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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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181話.友(アリスティア)

 王都エイランドへと辿り着いた後、私は蓮華さんとアーくんと別れ、空から街を見下ろす。


「北区の方に大きな魔力反応が複数、こっちは蓮華さんとアーくんが向かったから大丈夫として、問題は……」


 中央区。ううん、これはそれよりも更に中、城内だ。そこから、凄まじい魔力を感じる。隠しているようだけど、全ての魔力を目で見る事ができる私には無駄だ。

 急いでそこへ向かう。


「はぁっはぁっ……どうして、貴女が……」

「いえね、昔の友から誘われたのですよ。また、こちらに来ないか、と。ですので、この街を手土産に、戻ろうかと思いまして」

「クリスティーヌ……」

「ふふ、その名は偽名ですバニラ様、いえバニラ。私……いや、俺の名前はレライエ。ソロモン72柱のうちの1柱。性別など我等には無意味なのだが、女だと人の世は色々と生きやすいのでな。もう、その姿を取る必要もない。では、さようならバニラ。今まで仕えたせめてもの恩義で、苦しませずに殺してやろう」

「っ!」


 レライエの振るう巨大な斧を、あの細い剣では到底受けられないだろう。私は瞬時に割って入り、その斧を片手で受け止める。


「そぉいっ!」

「何っ!?」


 受け止められたレライエは驚愕の表情で私を見る。残念だけど、私にその程度の力では通用しないよ。


「大丈夫?バニラちゃん。ちょっと胸騒ぎがしてね、来たんだけど……危機一髪だったね?」

「アリスティアちゃん……!?」


 驚き私を見るバニラちゃんから視線を変え、レライエを睨む。


「さってと、ソロモンがどうとか、気になる事言ってたね?詳しく聞かせてもらおっかな?」

「精霊王、いや精霊女神アリスティア……神界の女神が、地下世界の事に手を出すと?」

「残念、今の私はその冠位を返上してるんだよね。今の私は、ただのアリスティア。その分力も制限受けてるけど、貴方程度に負けないよ?」


 私に睨まれ、半歩後ずさるレライエ。こいつは確か、争いを引き起こす事を楽しむ厄介な奴だったかな?ソロモン72柱なんてあんまり興味なかったので、詳しく知らないけど。


「……確かに、いくら俺でも貴女を倒す事は難しい。予定とは違ったが、彼にも助力を願おう。頼む、オシリス」

「フン、アリスティアが出張ってきたなら、仕方ないか」


 薄暗い場所から、ゆっくりと歩いてくる。彼は……


「やっぱり、貴方だったんだねオシリス」

「久しいなアリスティア」


 感じた凄まじい魔力の出所。それはレライエではなかった。この場に来て、常に近くに感じていた。

 冥界の神、オシリス。昔は、私とも仲の良い友達だった。ぶっきらぼうながらも、私の話に耳を傾けてくれた。

 袂を分かったのは、ロキの放った厄災の獣を封じる為、マーガリンと一緒に戦う事を決めた時。

 オシリスは、放っておけと言った。俺にはロキの気持ちが分かる、と。

 だけど私は、ユーちゃんの守った世界を守りたかった。だから、オシリスと口論になり、そのまま出て行った。


「お前は今も、そんな身になり果てても、この世界の為に力を尽くすのか」


 その言葉を、冷たい表情で言うオシリス。その感情の無い声が、とても悲しく感じる。


「当然だよ。ユーちゃんの守った世界、壊させやしないんだから」

「そうか。俺はな……お前や友を奪ったこの世界に、愛着などない。ソロモンがこの世界を支配するというのなら、それも良い。それに力を貸してやる事もやぶさかではない」

「どうして、オシリス……!」


 オシリスはそのまま、剣を私に抜き放つ。その瞳は、これ以上話すことは無いと語っていた。


「バニラちゃん、後ろに下がって。オシリスは、今の私じゃ抑えきれるか分からないから」

「アリスティアちゃん……分かったわ、邪魔になるのね。気を付けて」


 バニラちゃんが後ろに下がったのを見届けて、オシリスの方を見る。


「レライエ、ここは俺に任せておけ。お前は他にやる事があるだろう?」

「ああ、感謝するオシリス。私がバニラの息の根を止められなかったのは業腹だがね」


 レライエが去っていくが、今の私にオシリスを制してレライエを止められる余裕は無かった。


「どうしても、やるのオシリス」


 だから、最後の確認をする。オシリスは私を見つめたまま、言葉を紡ぐ。


「友の落ちぶれた姿を、これ以上見ていられない。せめて、俺の手で終わらせてやる。俺の友であったアリスティアは、あの時死んだ。その残骸であるお前も、すぐに楽にしてやる」


 言葉は、通じない。なら、私もやるしかない。この分からず屋を、説得してみせる!


「……行くよ、オシリス!」

「それは俺の台詞だアリスティア。今、楽にしてやる!」


 蓮華さん、アーくん、恐らくこの王都が滅んだ原因はオシリスとレライエ。レライエはともかく、オシリスは簡単に国を亡ぼせる力を持っている。

 外の手引きは、まず間違いなくレライエの物。オシリスは、そういう策略は使わないから。

 この場から逃げたレライエを、お願い蓮華さん、アーくん。私はオシリスを、なんとしても止めて見せるから……!

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