8話.人気ヴァーチャルユーチューバーとの共演
現時刻:午前8時59分
【コメント】
:待機
:待機
:こんな日でも同接多くて草
:こんな日?
:ユグドラシルオンラインの発売日じゃん?
:ああw予約してるから発売開始時間の10時には届く俺に隙は無い
:裏山
:※今日は8日だから多くの人休みだし
※この世界では1日が日曜日で、8日、15日、22日、29日、36日、43日が祝日となっています。一カ月は49日あり、全ての歴(月)が49日です。
「みんなー、おっはよー!」
オープニング動画が終わり、ワンピース姿のお嬢様風の少女が現れる。
大きなピンクのリボンを頭の後ろに下げ、彼女が首を傾げるとそのリボンがふんわりと揺れる。
「S級バーチャルユーチューバーの、美月トウカですっ!」
【コメント】
:おはよー
:おはよー
:かわいい
:待ってた
:トウカちゃん!
:おはよー
「さて今日の生放送は、予告通りゲストを呼んでのトークになります!」
【コメント】
:うおおおおお!
:キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
:ゲストって誰?
:公表はされてなかったはず
:楽しみ!
「ええとですね、まさかこの方が来てくれるとは思わなくてですね、滅茶苦茶緊張しています。それでは早速お呼びしましょう!蓮華さーん!」
「はーい。おはようございます」
画面の横から、手を振りながら歩いてくる少女。
「蓮華です」
【コメント】
:ええええええっ!?
:蓮華様っ!?
:嘘っ!?
:蓮華様とコラボ!?
「蓮華様、今日は本当に来てくれてありがとうございますっ!」
「いえいえ、私もお会いできて嬉しいです」
「そんなっ!とと、どうぞこちらに座ってくださいっ!」
「うん、ありがとうトウカちゃん」
「ホワッ……」
蓮華とトウカは、白い空間を挟んで椅子に座る。
【コメント】
:トウカちゃんめっちゃきょどってるww
:いや気持ちは分かる
:これは心臓に悪いコラボ、良い意味で
:まさか蓮華様とは……
「もうホント、感激で……。ありがとうございます、ありがとうございますぅ……。私、蓮華様の大ファンで……!ずっとお話したかったけど、私なんかが恐れ多いと言うか頭が高いと言うかなんというか、でもずっと憧れててもう本当に」
【コメント】
:めっちゃ早口で草ww
:トウカちゃんさぁw
:これは笑う
:トウカちゃんww
:蓮華様も流石に苦笑してるw
「ありがとうトウカちゃん。私も実はトウカちゃんの大ファンなんだよね」
「ホワッッ!?」
「アニメオープニング歌ってみたは美声だし、ゲームオープニング踊ってみたも凄い上手だよね。そうそう、最近だとリズムゲームの太古の達人でパーフェクトスコア出してたよね?私あれ得意だったんだけど、トウカちゃんには勝てないよ」
「ほわっ……ほわぁぁぁっ!?」
【コメント】
:蓮華様めっちゃ見てるww
:トウカちゃん語彙力失ってるw
:気持ちはめっちゃ分かる
:推しが自分を推しだった瞬間
:これは凄い嬉しいだろうなw
「ちょ、ちょっと待ってくださいね?私過呼吸で死んでしまいます、手加減してください蓮華様……!」
「えぇぇぇ……」
【コメント】
:いや草
:これは仕方ないww
:トウカちゃん可愛い
:トウカちゃん基本ポンコツだから
「はぁ、ふぅ。よし、大丈夫です!」
「そう?なら一つ前の動画であった、ペットの紹介もすんごく可愛くて良かっ……」
「そっちの大丈夫じゃないですぅ!?」
「あれ?」
【コメント】
:蓮華様www
:これは間違いなく素w
:トウカちゃん今までで一番てんぱってるなww
:仕方ないww
「き、今日はですね!話題のユグドラシルオンラインについて、蓮華様とお話する動画となります!」
「うんうん。もう皆気付いてると思うけど、私のこの姿ヴァーチャルなんだよね」
「蓮華様、これ生身も一緒なんですよね……?」
「そうだよ。私も変えたかったんだけど、まぁそれについては私のチャンネルに動画あるので、それ見てくれたら」
「勿論見ましたっ!もう何回再生したか忘れましたっ!」
「そ、そう。あんな面白味も何も無い自己紹介動画でごめんね……?」
「そんな事ありません!蓮華様がそこに居る、それだけで推しには至高なんですっ!」
【コメント】
:トウカちゃんさぁw
:でも分かるんだよなぁ
:同意
:同意
「っと、話を戻します!それでですね、なんとユグドラシルオンラインでは、私このままの姿で参加できちゃうそうなんですっ!」
【コメント】
:!?
:マジで!?
:そうか、蓮華様がこっちに出てるって事は、その逆も!?
:すげぇ!
「というわけでですね、私もひっそりと予約してたんです。で、動画配信前に届いたんですよね。予約してる方なら、もうポストに入ってると思いますよ?」
「うん。お店での販売は10時からだけどね。ただ、ゲームがプレイできるのはお昼12時からだから、そこだけ注意だよ」
「ほえー、そうなんですね!」
「サークレットとYUGカードが届いたら、それを身につけて起動すると、キャラクタークリエイトの専用エリアに飛ばされるんだ。そこで、ゲームが始まるまでに自分の分身となるアバターを作成できるよ」
「成程!私の姿をそのまま使うにはどうしたら良いんですか?」
「YUGカードはUSBにもなってるから、パソコンに刺したら自動でデータを取り込んでくれるらしいよ」
「ハイテクですね!」
「あはは、そうだね。すでに使いたいアバターがある人は、開始までする事ないね」
「成程ー。だから蓮華様もこの動画配信のゲストを受けてくださったんですね!」
「あー、それは半分かな。えっと、私もその、トウカちゃんと会いたくて。ごめんね私欲で」
「ホワッ!?そ、そそそそんな事ありませんです!滅茶苦茶嬉しいです感激ですこちらこそ私なんかがごめんなさいっ!」
【コメント】
:待ってツッコミが追いつかないw
:トウカちゃんww
:レン×トカてぇてぇ
:てぇてぇ
:12時から助かる
「あはは。それじゃ、ちょっとゲーム内の話をしよっか。実際のフィールドエリアにはまだ入れないし、キャラクタークリエイトの専用エリアは同時に入れないから……トウカちゃんのステータス開いて貰っても良い?私も開くからね」
「ハッ、ハイッ!少々お待ちくださいっ!」
「それじゃ、トウカちゃんが準備してる間に、私のステータスを公開するね」
空に大きなウインドウ画面が表示される。
蓮華(女)Lv1
職業 戦士Lv1
HP 12000/12000
MP 10/10
STR 4
DEX 1
VIT 2
INT 1
AGI 1
MND 1
LUK 1
スキル スラッシュLv1
魔法 無
パッシブスキル 無
装備 無
「これが今の私のステータスだね。職業はキャラクタークリエイトの時に選ぶ事になるよ。パソコンから見た目を取り込んだ時も同様だね。初期ステータスは皆オール1なんだけど、そこに職業ボーナスが加算されるからね。戦士の場合、STRとVITに補正がある感じだね」
【コメント】
:おお
:成程
:これが蓮華様のステータス……
:俺達は今、蓮華様の中を覗いている……
:こいつらww
:というかヒットポイント高くない?
:確かに
「良い所に気付いたね。このゲームは現実に限りなく近くしてるから、例えば小指をぶつけたくらいじゃ死ぬダメージは負わないんだ。いや小指ぶつけたら痛いけどね」
【コメント】
:ww
:それはww
:想像しただけで痛いw
「でも、逆に刃物で斬られると凄いダメージを負うよ。これは現実でも一緒だね。だから、HPの高さに油断したらダメだよ。人間の急所は特にダメージ判定が高くなってるからね」
「蓮華様!できましたっ!」
「お、トウカちゃん早かったね」
「ハイッ!えっと、これで皆見えるかな?」
美月トウカ(女)Lv1
職業 踊り子Lv1
HP 11000/11000
MP 110/110
STR 1
DEX 1
VIT 1
INT 2
AGI 2
MND 2
LUK 2
スキル 踊るLv1
魔法 無
パッシブスキル 無
装備 無
「トウカちゃんは初期職業踊り子を選んだんだね」
「ア、ハイ。えっと、公式ホームページで、踊り子から上位職業にアイドルとトップダンサーに分かれるって書いてあったので……ヴァーチャルユーチューバーとして、やはりこちらを選ぶべきかとっ!」
「ちゃんと調べたんだね、偉い偉い。踊り子はトリッキーな戦い方が出来る職業で楽しいよ。上位職のアイドルはバフ支援役になるし、トップダンサーは手数の多いアタッカーになるんだよね」
「そうなんですね!もう開始が今から待ちきれないです!」
【コメント】
:うわー早くやりたい
:これVITが1上がるとHPが1000上がる感じ?
:同じ理論でINTが1上がるとMPが100上がるのかもな
:装備も効果乗るだろうけどどうだろうね
:攻撃力も物理と魔法あるし、色々関係してきそう
「もう皆知ってると思うけど、ゲーム内のお金はユグドラシル社の製品に限り買う事が出来るからね。あとその反対も可能だよ」
「え?反対ってどういう事です?」
「現実のお金を使って、ユルと交換もできるって事だね」
「ああ、成程!って、ええっ!?」
「このゲームはモンスターを倒しても装備やアイテムが手に入る事はあっても、ユルは手に入らないからね。ユルが手に入る手段としては、ゲーム内の依頼、クエストかな?それを達成したり、ダンジョンの宝箱から入手したり。後はユーザー間での取引だね。オークションやお店もったり、現実でしたくても出来なかった事をやるのも楽しいんじゃないかな」
「おおー!流石もう一つの現実のうたい文句に偽りなし!ですね!」
「うん、それは本当に間違いないよ。それじゃ、時間も押してきたし……今日はこれくらいで失礼しようかな?」
「はわわわ、もうそんな時間がっ!?蓮華様、今日は本当に来てくれてありがとうございましたっ!」
「こちらこそ。あ、今まで見るだけだったんだけど、チャンネルも持った事だし、登録するね」
「そ、そんな恐れ多いっ!?あ、ありがとうございます、ありがとうございますぅ!私はもう一瞬で登録させて頂きましたっ!」
「あはは、ありがとう。私の動画は、騎士団向けの訓練動画が多くなるだろうし、あまり面白くないと思うから、登録推奨はしないよ?」
「いえっ!推しがっ!そこに居るだけでっ!」
「そ、そう?ありがとうトウカちゃん。ユグドラシルオンラインでもし出会ったら一緒に狩りしようね」
「ぜ、是非ぃっ!」
「それじゃ皆、今日はありがとう」
「ありがとうございましたっ!本日はゲストの蓮華様と、S級ヴァーチャルユーチューバー、美月トウカでしたっ!チャンネル登録よろしくお願いしますっ!ばいばいー!」
【コメント】
:8888
:短い動画なのに濃くて良かった
:蓮華様のツイートから来たけど、美月トウカちゃんも面白くて良いね、登録しとこ
:ユグドラシルオンラインでヴァーチャルユーチューバー増えそうだな
:確かに、敷居は格段に下がる
:それはそれで楽しみ
:早く12時きてくれ