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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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35.報告

「そうでしたか、パイコーンが……分かりました。後はこちらにお任せください。そして、今回の依頼の報酬には、任務ランクが不適切であったお詫びも込めて、多めにしておきます。誠に申し訳ありませんでした」


 と深々と礼をされる。


「い、いやいや!途中までは普通に俺達でも対応できてましたから!」


 とグレクは言うが、一歩間違えれば死んでいたかもしれないのだ。

 三人は死を覚悟した。

 それでも、護衛対象の私を見捨てず、守ろうとした。

 その心意気が私は嬉しかった。

 だから、それを伝えてあげる事にした。


「受付のお姉さん、この三人は私を最後まで守ろうとしてくれた。勝てない相手だと見抜いたのに、私を置いて逃げず、私を逃がそうとしてくれた。そこも、評価して上げてほしいな」


 そう大声で言ってやった。

 周りから感嘆の声が聞こえる。

 三人が滅茶苦茶照れているのが分かる。


「そうですか……成程。依頼を全うしようとする、素晴らしい心がけだと思います。実力をつけて、良い冒険者になってくださいね」


 と心からの笑顔で言ってくれているのが分かる。

 さて、私はこれでお別れだな。


「それじゃ、後は頑張れ。また一緒に依頼をする事があったら、よろしくな」


 その言葉に。


「え!?また俺達と依頼受けてくれるんですか!?」


 なんて驚いてきた。

 ん?どういう事だろう。


「そりゃ、そういう事もあるだろうし。え?もしかして私とは嫌だった?」


「ち、違いますよ!そうじゃなくて、蓮華様が俺達なんかと」


「「グレク!!」」


「あ」


 グレクが私の名前を大声で言った事で、しまったという顔をする。

 だけど大丈夫だろう。

 なんせ、目の前の三人だって別人だと思っていたんだから。

 案の定、別に騒ぎになる事はない。


「大丈夫だよ、私は同じ名前の別人だからね」


 ウインクしてみる。

 三人は照れたような顔をしている。

 おお、割と効果あったんだろうか。

 中身おっさんなので、少し恥ずかしかったりするんだけど、最近少しは慣れてきた。

 なんか体に精神が引きずられてる気がするなぁ。

 アーネストにやったら確実に笑われるな、断言できる。


「それじゃ、私はここまでだ。またな、三人とも」


「「「はい!ありがとうございました!」」」


 三人が元気よく言う。

 手を振ってから、歩き出す。

 私が離れて行く中、周りの人達に囲まれている三人が見えた。

 和気藹々(わきあいあい)としているようだから、絡まれているわけではないだろう。


 カランカラン!


 外に出る。

 さて、もう夕方だし、宿を取る……のは勿体ないし、一旦帰るか。

 もう場所は後日、シリウスに直接聞こう。

 その方が絶対早いや。

 そう決めて、家に帰る事にする。



-漆黒の翼・グレク視点-



「受付のお姉さん、この三人は私を最後まで守ろうとしてくれた。勝てない相手だと見抜いたのに、私を置いて逃げず、私を逃がそうとしてくれた。そこも、評価して上げてほしいな」


 そう大声で言ってくれる蓮華様に、俺達は照れながらも、感謝した。

 きっと蓮華様は、俺達の為にあえて皆に知らしめる為に、大声で言ってくれたんだ。

 冒険者は、評判と信頼が一番大事だ。

 護衛であれば、護衛対象を見捨てないかが一番重要視される。

 そこを、俺達は自分の命が掛かったとしても、見捨てないと公言してくれたのだ。


「そうですか……成程。依頼を全うしようとする、素晴らしい心がけだと思います。実力をつけて、良い冒険者になってくださいね」


 受付の女性、エミリーさんがそう言ってくれる。

 今まで、一度も見た事が無い表情だった。

 俺達の事を認めてくれた、そんな気がした。

 そんな事を考えていたら、蓮華様が笑顔になった。


「それじゃ、後は頑張れ。また一緒に依頼をする事があったら、よろしくな」


 そして、そんな信じられない事を言ってくれた。


「え!?また俺達と依頼受けてくれるんですか!?」


 だから、言ってしまった。

 だって、蓮華様は確実に、王国最強だ。

 蓮華様が望めば、どんな強者や最高ランクの冒険者だって、喜んで歓迎する。

 そんな凄い方が、俺達のような駆け出しの冒険者と、また一緒に依頼を受けてくれると言うのだ。


「そりゃ、そういう事もあるだろうし。え?もしかして私とは嫌だった?」


 なんて、とんでもない勘違いをされたから、慌てて否定する。


「ち、違いますよ!そうじゃなくて、蓮華様が俺達なんかと」


「「グレク!!」」


「あ」


 蓮華様が蓮華様な事は秘密だった!しまったと思ったが、蓮華様は動じていない。

 そして思い出した。

 俺達も蓮華様が蓮華様だと気付けなかった事に。

 そして蓮華様が言う。


「大丈夫だよ、私は同じ名前の別人だからね」


 と言って物凄く可愛らしいウインクをしてくれた。

 心臓の鼓動が聞こえる。

 この人、こんなに強くて美人で可愛いのに、こんな気さくで可愛らしい仕草をしてくるから、まっすぐ見られない。

 俺より年下なはずなのに、何故か俺より年上の雰囲気を出しているし、凄く不思議な方だ。


「それじゃ、私はここまでだ。またな、三人とも」


 そんな蓮華様ともお別れだ。精一杯元気な声で答えた。


「「「はい!ありがとうございました!」」」


 蓮華様が手を振り、外に向かって歩いて行く。

 その姿を見送っていると、周りの人達が声を掛けてきた。


「よぉ、お手柄だったんだってな!護衛対象の人から、あそこまで褒められるなんて見事なもんだ!」


「ああ!今度は俺達と一緒に討伐しようぜ!色々と手解きしてやるよ!」


 なんて、笑顔で言ってくれるギルドの冒険者達。

 これも、蓮華様のお蔭だ。

 俺達は、これから一歩を踏み出す。

 蓮華様に誇れるように、今度は俺達が蓮華様に力を貸せるように。


「グレク、蓮華様にここまでお膳立てしてもらったのよ。絶対、上に行くわよ!」


 コレンが力強く言う。


「ああ。俺達は強くなる。これからだ!アッシ、コレン、頑張ろうぜ!」


「うん!」


「当然よ!」


 二人の心強い返事を聞いて、思いは一つだと知る。

 さぁ、明日からも頑張ろう!




-漆黒の翼・グレク視点・了-



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