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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第五章 スローライフ編

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24話.勧誘(グリン的にほぼ強制)

「ここなら落ち着いて話せそうだね」

「そ、そうです、ね……」


 冒険者ギルドにも、酒場が内装されている為料理や飲み物を頼んだりできる。

 だけど、今日はいつにも増して賑やかだったから仕方ないね。

 大きな男の人がグリンさんに殴られて吹っ飛んでいったけど、これぞテンプレって感じで楽しい。

 冒険者ギルドはこうでないと。

 注文したカルピスソーダが届いたので、口に含む。シュワシュワとした炭酸の感触と、のど越しの良い味が口に広がる。

 王国フォースはどこも基本的に暑いので、冷えた飲み物は常備されているようで、すぐに持ってきてくれる。


 再会した時から、妙に大人しいグリンさんを見る。

 伏目がちで、こちらを見てはすぐに下を向いてしまう彼女。

 ノルンと同じ緑色の長髪に、緑色の瞳。

 服は身動きしやすいように軽装にしているんだろう。


「そういえば、グリンさんってどっちが主なの?」

「え?えっと、ほ、本体は、あっち、です。この姿も、本体では、あるん、ですけど……その、変身、というわけではないので……他の姿には、なれま、せん……」


 そうおどおどと話すグリンさん。どうしてそんなに怯えてるんだろう?


「わ、私の事は、その、グリンと……お呼びくだされば……あ、あと……宜しければ、なんですが……あ、貴女様の、お名前を……教えて頂けたら、と……」

「あっと、ごめんね。私は蓮華。蓮華=フォン=ユグドラシル。宜しくねグリン」


 そう笑って言うと、グリンはガタガタと震えだした。


「れ、れんっ……!?え、エンシェントドラゴンであるシオン様が、最上の敬意を払うようにと、全竜種へと通達を出された、あの……!?」


 へ?シオンさんって、学園長の事かな?そういえば、シオンさんエンシェントドラゴンって言っていたね。最古の竜、なんだっけ?

 吸血鬼の真祖であるミレニアと同じように、種族の頂点だったりするんだろうか。


「ご、ご無礼を、お許しください……!」

「いやちょっ……座って、座ってグリン!」


 いきなり椅子から降りて土下座をするグリンに、椅子へ座るように促す。

 椅子に座っても恐縮しているのか、酷くびくついている。


「えっとねグリン。私はグリンに手助けこそされたけど、無礼なんて働かれたと思ってないから。だから気にしないで、ね?」

「は、はい……」


 それでも下を向いて申し訳なさそうにするグリン。

 ただ、グリンから漏れている魔力が、周りの人達を怯えさせてしまっているのに気付く。


「ねぇグリン、その漏れてる魔力、抑える事は出来る?」

「……え?何故ですか……?」


 心底分からないようで、きょとんとした表情で聞いてきた。さっきまでの姿と言い、なんか可愛いんだよねグリン。


「えっとね、ここは魔物達が居る場所とは違うんだ。中には戦う力の無い人達だって居る。竜種の力が人に比べて高い事は知ってるよね?」

「は、はい」

「そんな力を持った竜が、いきなり戦う力を持たない人の前に現れたら……やっぱり怖いよね?」

「!!(成程、私の前にいきなり蓮華様が現れたのと同じという事ですね。それなら凄く理解できます!)」


 物凄い勢いで頭を上下に振るグリンに笑ってしまいそうになる。

 今の会話に何か感じるものでもあったのだろうか?


「分かり、ました。その、あまり得意ではないのですが……こんな感じで、どうでしょうか……?」


 すると、グリンから漏れ出ていた魔力が、すっと引いていくのが分かる。

 周りの人達も、心なしかホッとしているようだった。


「うん、良い感じだよ。人間や亜人達が多く暮らす場所に行く時は、出来るだけそうするように心がけてあげてね」

「分かり、ました。でも、それだと……力を測るのに愚鈍な生物に、舐められませんか……?魔物も、表向きの魔力を判断基準に、しています、が……」

「あはは。舐める奴はどうせ大した事ない奴だし、気にしなくて良いよ。分かる人は分かる、分からない人は分からない。そして分からない人に舐められた所で、痛くもかゆくもないでしょ?」

「成程……確かに、一理、あります……」


 そう言って頷くグリンに笑いかける。そうしたら今度は、頬が赤く染まった。

 さっきまでのおどおどとしていたグリンも可愛かったけれど、こちらの話を素直に聞いてくれるグリンも可愛かったので、ちょっとにやけて話をしすぎたかもしれない。気持ち悪く思われてなければ良いんだけど。

 表情を引き締めないとね。


 コップの中身を一気に飲み、グリンへ再度視線を向ける。


「それでねグリン、今暇?」

「え……」

「もしグリンに時間があったら、お願いしたい事があるんだ」

「そ、その……特に、用事は、ありません、けど……(蓮華様の頼みを断ったなんて祖父に……シオンおじさんに知られたら、殺されるぅ……!)」

「そう!?えっとね、実は腕の立つ人を探しててさ!グリンなら冒険者ギルドでも度々話題に上がってたのを知ってるし、そんな意味でも信頼が出来る人だし!これ以上ない適任だと思ったんだよ!」

「は、はぁ……その、私は何をすれば……?」


 きょとんとした表情で居るグリンがとても可愛いけれど、私はテンション高く言い放つ。


「用心棒になってみない!?」

「用心棒……わ、分かりました、私でよろしければ……」

「勿論だよっ!」

「わっ……!?」


 グリンの手を両手で握り、お願いする。


「これからそこに連れて行くね!紹介したい人達がいるから!」

「わ、分かりました……(はぁ……これから私、どうなるんだろう……やっぱり人里になんて降りなければ良かった……でも、蓮華様のこの笑顔を見たら、なんとなく……やってみようかなって……あれ?さっきまで、怖かったはずなのに、どうしてだろう……?)」


 グリンが百面相していて面白い。

 私は人材確保!と意気揚々とカレン達の元へ行こうとして……さっき別れたばかりなのを思い出し、急遽明日再度ここでグリンと会う事を約束するのだった。

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