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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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136話.サタンとの出会い(アーネスト)

 ミレニアと共に、薄暗い廊下を駆けて行く。


「!!」


 遠くで魔力を感じた。これは蓮華と、リンスレットさんの魔力だ。


「いかんな、もうおっぱじめおった。急ぐぞアーネスト」

「ああ!」


 ミレニアに返事をして、駆けるスピードを上げる。道中で魔物が敷き詰められた部屋を見かけるが、今は相手をしている時間は無い。

 そして、不意にミレニアが立ち止まる。俺には何も感じないが、何かあったのだろうかと警戒を強める。


「ふむ、ここじゃな」

「え?」


 ミレニアが手を(かざ)すと、壁だった場所に道が出来た。


「ゆくぞアーネスト」


 ミレニアはこちらを見てそう言う。俺は頷いて後を追った。探知はしているつもりだったが、俺では見つけられなかった。

 まだまだだな……そう悔しく思いながらも、前を走るミレニアを見る。

 あの蓮華ですら遠く及ばない、頼もしい背中。その横には母さんや兄貴が居る。俺もぜってぇ追いついてみせる、そう心に刻みながら。


「ここじゃ」

「でっけぇ魔方陣、これか!?」


 ミレニアは頷き、魔方陣へと近づく。


「ふむ……どうやら用途を描き換えたようじゃな」

「描き換えた?」

「うむ、魔方陣の模様の意味は知っておるな?」

「一応、母さんや兄貴から習ってるけど……」

「なら分かるじゃろうが、魔方陣とは設計図のようなものじゃ。円内に紋章やシンボルを描き足していく事で効果を確定するわけじゃが、この魔方陣は本来描かれていた文字を変えておる」

「えっと、つまり?」

「要は、これを使っても別の場所へ飛ばされるわけじゃ」

「げっ……」


 つまり、すでに逃げられた後って事か。畜生!蓮華に逃がさねぇって大見得きっちまったぞ、どうすりゃいいんだ!? 

 なんて考えていたら、ミレニアが戦闘態勢に入った事に気付く。


「『ブラッディキャリバー(断罪の血剣)』」

「おっと!?ふふ、怖い怖い。まさか気付かれていたとは、相変わらず恐ろしい方ですねぇ」

「チッ……避けよったか。サタン、お主が此度の事に絡んでおろうとはな」


 ミレニアが血のように朱い剣を、凄まじい速度で振るう。それを、このサタンと呼ばれた男は避けた。

 サタン、元の世界で知らない奴なんてほとんどいないであろう、有名な名前。

 大罪の悪魔の1人で、憤怒を司る強大な力を誇る大悪魔。


「道中に見かけた魔物共は、お主の仕業か?」

「いえいえ、それは違いますとも。私にそのような力はございませんとも、ええ」

「フン、どうだかな」


 どこか、人をくった感じを受けるサタン。対してミレニアは、苛立ちを隠そうともしていない。

 二人の感じから、昔からの知り合いなんだろうか?


「ふむ、ふむふむ……私はユグドラシルの化身である蓮華と、イグドラシルの化身であるノルンに対してのみ興味があったのですが……こうしてみると、そこの彼も中々……」


 その目で睨まれた時、まるで蛇に睨まれたかのような悪寒を感じた。

 気をしっかりと持ち、俺は睨み返す。


「ほぅ!ほうほう。私の邪眼を跳ね除けますか……益々良いですねぇ」


 背筋にゾクッとしたものを感じた。俺はネセルに手を掛けようとして……ミレニアが前に出た。


「黙れ。アーネストに指一つでも触れて見よ、この妾が冥府へと送ってやる」


 ミレニアから感じる魔力は、桁違いに高い。サタンからもかなりの魔力を感じるが、ミレニアはそれを凌駕している。


「ふふ、怖いですねぇ。最強にして最凶、吸血鬼の真祖であらせられる貴女と真正面から戦うのは分が悪い。ここは退かせて頂きますとも」

「逃げられると思うておるのか?勿論この場を、という意味ではないぞ?」

「貴女に見つかった以上、リンスレットにも伝わるでしょうからねぇ。ですが、何も問題はありません。種はすでに蒔いておりますからねぇ、ククッ……!」

「魔界全土を敵に回して勝算があると言うのか?」

「ククッ……さてさて、果たしてそう成りますかねぇ?ではでは、私はこれで……アーネスト君、君にはいずれご挨拶に伺いますので、お待ちくださいねぇ」


 足元に魔方陣が現れたかと思うと、サタンは消えた。あれは『ポータル』でも『ワープ』でも無かった。


「フン、自分の領地に戻ったか」

「分かんの!?」

「ああ、魔方陣を読めば行先くらい分かるのじゃ。魔力探知をつけてやったのじゃが、上手く剥がされたわ。あ奴、強くなっておるな」


 なんて言うミレニアを唖然と見る。本当にミレニアも凄い。


「それよりアーネスト、すまぬな。守ってやるつもりだったのじゃが、厄介な奴に目をつけられてしまったやもしれぬ」

「そんな事気にしないでくれよ。俺はもっともっと強くなる。さっきの奴よりも、そして蓮華よりもな!」


 そんな俺の言葉に、ミレニアは最初きょとんとした顔をしていたが


「そうか」


 と破顔した。その顔が綺麗すぎて、一気に心臓が五月蠅くなった。綺麗な人は見慣れてたはずなんだけどな……。


「とりあえず、蓮華達の元へと急ぐか」

「了解!」


 そうして俺達は、巨大な魔方陣を破壊し、蓮華達の元へと急いだ。

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