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51話.組み合わせるのが良いとは限らないって話

 ネメシスさんの案内で、フィフス城内を見て周る。

 衛兵の人達はネメシスさんが私達に話しかけているのを見てぎょっとした顔をする。

 その後ネメシスさんに睨まれて青い顔をしていたのが印象的だった。


「ネメシスさんって、もしかして普段はあんまり話さないとか?」

「そう、ですね。特段無口というわけではないと思っているのですが……訓練や戦いの時は、口数は最小限にしております」


 成程。衛兵の人達とは訓練時に会う事が多いんだろうし、そのネメシスさんしか見ていなければ驚きもする、のかな?


「にしても、この城魔術方陣が組まれまくってんな。一つ暴発したらこの城ぶっ壊れそうな気がすんだけど」

「考えすぎだろアーネスト。そんな事言ったら取り扱い注意な物なんていくらでもあるだろ?」

「そりゃそうだけどよ」


 前の世界でなら、ガスに石油や灯油だって、火を近づけたら危険なわけで。

 魔法陣だって取り扱いを間違えなければ危険な事はない。


「城内は確かに幾重にも魔法陣が組まれていますが、街はそこまでではありませんよ。それに、この国では子供から魔術に対して知識を蓄えておりますから。危険は少ないのです」

「成程なぁ」


 ネメシスさんの説明に、アーネストは頷く。

 おかしいな。私も似たような説明をしたはずなのに、アーネストの納得度が違う気がする。


「この通路一つとっても、一体どんだけ魔法陣を構築してんだ?それに、所々意味不明な構文があんだよな……」

「あ、それ私も気になってた。例えばこれとか要らないよな」

「そうそう。三つの方陣組み合わせてるから、意味が重複してんだな。これ作った奴徹夜でもしたんじゃねぇの」

「ぶふっ……」

「「?」」

「いや、失礼しました。お二方はやはり、お詳しいのですね。ここにシンジが居たら、目を輝かせてお話に加わっていたと思います。私は恥ずかしながら、魔術は嗜み程度ですので……基本的な事しか分からないのですが」


 とネメシスさんは言うけれど、インペリアルナイトになる程の人が嗜み程度なわけはないからね。謙虚なんだなぁ。


「あっと、これは消した方が良いね。これじゃ軽減してるのを打ち消しちゃってる。ほいっと」

「な!?」


 指でなぞって構文を消し、新たな構文を書き加える。

 ブブブンという音と共に、城内を覆っていた結界が強化された。


「これでよしっと。あ、勝手に結界強化したけど良かったかな?さっきの構文だと、せっかく軽減の意味を埋め込んでるのに、それを打ち消す意味の文まで埋め込んでたから。今足した構文は、軽減を増幅させるようにしたんだ。後で確認してもらって良いからね」


 そう言うと、ネメシスさんは目配せをして合図をする。

 ずっと後ろからついてきていたうちの一人が、離れて行く。


「蓮華様、アーネスト様」

「うん?」

「なんだ?」


 ふいに、ネメシスさんが真剣な表情でこちらを見てきた。


「もしよろしければ、この城の脆い場所を教えて頂けませんでしょうか」

「「……」」


 私とアーネストは顔を見合わせる。

 そして頷き合い、答えた。


「「全部」」

「ブフッ!?」


 端正な顔立ちで美人のネメシスさんが吹き出した。


「ゲホッ、ゴホッ!ぜ、全部、ですか!?」

「うん。一回全部魔法陣を消して余計な構文全て消して、新たに術式を組み込んだ方が良いと思う」

「だな。複合術式は難しいんだぜ?それなのに、こんな半端な構文を組み込みまくってるから、効果が半減どころかマイナスになってるとこもあるぜ?」

「……。……蓮華様、アーネスト様、お願いがございます」


 うん、なんとなくもう予想はできるけど。


「その、この城に組み込まれている術式を、更新して頂けませんか?術式の種類は魔道騎士団で管理しているはずですから、団長に言えば分かるはずです」

「シンジさんじゃなくて?」

「はい。シンジはあくまでも魔道騎士団筆頭であって、団長ではありません。筆頭は実力が一番高いという意味ではあるのですが、団長は他に居るのです。何分めんどくさがり屋なので、シンジにほとんど任せて自分は研究ばかりしているのが玉に瑕なのですが……」


 そう言って頭を痛そうに話すネメシスさん。

 それでよく団長になれたねって話だけど、実力があるんだろうね。


「まぁ、本来必要な効果の種類を見てからかな。あまりにも多いと、全部解除した後に貼りなおすのが時間かかるし」

「だなぁ」

「それでも有難いです。では、魔道騎士団へご案内致しますね」


 ラハーナちゃんの様子も見に行くつもりだったし、丁度良いかな。

 最悪の場合ラハーナちゃんに丸投げしよう。

いつも読んでくれてありがとうございます。

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