それは、私限定って事では?

 ……ちょっと試してみるか。


「アリス姉さん、ちょっとこっちきて」


「うぐぅっ……な、何かな蓮華さん」


 なんか胸を押さえながら来るアリス姉さん。

 昨日から何と戦ってるんだろうか。

 気にしてもしょうがないので、続ける。


「この大木を、かるーく剣で斬ってみて。かるーくだよ。絶対に斬り倒さないように、かるーくね」


 アリス姉さんは得意面で答える。


「まっかせて!今の私なら、余裕なんだから!」


 そう言って、剣を振り上げ、振り下ろす。


 ズバァッ!ドゴォーン!!


 大木が木端微塵になった。


「……」


 無言になる私。


「あ、あれぇ?」


「……」


「ち、違うのよ蓮華さん。ちょっと手が滑って……」


「手が滑って大木は粉々にならないからね!?」


 アリス姉さんの手加減は、私限定である事が判明した瞬間だった。

 ど、どうしよう。

 これだと、私と模擬戦繰り返しても、私の腕は上がるかもしれないけど、アリス姉さんの手加減の訓練にはならない。

 考え込んでいた私に、アリス姉さんが言う。


「気にしない気にしない蓮華さん」


 いやね、アリス姉さんの事で悩んでるんだからね!?

 これから学園に入学するんでしょ!?

 その力を制御できないと、学園破壊しちゃうでしょ!?


「蓮華さん、私日常生活はおくれてるでしょ?」


 そう言われれば、確かに。

 物を壊してる所は見た事が無い。


「だから、要は私に力を使わせるような事にならなければ、大丈夫だよ」


 なんて笑顔で言うので、それもそうかと頷く。

 なので、いつも通り模擬戦をして、夜には勉強をして、今日も終わった。

 そんな毎日を繰り返していたある日の夜。

 待ちに待っていた存在と出会う。



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