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190話.待機時間

 思えば、照矢君達と別れてからまだ二日しか経っていない事に気付く。


「あの世界で過ごしたせいで、全然そんな気はしないんだけど……まだ二日しか経ってないんだよなアーネスト」


 コーヒーにミルクを足し終えて、椅子に座ったアーネストは、まだ眠そうだ。


「あー、そういやそうだな。特訓で帰ってきたのが夜、んでその日は母さんの看病をして、時間を戻してまたその日の夜を繰り返してエイランドを救って、その後アリスの体を創ったんだよな?俺は寝てたし、アリスの見た目は全然変わってねぇから実感はねぇけど」


 そう言った後、ミルクコーヒーを美味しそうに飲むアーネストを見て、私も作るかなと席を立つ。


「ふぅ、美味ぇ。しかし、ちょっと短い間に立て続けに起きすぎじゃね?」

「それな。もう少しのんびり過ごしたいけど……まぁ、今の問題を全て片付けた後だな」

「しゃーなしだな。あ、俺の分おかわり入れてくれよ」

「はいはい、コップよこせよ」

「あいよ」


 ポットの中にはお湯ではなくホットミルクが入っている。私とアーネストがよく飲むので、お湯とミルクとそれぞれ用意してある。

 今、母さんはベッドで再度寝転がっていて、アリス姉さんが付き添っている。リヴァルさんは大精霊の皆の所だ。

 兄さんは部屋に居るけど、基本何をしているのかは分からない。以前はアーネストが前の世界から持ってきた本を読んでいたけれど。


「ほい、出来たぞ」

「さんきゅー。あ、お前が入れてくれたから美味しいとか言った方が良いか?」

「それを本人に聞いてどうするんだよ。心配しなくても、お前の好感度はこれ以上上がらないよ」

「ひっでぇ!ん?いや今が最高値って考えたら喜ぶ所か?」

「良かったな、その最高値から今少し下がったぞ」

「下がるの速くね!?」

「そもそも、上がったら上がったままの好感度っておかしいだろ。そいつの事が好きでも、その日の気分でも変わるだろ?」

「ゲーム全否定じゃねぇか」

「「ははっ!」」


 私とアーネストだけだと、色々とアレな会話が多い。勿論他の皆が居る前ではこんな会話はしないように気を付けているよ。

 まぁ、元の世界の記憶がある人達なら大丈夫だろうけど……それでも、気軽に話せるかどうかは別だ。

 アーネストとなら、どうでも良い事で盛り上がって、どうでも良い事で笑いあえる。

 

「そういや、エイランドは助けに行ったけどよ。魔界海から来る魔物達は、地上の皆に対処任せろって話だったよな?」


 雑談をそこそこに、アーネストが真剣な話を振ってきた。私は頷く。


「ああ。けど、サンスリー王国が悪魔に乗っ取られていて、その悪魔がソロモンに繋がってるって言うなら、話は変わってくるんじゃないか?」

「あー、魔界海の魔物達はともかく、悪魔達の方は手助けってか、俺達のメインになるもんな」

「そうそう。リヴァルさんの未来に到達させない為には、ソロモンとその一味を倒すのは第一目標だし」

「って事は、今のゆっくり出来る時間が終わったら、また忙しいってこったな」

「はは、そうだな。ま、お前ならそうそう負ける事はないだろうけど、危なくなったらすぐに連絡しろよ?」

「そりゃこっちの台詞だぜ。お前がいくら強くなったって言っても、根はお前なんだから、こっちはハラハラすんだからな」

「それこそこっちの台詞だぞアーネスト。お前がいくら強くなったって言っても、根はお前なんだから、こっちは不安が残るんだぞ」

「「……」」

「「ははっ!」」


 少しの沈黙の後、顔を見合わせ笑い出す。感じている事は同じなんだ。それは、お互いがお互いであるからこそのものだった。

 

「ま、大丈夫だろ。俺達は強くなった。母さんや兄貴だって認めてくれた。あの時の世界での特訓は無駄じゃねぇ」

「ああ、そうだな。アーネスト、王国は広い。一緒に行動してたら間に合わないかもしれないし、私とアーネストは違う道で行くって事で良いよな?」

「元よりそのつもりだぜ。アリスはオシリスって神との件では動くだろうけど、基本静観だろ?」

「多分な。私は基本一人で潜入するつもりだよ。全部倒してたら時間が足りないだろうし」

「俺もだ。ただ、照矢達にはどうしてもらうつもりだ?」

「それは……」


 レベル上げに行った照矢君達が帰ってくるまで、色々と話し合う私達だった。

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