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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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164話.試着

 家に戻った後、早速照矢君達はダンジョンへレベル上げに向かった。勿論『ポータル』を使って送ってね。帰りは使い捨ての『ポータル』魔石を渡しておいたから、私が居なくても大丈夫。


「はいアーちゃん、レンちゃん。さっきの時の世界ではこれつけておいてね」

「これって、ノルンにも渡すんだよね?」

「うん、そうだよ。皆の分ちゃんと創っておいたからね。材料がちょっと特殊で、地下の倉庫から漁ってきたんだけど……もう埃だらけで大変だったんだよー。あれ一度掃除しないとダメだね」


 あの開かずの間の事だろうか。地下に続く階段を下りた先に、時の世界に入る為の扉と同じような模様の扉があるんだけど、あれ開かないんだよね。私は勿論の事、アーネストに試してもらったけど無理だった。


「別に成長してもよくない?どうせ成人くらいで止まるんでしょ?」

「他のお友達にどう説明するのー?」

「それは、確かに……」


 リンスレットさんと同じような言葉が返ってくると思って身構えていたので、逆に驚いてしまった。


「どうせ母さんもリンスレットさんと同じで、蓮華の成長が見たかったとかじゃねーの?」


 この阿呆は、蒸し返さなくて良い事を!


「違うよアーちゃん!?」

「え、違ぇの?」

「違うんだ?」


 アーネストだけでなく、私もちょっとびっくり。母さんがぷんぷんといった感じで、人差し指を立ててぶんぶんと降る。


「レンちゃんと、アーちゃんの!」

「……ああ、そこなのか」


 アーネストが苦笑している。ああ、母さんらしいと言えば母さんらしい。


「って流されそうになったけど、それ否定はしてないよね!?」

「もちのろんだよー」


 くっそう、良い笑顔で言うから何も言えなくなってしまった。なので、話題を変えよう。


「そういえば、兄さんはまだ時間掛かってるのかな?」

「そいや全然見ねぇよな。兄貴ならどんな服にするにせよ、ぱぱっと済ませちまいそうなのに」

「そりゃぁねぇ。他の有象無象の人の服ならそうだろうけれど……アーちゃんとレンちゃんの服だからねぇ」

「ねー。っていうか、ロキがその有象無象の為に服なんて創るわけないよマーガリン」

「それもそうねー」


 母さんとアリス姉さんの言葉には同意できる。兄さん、私達以外には基本塩対応だからなぁ。私達に対してはミルフィーユより甘いけど。


「私やアリスがロキの部屋に入ろうとしたら怒るだろうけど……二人なら大丈夫だと思うし、行ってみる?」

「え、良いのかな?」


 基本、母さんや兄さんの部屋には入る事がない。部屋の中は危険な神器や魔道具が乱雑に放置されていて危ないから、と聞いているけど。それに、この家の外観よりも中は広い作りになっているし、部屋も当然そうなのだ。


「二人ならロキは何も言わないと思うよー。私だと絶対喧嘩になるから、リビングで寝転がってるね!」


 そう言って、アリス姉さんはトトトと小気味良い足音を立てながらリビングへ向かった。


「それじゃ行くかアーネスト」

「だな!兄貴の部屋は何回か入ったけど、母さんの部屋と違って整理されてたから、まだ安全だと思うぜ?」

「う”ぇ”?」


 アーネストは入った事あるのか。私だってまだないのに。そして母さん、変な声出ましたよ?


「……掃除ロボでも作ろうかなぁ……」


 なんか変な事言いながら、母さんは自分の部屋へと歩いていった。


「おいアーネスト、母さんがなんか悲しそうな顔してただろ」

「いや悪気はなかったんだって、マジで……」


 まぁうん、気にしてもしょうがないか。この変な空気を流すように、私達は兄さんの部屋の前まで移動した。


「それじゃ、開けるぞ?」

「ノックしなくて良いのか?」

「良いだろ、兄貴だし」


 無遠慮に扉を開けるアーネストに苦笑する。アーネストは私よりも兄さんと仲が良いからね。


「おーい兄貴ー!どこだー!?」


 アーネストが大声で呼びかけると、奥の方から返事が聞こえる。


「この声はアーネストですか。今手が離せないので、用があるのならこちらへ来て構いませんよ」

「了解!」


 という事で、部屋の奥まで歩いていく事に。周りを見渡すと、本や武器が沢山道の両端に飾ってある。その一つ一つが尋常じゃない魔力を帯びていて、恐怖すら感じる。


「なぁアーネスト、部屋の間取りがおかしいのはもう突っ込まないけど、ここに飾られてる武器や本、それに魔道具かな?全部おかしくない?」

「分かるぜ。俺も初めて見た時はビビった。なんつーか、目の前に核爆弾が大量にある感じだよな」


 言い得て妙だ。これ一つでも暴発すれば、辺り一面焼け野原になるだろう。


「でも、兄貴がこれ全部封じてるから大丈夫だぜ。なんでも、神話時代の物が大半なんだとよ。権能っての?を失った神様の持ち物とからしいぜ?よく分からんかったけどよ。座?とか、どっかに魂を刻まれて、人間に召喚されたりする事もあるらしいけど……」


 どこのフェ〇トですかねぇ。まぁ、この世界ももれなく神様に創られた世界だもんね。創造神イザナミ、イザナギだったかな。名前だけは聞いたけれど、詳しい話は教えてもらえていない。なんでも、ユグドラシルとイグドラシルを創った神様だって。それだけでもとんでもなく凄い神様なのは想像できる。

 天上界にはゼウスっていう、元の世界でも知らない人は居ないんじゃないかってくらい有名な神様が居るみたいだし。

 そんな事を考えていたら、兄さんの前に着いた。これは……


「兄貴、ミシン使ってんの?」


 そう、魔法でなんでも創れる兄さんが……ミシンで服を縫っている。


「ええ。型は出来たので、私の魔力を通しながら加護を付与しているのですよ。そうですね、まだ仮縫いですが、二人とも着てもらって構いませんか?大体のイメージは出来ているのですが、実際に着てもらった方が確実ですからね。大きさは二人に合うように魔法で設定していますから、仮に100メートルを超す巨大な姿になっても破れませんよ」

「ならねぇよ!?」

「ならないよ!?」


 二人して全力で突っ込んでしまった。どこのサイ〇人だ!


「ふふ、まぁ例えばです。さぁさぁ、あちらに試着室を創りましたから、どうぞ」


 うん、さらりと今用意したって言ったよね。もう突っ込まないけど。

 二つ創られた試着室にそれぞれ入り、着替える。普通の服に見えて、伸びる。凄い、肌触りがとても柔らかで、それでいて弾力性まであって。引っ張ってもシワが出来ない。服飾関係の人泣いちゃうよこれ。


「ど、どうかな?」


 試着室から出て、アーネストと二人お披露目。アーネストは白をベースとした、まるで王子様のような服装だ。

 私のは反対に黒をベースとした、セーラー服?みたいな。スカートなのはもう慣れた。


「……」

「兄さん?」

「兄貴?」

「……っは!?コホン、とても、ええとても似合っていますよ。もうこのまま時が止まってしまえば良いと本気で思いましたとも……くっ……!」


 兄さんが本気で感動しているのは理解できたけれども。


「これ普段着にして良いのかな?なんか勿体ないような……」

「いえいえ、自動洗浄効果も付けてあるので、毎日でも着てくださいね。多少なら破れても時間で自動修復されますからね。そもそもが余程の力でもなければまず破れませんが」


 どうやらとんでもない服ができそうで。アーネストと顔を見合わせて苦笑する。


「そんじゃ、また着替えるとするか。兄貴、完成楽しみにしてるぜ?」

「私も。期待してるね兄さん」

「ええ、任せなさい。特訓はいつからですか?」

「おっと、それを伝えるの忘れてたね。明日、ノルン達が来たら早速行くよ」

「そうですか。では、それまでには間に合わせますからね。期待していてくださいね」


 兄さんが笑顔でそう言ってくれるのを、私達は頷いて応える。

 兄さんは、いつも本気で私達の為に動いてくれる。優しくて頼もしい兄さんが、私は大好きだ。


 着替えた私達は、兄さんの邪魔をしないように部屋を出る。


「そんじゃ、これからどうする?まだ時間あるよな?」

「タマモを連れて、リヴァルさんのとこに行かないか」

「ああ、そうするか!タマモはどこにいんだ?」

「リビングでアリス姉さんが頭に乗せてる気がする」

「ぶはっ!」


 吹き出すアーネストに苦笑しながら、私達もリビングへ。

 案の定、寝転がってるアリス姉さんの頭の上で丸まってるタマモに、アーネストが更に笑ったのは言うまでもない。

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