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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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156話.敵の名

 タカヒロさんの部屋に通されてすぐに出た感想は、図書館かっ!だった。ベッドの周りにも本が無造作に積まれている。


「散らかっていてすまないな。中々片づける時間も無……ってのは言い訳だな」


 苦笑しながらそう言うけれど、あまり部屋に戻れていないんだろうなぁと思う。


「適当に座ってくれ。読みたい本でもあれば好きに読んで良いぞ。出入口に近い本棚がライトノベル系で、真ん中は歴史書、ベッドの近くは古文書とかだ」


 分類でちゃんと分けてるのか。ライトノベルも気にはなるけど、私は歴史書の本棚へと足を向ける。そこには私がこの世界に来る前の出来事が記載されていた。魔界の、だけど。


「タカヒロさん、これって実際に起こった事なの?」

「ああ、そうらしいぞ。勿論脚色されてるみたいだけどな。当事者のリンスレットに聞いたら笑ってた箇所が多くあったからな」


 それで良いのか歴史書。パラパラとめくると、昔は戦争が多々あった事が分かる。その中でも目を引いたのが、ソロモンの悪魔による支配戦争。元の世界でもその名前は聞いた事があった。勿論空想のお話だったけど、この世界ではそれが現実で起こっている。

 確か、アスモデウスもソロモン72柱の1柱だったはず。アスモダイって呼ばれていたんだったかな?力強い地獄の大王だって載ってたなぁ。72柱全てを知ってるわけじゃないけど、アスモデウスやべリアル、ナベリウスとかはゲームでよく出てきたので覚えてしまったんだよね。

 少し読むと、意外な事が書かれていた。アスモがリンスレットさんと対峙している場面だ。


「あれ、アスモも最初はリンスレットさんと敵対してたんだ?」


 ちょっと意外だ。アスモは最初からリンスレットさんと知己のように思っていたから。


「あー。アスモデウスは嫌々だったみたいだがな。あまりその当時の事を言いたがらないから、俺も詳しくは知らないんだ」


 成程……昔は沢山の魔王が居て、魔界は群雄割拠だったんだよね。魔族の一人一人が戦える力を持っていて、そんな人達が集まるんだから……凄まじい戦いになっただろう事は想像に難くない。


「おい蓮華!これ見て見ろよ!日本であったタイトルが題名もじってあるぜ!」


 なんてアーネストに呼ばれて、歴史書を読むのは中断する事になってしまったけれど。ソロモンの悪魔、か。最終的にリンスレットさんが勝利をおさめたみたいだけれど……72柱の悪魔達はその後、どうなったんだろう。

 それに、その悪魔達を従えていたソロモンも、この歴史書では殺されたと書かれていない。

 気にはなるけど……今は気にしても仕方ないか。


「それで、リヴァルさんは……」

「リヴァルで良いぞ」

「そうか?ならそう呼ばせて貰うな。リヴァルはどこから来たんだ?」

「「!!」」


 私とアーネストは、読みかけていた本から顔をあげてタカヒロさんの方を向く。今のは、どういう意味で……


「どうしてそんな事を聞く?」

「不躾なのは分かってる。けど、俺は曲がりなりにも魔界の王の側近だ。リヴァル程の実力者を、知らないなんて事は無いのさ」

「そうか、流石だな。私は今魔力を極限まで抑えてるんだが」

「リンスレットが同じ状態でな。だからこそ分かったのさ」

「成程……まぁ、タカヒロさんにも隠す必要は無いしな。私は未来から来たのさ。過去を変える為に……そして、未来を救うヒントを得る為に。私の本当の名は蓮華。レンゲ=フォン=ユグドラシルだよ」

「なっ!?」


 気持ちは凄く分かる。信じられないよね。私達は目の前にいきなりゲートから現れたので、未来の私云々は置いておいても、信じるのは簡単だったけれど。


「という事は、ノルンもこんなに美人になるって事か!?」

「え、ああ、そう、かな?」


 あのリヴァルさんが言い淀んだ所を初めて見た気がする。というかタカヒロさん、気にする所そこなの。


「そうか、そういう事か。その事をリンスレットは知ってるな?」

「ああ、もう話したよ」

「理解した。お前達は好きに寛いでいてくれ。俺は少し行く所が出来た」


 そう言ってタカヒロさんは慌てて部屋から出て行った。一体どうしたんだろうか……。


「はは……変わらないな、タカヒロさんは」


 そう苦笑するリヴァルさんの瞳は、どこか悲しそうで……


「リヴァルさん、もしかしてタカヒロさんは……」

「ああ。ノルンを助ける為に……命を落とした」

「「!!」」

「そんな顔をするな。確かに私の時代では、もう居ない。だけど、過去はすでに変わっている。これからの修行で更に変わるはずだ。いや、変えるんだ。お前達は、私のような思いをする事はないように」


 リヴァルさんは真剣な表情で私を見つめる。私も見つめ返し、頷いた。


「絶対に、同じ未来にはしないよ。こうしてリヴァルさんも来てくれた。誰一人だって、欠けてたまるもんか」

「ああ!ってそうだ、ここにきて敵の名前も知らねぇのはアレだよな。そろそろ教えてくれよリヴァルさん」


 アーネストの質問に、リヴァルさんは目を瞑る。話すかどうか、迷っている感じだ。それでも一呼吸を置いて、口を開いた。

 その名前を聞いて、私は手に持っていた本を落としてしまう。だって、その名前は……


「ソロモン……72柱の悪魔の王達を支配する悪魔の王の中の王」

「「!!」」


 先程読んだ、歴史書の中に出てきた名前だった。

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