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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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139話.信じるという事

「ちょ、それ大丈夫なの母さん!?」

「地上海に隣接してる国に知らせた方が良いんじゃねぇの!?」


 私達が慌てる中、母さんは優雅にソファーへと腰かけた。


「大丈夫よ、ちゃんと対策しておいたからね」

「「対策?」」

「うん。そろそろ……」

「戻ったのじゃ!」


 母さんが言葉を言い終える前に、扉が開かれる。そこにはミレニアが仁王立ちしていた。


「まったく、この妾に面倒な事を押し付けおってからに……!」

「ごめーんミレニア。貴女しか頼れる人が居ないんだもーん」

「この、調子の良い事を言いおってからに!」

「その代わり、M&Mのナンバー100台から好きなの10枚上げるから、ね?」

「むぅ……し、仕方あるまい!」


 一体何の会話をしているんだろうか?


「えっと?」

「M&Mってなんだ?」

「おいアーネスト」


 思わずつっこんでしまう。いや違うだろアーネスト、聞く所はそこじゃない。


「あれ?二人は知らない?結構有名なカードゲームの愛称でね、マジックアンドマジックっていうの」


 なんか元の世界でも似た名前のがあったような気がする。カードで対戦するゲームだったかな?やったことはないけど。


「その発案者で原作者がマーガリンでの。今や絶版となったカードも所持しておるのじゃ」


 成程。というかミレニアがそういうのやってる事に驚きだよ。


「ちなみに妾は集めているだけじゃがな。いわゆるコレクターというやつじゃ!」


 ドン、と机の上に大きなフォルダが数個置かれる。もしかしてこれって……


「これ、全部カード入ってんの!?」

「うむ!」


 一瞬言葉が出なかった。凄いな、この量は。座ってるとはいえ、私の頭より高くフォルダが積み上がってる。

 というか、ミレニアって公爵家だったよね。お金で全部集めるの簡単なんじゃ?


「蓮華や、お金で全部集められるのではと思わなんだか?」

「な、なんで分かるの?」

「お主ら転生者……いや蓮華の場合は転移者か。まぁどちらでも構わぬが、そ奴らはみな、同じ事を考えるようでな。じゃが、思い出してみよ。妾は発案者を誰と言った?」

「「あ」」


 私とアーネストは同時に同じ考えに至る。


「カードにはね、所有者登録があるの。封を開けた人にしか、そのカードは使えないようにね。バトルは専用の空間が一時的に創られるんだけど、そこで他の人のカードは弾かれちゃうってわけ」


 無駄に高性能!ゲームなのに凝りすぎでしょ!?


「えっと、トレードとかは?今母さんがしようとしたように……」

「うむ……それでも、レアなカードを譲ろうとしない者は多いのじゃよ。カードで召喚できるキャラクターは実体化もでき、意思疎通まで出来るのでな。友となっている者も多い」


 なにそれ凄い。というかそれ大丈夫なの!?


「ああ、勿論じゃが触れる事は出来ぬし、人を襲わせる事も出来ぬぞ」


 不安に思った事をすぐに解決されてしまった。しかし、カードゲームか……友達が好きでハマってる奴が居たなぁ。

 ……ってそうじゃなーい!危うく私までそっち側の会話に集中してしまう所だったよ!


「そ、それはひとまず置いておいて!海底神殿の事だよ!?」


 私が焦っているのを、母さんは落ち着いた態度で微笑んで見てくる。ミレニアはそんな母さんを見て、溜息をついた。


「お主、蓮華とアーネストに何も話しておらぬのか」

「だって、先に言ったら二人が飛び出して行っちゃいそうでしょ?」

「ああ、それは否定出来ぬな……」


 二人が話しているので、私はアーネストと顔を見合わせる。


「あはは、蓮華さんもアーくんも、まだ気付かないの?」


 私達の膝元から、可愛らしい笑顔でアリス姉さんが言ってきた。


「アリス、どういう意味だよ?」

「マーガリンがお礼をしたって事は、要はミレニアが解決してきたって事じゃないのー?」

「「!!」」


 そういう事かっ!それなら、母さんがやけに落ち着いているのも頷ける!


「いや、解決はしておらぬぞ?」

「「えぇー!?」」

「あれぇ?」


 アリス姉さん、自信たっぷりに言いましたよね!?そんなおかしいな?って顔で言ってもごまかされませんからね!?可愛いけどね!


「海底神殿には『ポータル』が繋がらぬように封じが施してあったでな、それを解除してきたのじゃ。ついでにそこに居た魔物は残らず滅してきたが、魔素が貯まっているのは妾でもどうしようもないでな」

「えっと、つまり……まだこれから魔物が自然発生するって事?」

「そうなるな」


 間髪入れず、ミレニアは頷いた。


「放っておいたら、どうなるの?」

「魔物が生まれ、魔界海へと進出するじゃろうな。そこから魔界へ行くか、地上海へ向かうかまでは分からぬが」

「それって、不味い事になる、かな?」

「そうじゃな。数千、数万の魔物が突如出現するじゃろう。人間達の言う、スタンピードと類似した事になるじゃろうな」


 スタンピードとは、大量発生した魔物が溢れて暴走する事だったね。確かに、その通りだ。


「ちなみに、レンちゃんとアーちゃんは行っちゃ駄目だからね?」

「「え!?」」

「今回は、各王国に対応させるつもりだよ。なんでもかんでも二人に頼ってたら、成長しないもの。二人はお留守番、良いわね?」


 珍しく強めに言ってくる母さんに、私達は反論できるはずもなく……頷いた。だけど……


「二人の友人達は、そんなに信じられない?」

「「!!」」


 母さんが優しい目をして、私達を見る。

 そうだ、私達の友人達は、とても強い。心も、体も。信じて良いはずだ。


「そうだね。うん、私達は私達で、修行を再開しないとだし」

「おう、そうだな!」


 私とアーネストは頷き合う。


「それじゃ、私は国王達に連絡してくるね。ミレニアはリンにお願い」

「人使いが荒いのお主は……報酬は後で受け取りに来るでな」

「はいはーい」


 そう言って、二人は部屋を出て行く。

 残された私達は……


「それでアリス姉さん、そろそろのいて頂けると嬉しかったりするんですけど……」

「ダーメ♪」

「「……」」


 アリス姉さんには勝てなかったよ。その後兄さんが部屋から出てくるまで、私達はアリス姉さんのベッドと化していた。

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