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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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44.ミレニアの屋敷にて

 それから、目が覚めた二人に、ちょっと嘘を交えて話をした。

 嘘をいう事には心が痛んだけど、兄さんやミレニアの事を伝えずに話すには、仕方なかった。


「分かりました、蓮華お姉様がそう仰るのでしたら」


「はい、私達は引き続き、警備に戻ります」


 そう言ってくれた。


「ですが、この件が無事解決いたしましたら、必ず!必ず私達の元へ報告にいらしてくださいね」


 なんか念を押された。

 そりゃ、その後祠にも行くんだし、当然なんだけど……。


「蓮華お姉様は、気がついたらフラッと何処かへ行ってしまいそうで、不安、です」


 私は迷子のお子様かーい!


「だ、大丈夫だよ。事件解決には私も手伝うし、二人は吉報を待っててくれたら良いからね!」


 そう笑顔で言って、カレンとアニスに心配されながらも、助けた人達を病院へ運んだ。

 そして二人を一応屋敷まで送って、別れる。


 少し道を進んだところで、二人が出てくる。


「蓮華、仲の良い友人ができたのですね。良い事です」


 なんて微笑んでくれる兄さん。


「では、一旦妾の屋敷へ行くとするか。ほれ、妾に触れよ蓮華」


 言うとおりにする。

 すると、一瞬で景色が変わる。


「相変わらず、転移系の魔法は景色が急に変わるから気持ち悪い……」


 なんて呟く私を、兄さんは笑ってみていたので少し恥ずかしくなる。


「この部屋なら好きに使って構わぬでな蓮華。適当に寛ぐが良かろう」


 そう言われたので、すぐ傍にあったソファーに腰かける。

 や、柔らかい。

 この世界のソファー、全部柔らかすぎないだろうか。

 すんごく沈むのに、お尻を包み込むような安心感で、寝ころびたい衝動に駆られる。

 落ち着け私。


「寝転がりたそうですね蓮華」


 兄さんにバレてる。

 続けて言われる。


「うちでも良くソファーで寝転がってますからね」


 ぐはっ。

 最近ぐうたらしてたのを良く見られてるから、言い返せない。

 だから。


「うぐぅ」


 と変な呻き声をあげる私。

 そんな私達を見て。


「ぷっくく。お主ら、本当に面白いな」


 なんてミレニアが言ってくるが、ソファーに座っただけなのに。

 この流れはまずいと、話を切り替える事にする。


「そういえばミレニア、最初に話してた、神々から貰ったスキルって何?」


 そう、気になっていたのだ。

 確かに、今まで読んだ転生物でも、そういったチートを授かってから転生するとか、召喚された時にスキルがついてくる等、そういうお話もあった。

 だけど、私がこの世界に召喚、正確にはもう私じゃないか。

 まぁ、アーネストからそういった物があるという話は聞いていない。


「ふむ、蓮華はこの世界の者のようじゃな。なら、知らぬのも無理はない」


 その言葉に、兄さんが言う。


「ミレニア、蓮華は正確にはこの世界の者ではありませんよ。ただ、神々の祝福を貰ってきたわけではありません。故に、実力はすでにあったもの、また身につけたものであり、紛い物ではないんです」


「ほぅ。それでいて、これ程の莫大な魔力を有しておるのか。制限なく使えておれば、妾すら超える魔力を有しておるというに」


 え、私がミレニアよりも超えるって、嘘でしょ!?

 あんな格が違う魔力を見せつけておいて!?

 驚いている私に、ミレニアが続ける。


「お主の魔力量は、広大な海を想像すれば良い。実際にはそれよりもはるかに大きいが、今は気にするでない。その海から出せる量、管と呼ぼうか、それが極端に小さいのだ」


「そういう事ですね。蓮華、水道の蛇口で、海の水を出しきるのにどれくらい時間がかかると思いますか?」


 な、成程。

 つまり私は、自身の魔力が全然使えてないというわけか。

 兄さんが笑って言う。


「大丈夫ですよ蓮華。少しづつ、その管を広げていきましょう。今はまだ、その莫大な魔力を一気に解放すれば、蓮華の体が耐え切れませんから」


 もしかして、私の体の為に、その制限を母さんがつけてくれたのかもしれない。

 少しづつ、慣らしていく為に。


「お主のその力は、お主自身の力じゃ。じゃが、中にはそうではなく、技術や加護を得る手段がある。それがスキルと呼ばれる仮初の力の事じゃ」


 ゲームとかでもよくあるあれ、だな。


「そのスキルにもレベルがあり、それを訓練等により上げる事はできる。だが、それはあくまでスキルの扱いが上手くなった、というだけじゃ。どれだけ鍛えようと、自身の本来の力が増しているわけではない」


 兄さんが続ける。


「例えばです、蓮華。スキルで剣術を覚え、そのレベルを最大まで上げれば、剣術の達人になれるでしょう。ですがそれは、スキルで達人なのです」


 それは分かるけど、そのスキルが自分の物なら、変わらないんじゃなかろうか。

 ミレニアが笑って言う。


「そのスキルとやらが全く効力を発しない相手には、むしろ一般人と変わらぬのじゃ。妾やロキにも、神々の加護であるスキル等は全く効力がない」


 なっ!それは凄いな……。


「スキルで全状態異常耐性や無効を持っていようが、妾の異常攻撃は通るし、物理無効、魔法無効といった局所的な効果も妾には毛ほども感じずに破る事ができる。更に妾に間接的に手を下す、例えば即死等のスキルも妾には効かぬ」


 それ、どうやったらミレニアに勝てるんだろうか。


「妾に勝ちたければ、スキルなどという紛い物に頼らず、自身の力で来る以外にない。それならば普通に通じるぞ?」


 やれやれと言った顔で兄さんが補足する。


「普通に通じると言っても、その普通、が蓮華並みの力が無ければ通じないのは、分かるでしょうけれどね」


 そうだ、私はミレニアに魔力をぶつけられそうになった時、死を覚悟した。

 それほどまでに圧倒的な力だった。

 それに、異世界転生等で得たスキルは効かないってなると、大抵の人は勝てないんじゃなかろうか。


「じゃからな蓮華、妾はお主を面白いと思うのじゃ。お主のその力は、スキルによる物ではない。お主自身の力じゃ。それだけの、真祖の妾すら超える程の魔力を持つお主は、実に興味深い」


「えーと、それって私が世界樹の化身だからじゃないかなぁ……」


 って呟いたら。


「なんと!?お主、アレの生まれ変わりなのか!?」


 アレ?アレってなんだろう。それに、生まれ変わり?


「ミレニア、そうではありませんよ。彼女は望んでこの世界の世界樹と成った。それから一度も、意識を覚醒させた事はありません」


「そう、か。そうよな……アレとまた話せたならば、一度ぶん殴ってやらねば気が済まぬのじゃがな……」


 なんて、二人が悲しそうな顔で話をしている。

 私には分からないが、今の会話から察するに……世界樹は、元は違う存在だったんだろうか。

 そして、その存在は、二人の旧知の仲だったんじゃないだろうか。

 予想しかできないし、この世界にきてまだ日が浅い私には、その話題に触れる事は憚られた。




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