表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/714

45.事件の解決

「私、外を見周りしてこようか?」


 ミレニアの屋敷でじっとしておくのもなんなので、言ってみたんだけど。


「なに、その必要はない。今妾の魔力がこの街全体を包んでおるでな。異変があればすぐに分かる」


 あれ、もしかして私要らなかったかな、これ。

 と思っていたら。


「ふふ。妾がそれを感じとり、すぐその場へ向かったとしても、すでに吸血鬼化は始まっておろう。蓮華、お主の存在は助かるのだ」


 この人、すぐに察して言ってくれるよ。


「ええ、むしろ必要ないのは私ですからね蓮華」


 なんて兄さんが言ってくる。

 これにはミレニアは何も言わなかったので。


「私が必要としてるんですけど、ダメですか兄さん」


 と言っておいた。

 私の言葉は何故か兄さんには効くので。


「う、いや、蓮華が望むのなら構いませんよ」


 その兄さんの態度に吹き出すミレニア。


「くはっ!お主本当にロキか!?」


「五月蠅いですよ」


 そう言って横を向く兄さんが面白かった。


「うむうむ、妾もお主の事が気に入ったぞ蓮華。この件が終わっても、もし何かあれば妾に伝えよ。ロキがおるから不要かもしれぬが、妾も力になってやるでな」


 なんて言ってくれる。

 いや、それはかなり嬉しい。


「ありがとう、ミレニア」


 だから、笑顔で心からの礼を言えた。


「う、うむ。お主、心から言っておるな。ロキ、これにやられたな?」


「そういう事です。蓮華には裏が無い。だから、これほどまでに心地良い」


 なんか二人が言ってるけど、どういう事だろう?

 と考えていたら。


「む、掛かったな。今度こそ逃がしはせぬ、行くぞ蓮華、ロキ」


 その言葉にすぐにミレニアにつかまる私。

 そして景色が変わる。

 ここは、路地裏?

 見れば、まだ私くらいの女性が倒れている。


「なっ……ど、どうしてミレニア様がっ……!?」


 慌てている奴がいるけど、あいつが犯人だろうか。

 でも、今は関係ない、倒れている女性の元に向かう。


「くっ、逃げ!?」


「逃がすわけがないでしょう。私達に見つかった時点で、貴方は詰みですよ」


 兄さんがそいつを魔法で拘束している。

 あれでは、逃げるどころか、動けないだろう。


 コッ


「ヒッ!?」


 ミレニアが一歩近づく。

 それだけで、そいつの震えが増す。


「下郎が、手間を掛けさせおって。妾に葬られる事を喜べ」


 瞬間、とんでもない魔力がこの場を包む。

 もはや、そいつは見ていられない程取り乱している。


「お、お許しくださいミレニア様!わ、わわ我も好きでこんな事をしていたわけではないのです!」


「ほぅ、誰ぞ命令されておったのか?」


 ミレニアが冷たい目で見ている。

 私は、何を言ってもそいつの運命は変わらないだろうなと思った。


「そ、それはっ……」


「フン、ただ衝動を抑えられなかっただけだろうが、下郎が。吸った相手をちゃんと自立させてやっておれば、まだしも……もはや語る言葉は無い。消えよ」



「お、お許……」


 ドォォォォン!!


 凄まじい魔力の渦がそいつにぶつかったと思ったら、塵も残さず消滅した。

 文字通り、何も残っていない。

 体が少し震えた。

 なんて、凄まじい魔力なんだろうか。

 さっきは、あれをぶつけられそうになったのか。

 兄さんが居なければ、私はここに立っていられなかったんだな……。


「蓮華、その者の治療は終わったか?」


 とミレニアが聞いてくるので。


「うん、『メディカルホーリー』は掛けておいたよ。後は、目が覚めれば大丈夫だと思うけど、なんでこんな時間にこんな所に……」


 確か、夜は外に出ないようにしているって聞いていたのに。


「蓮華、人間の中にも、いえ人間の中にこそ、規則やルールに従わない者は多い、そういう事ですよ」


 と兄さんが言う。

 そういう、ものなのかな。

 自分の命が掛かっているのに……。


「さて、これで事件は解決じゃろう。今夜はもう遅い、妾の屋敷で休むが良かろう」


 まぁ、家にも兄さんがいるからすぐに帰れるんだけど。

 せっかくミレニアがこう言ってくれているんだから、そうする事にした。

 兄さんもそう思ってくれたのか、特に何も言わなかった。

 そして、ミレニアの屋敷に戻る。

 そうしたら、何か知らない人が居た。


「ミレニア様、お帰りなさいませ」


「おお、シャルか、もう終わったぞ」


「はい、流石はミレニア様でございます。まったく、ミレニア様のお手を煩わせるなど、吸血鬼の風上にもおけませんね」


 なんて言っているメイド服を着たこの人、もしかしてこの人も?


「蓮華、紹介しよう。妾の配下の一人、シャルロッテ=リーズ=カルデロースじゃ。メイド服を着ておるのは、妾の世話がしたいかららしい」


「以後、お見知りおきを、蓮華様」


 なんてスカートをつまんでお辞儀してくる。


「こ、こちらこそ。えっと、レンゲ=フォン=ユグドラシルと言います」


 その言葉に、ミレニアも驚いた気がする。

 あ、そういえば、ミレニアにも名乗ってなかったな。


「あ、あの偏屈が、ユグドラシルの姓を名乗らせるのを許可したのかロキ!?」


 え、偏屈?


「ククッ。ええ、そうですよミレニア。驚いたでしょう?」


「驚くに決まっておるわ!お主、何をしたのじゃ!?」


 とミレニアが詰め寄ってくる。


「え、ええと、偏屈って母さんの事?」


 その言葉に。


「ぶはっ!?か、母さん!?あ奴が母さんなのか!?くはっ……もはや腹が痛い!今日はなんと楽しい日か!」


 なんて笑っている。


「ミレニア様がお笑いになるなんて、数千年ぶりでございますね……私も嬉しく思います」


 なんてこのメイドさんも笑顔なんだけど、訳が分からない。

 と思っていたら、急に真面目な顔をして、ミレニアが言う。


「蓮華、妾はお主の事をまだほとんど知らぬ。じゃが、これだけは言っておこう。マーガリンを母と呼ぶお主は、妾にとっても大事な子のようなもの。何かあれば妾を頼れ。必ず、力に成ろう」


 事件解決前も、そう言ってくれたが、今度はそれよりも力強い眼差しで言ってくれた。

 なんだろう、私は特別な事は何もしていない。

 だから。


「ありがとう。でも、私は母さんに特別な事は何もしていないよ?むしろ、私が母さんから受け取ってばかりで」


 って言ったら、なんか凄い優しい表情をされてドキッとした。


「うむ、お主はそうなんじゃろうな。ロキ、今ならお主が何故蓮華と共におるのか、少しだが分かる気がするぞ」


「そうですか。私としても、旧友の貴女にも蓮華が認められたのは嬉しいですよ」


 と微笑んで言う。

 相変わらずのイケメンぷりだけど、ミレニアはその言葉で赤くなったりはしていない。

 微笑んで。


「そうか」


 と言っただけだった。

 それから。


「皆様方、お食事のご用意が出来ておりますので、どうぞ食卓へ」


 とシャルロッテさんが言うので、案内されるまま向かう。

 その道中に聞いてみる。


「シャルロッテさん以外にも、ミレニアは配下っているの?」


「蓮華様、我が主を呼び捨てにしているのに、配下である私に敬称など不要ですよ。そして、そのお答えはもちろんです。むしろ、全吸血鬼がミレニア様の配下ではあるのですが」


 あ、そっか。

 真祖なんだっけ。

 なんか、真祖って、孤独な気がしてた。

 でもシャルロッテさん、おっと。

 シャルロッテが居るから、そうでもないんだろうな。


「分かりました。それじゃ聞き方を変えますけど、シャルロッテのように直属っていうのかな?そういう方は他にいるの?」


 って聞いていたら。


「なんじゃ、妾の配下が気になるのかえ、蓮華?」


 なんて優しい口調でミレニアが言ってきた。


「あ、うんミレニア。シャルロッテのような人が他に居るのかなって思って」


「ふふ、おるにはおるが、妾の身の回りの世話をするという点でなら、あと一人じゃな」


 成程、メイドさんが二人いるのか。

 というか、シャルロッテ自体、凄い魔力を感じるんだけど。

 多分、今の時点の私よりもはるかに上だ。

 なんか、自分の事ある程度強いと思ってたけど、自惚れであったと自覚させられた。

 そんな私を見て。


「蓮華、落ち込む事はありませんよ。今貴女は、一種の頂点達を見ているのですから」


 なんて兄さんが言ってくる。


「蓮華はまだこれからです。蓮華は必ず強くなります、この私が保証しますよ」


 そう優しく言ってくれる兄さんに。


「うん、ありがとう兄さん」


 笑顔で礼を言っておいた。

 何故か、私やアーネストに礼を言われると毎回照れる兄さんが面白かった。


「フ、ロキの態度も、今なら不思議ではないな」


 なんてミレニアが呟いてるのが聞こえた。

 それから、美味しい食事をしながら、ミレニアの話をたくさん聞いて

 翌朝、ミレニアとシャルロッテ、それに兄さんと別れ、カレンとアニスの家に向かった。

 事件の詳細を、ミレニアや兄さんの事をぼかしながら、説明する為に。

 それが終わったら、いよいよイフリートの祠だ。

 意外な寄り道になったけど、ミレニアやシャルロッテと知り合えたのは良かった。

 さぁ、今日も一日頑張ろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ