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228話.違う世界

少し短いです。

 中に入ると、真っ暗だった。まるで宇宙の中で浮いているかのようだ。

 地面に足を踏み入れる感触が無い為、空を飛ぶ『フライ』の魔法を使っている時と似たような感覚。

 重力を感じない為、『フライ』を使っていなくても浮いている。


「これが母さんが即席で創った世界か。なんつーか、なんもねぇな」


 アーネストがそう言うが、正確には大地が宙に浮いている。

 黒色と紫色に覆われていた大地が、真っ白な何もない大地へと変わっていた。

 そこにあったはずの城も、近くの川も、岩すらも無い。

 全て、魔剣ゴエティアによって奪われてしまったのだろう。


「ごらんなさいな。あそこに刺さっている剣が、そうではなくて?」

「「!!」」


 初音の指さす方向へと視線を向けると、ソロモンが手にしていた時とは違う、紫色に輝く不気味な剣が地面に刺さっていた。


「今なら、通じるんだよね?」


 初音は無言で頷く。アーネストはネセルを構え、アリス姉さんも細剣を構えた。

 私は魔力を使おうとして……異変を感じた。


「あれ?」


 まるで重い鎖にがんじがらめにされたかのように、魔力が重い。


「どうした蓮華?」

「蓮華さん?」


 これをなんと説明したら良いのか分からないでいると、初音が教えてくれた。


「この世界は文字通り別の世界なのは分かりますわね?」

「うん、それは勿論」

「なら、蓮華の不調は自然に身に纏っていた魔力が無くなったからですわ。大精霊との契約によって、自身の魔力だけでなく世界に揺蕩(たゆた)うマナの力も自身に取り込んでいた力が、今は完全に無いのですわ」

「!!」


 成程……世界が変われば、あの世界で得ていた力は消えてしまう。それで、今まであった力を失ったから魔力が重く感じたのか。


「そうなのか?俺はなんともねぇけど……」

「そりゃアーくんは自分の内側から魔力が生成されるマーガリンの原初回廊があるし、アーくん自身は魔力全くないから関係ないよー」

「ああ、それもそっか」


 なんてあっけらかんと言うアーネストが今は羨ましい。

 こいつはどこでもそのままの自分で戦えるという事だから。


「ここでは大精霊の力は使えませんわよ。それを念頭に力を使いなさいな。あれなら、蓮華は見ているだけでも構いませんわよ?」


 まるで私を試しているかのように、クスリと笑いながらそう言う初音。

 だけど、私にそんな事をしても無駄だよ。


「冗談。ここまできて、見てるだけなんて嫌だね。それに、ある人と約束したんだ。未来の為に……元凶は、ここで絶つ!」

「クス……」


 私もソウルを構える。私の内にある魔力が無くなったわけじゃない。

 外から自然に私を助けてくれていた精霊達。その加護を一時的に失っただけ。


 今も何の動きも見せない魔剣ゴエティアへと攻撃を仕掛けようとして……


「それでは、この魔剣ゴエティアがどの程度の物か……私が扱ってみますわね」


 初音が魔剣ゴエティアの元へと一瞬で移動し、地面から引き抜いたのだった。

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